房総半島の海でエビ・カニをもっと知ろう! 〜海と日本PROJECT〜

2017.09.15

房総半島の海でエビ・カニをもっと知ろう!は、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」のサポートプログラムです。千葉県勝浦市の海でエビやカニの観察・実験を行い、房総半島の生物多様性を体験しました。

房総半島の沖合では親潮と黒潮がぶつかり、沿岸には南方系、北方系、その中間系など多彩な生き物が生息しています。千葉県立中央博物館分館海の博物館がある勝浦市の海岸で見かけるエビ、カニ、ヤドカリなどの十脚甲殻類を観察し、房総半島の生物多様性を体験することを目的として開催しました。

日程

8月9日(水)10:00~15:30

開催場所
千葉県立中央博物館分館海の博物館(勝浦市)

参加人数

観察会16人

主催
千葉県立中央博物館分館海の博物館

房総半島の勝浦の磯で、エビやカニを観察しよう!
会場は、千葉県勝浦市にある千葉県立中央博物館分館海の博物館(以下、海の博物館)です。午前10時、受付をすませた参加者16名は海の博物館1階ロビーに集合しました。埼玉、東京、千葉などの学校に通う中高生で、理科部、生物部などの団体参加もあれば、単身で参加した甲殻類好きの中学生も2名ほど見受けられました。甲殻類は男子が好む傾向があり、女子中高生に人気があるのはウミウシのような軟らかい生き物だそうで、この観察会では参加者16名中、女子は1名しかいませんでした。

イベントは新和宏分館長のあいさつでスタート。すぐに奥野淳兒先生へと引き継がれ、全員で海岸へ。ここは、かつうら海中公園の横で、右手には海中展望台もあります。勝浦の漁港はキンメダイ漁、サバ漁で賑わい、全国でも1、2を争うカツオの水揚げ地です。その豊かな海で、エビ、カニ、ヤドカリを観察しました。

観察中はちょうど干潮と重なり、あちこちに潮だまりができていました。ヤドカリを筆頭に、ムラサキウニやイソギンチャク、フジツボ、ハゼやギンポの仲間などが泳ぎ回っています。遠浅の磯の水深は膝丈程度。参加者16名は、奥野先生からエビ、カニ、ヤドカリの探し方を教わると、思い思いの場所で生き物探しに没頭しました。
奥野先生が編集・執筆した冊子『海の生き物観察ノート①磯でみられるエビ・ヤドカリ・カニ』(千葉県立中央博物館分館海の博物館)によると、潮だまりで目につくのはヤドカリですが、潮だまりの底にある石の陰にはエビやカニが隠れているとのこと。奥野先生のアドバイスに従い、そっと石をひっくり返してみると、たしかに、カニやエビが!? ベニツケガニ、イソクズガニ、イボイワオウギガニ、イソガニ、イワガニなどが出てくる、出てくる!捕まえたカニを集め、全員で観察しました。

「おおッ、これはスベスベマンジュウガニですね!」
暗褐色の甲に斑模様のある、幅5~6㎝のカニを手に取り、奥野先生が歓声をあげました。
「スベマンは、フグ毒の成分であるテトロドトキシンをもっていて有毒です。食べると危険です」
生物の多様性をカニだけで実感できるほど、わずか1時間半のうちに何種類ものカニをつかまえ、観察することができました。

 

 

 

企画展でエビについてさまざまな視点から観察!
午後は、会場の千葉県立中央博物館の海の博物館で展示されている企画展「夏休み海の学びスペシャル エビざんまい」を奥野先生の解説付きで見学しました。イセエビ科のなかでは最大のニシキエビや房総半島には生息していないイセエビ科のゴシキエビの標本、房総半島でとれるイセエビ(一般には伊勢海老と表記されることが多い)、千葉県の銚子で水揚げされているボタンエビなど、食材として身近にあるエビの剥製や写真などを観察しました。


実験室で、ヤドカリについて詳しく学ぼう!

最後は、実習室でのヤドカリ実験へ。講師は北海道大学の和田哲教授が務めました。まずは奥野先生からヤドカリを貝殻から追い出す方法の説明がありました。
「机の上にあるタオルを電子レンジで温め、これを使ってヤドカリを殻から外に追い出します。殻がタオルの熱で温められると、ヤドカリは熱がって出てきます。ヤドカリの前に、別の殻を置いておくと、ヤドカリはそちらに移動します。その様子を観察しましょう。」

ところが、ヤドカリ追い出し作戦は思い通りにいかず、みな、悪戦苦闘。タオルを温め直す人、ヤドカリが出やすいように、殻の向きを斜めにしてみる人など、それぞれに工夫をこらしていました。
和田先生の説明のもとで、キサゴの貝殻をたくさん入れた水槽に、別のヤドカリを入れてみると、今度はヤドカリが貝殻を丁寧に調べて引っ越す様子が観察できました。
「用意したのはキサゴの貝殻で、通常、この貝は水深5~10mの深いところに分布しているため、磯場にはあまりいません。ヤドカリにとっても見たことがない殻ですが、すぐに入るでしょう。ところが、この殻は薄いのでカニに食われやすい。実際に殻に入ってみてヤドカリがこれはよくないと判断したら、元の殻に戻るはずです」
和田先生の説明どおり、ヤドカリたちは新居に引っ越して、すぐにまた元の殻に戻りました。

和田先生より、ヤドカリの繁殖行動についてのレクチャーもありました。繁殖行動の動画で、オスがどうやってメスを選ぶのかも観察しました。オスはメスを抱きよせるように脚でつかみますが、気に入らないと、ほかのメスを抱え込みます。「優柔不断な行動で非人道的ですが、これは人間じゃなくてヤドカリですから」と和田先生の冗談交じりの説明がありました。

オスのメス選びでは、2つの仮説を立てて検討してみました。
・オスは、産卵数の多い大きな体のメスを選ぶ。
・オスは、メスの成熟度が高くて、交尾から産卵までの日数が短く、他のオスからメスを守る期間が短期間ですむ相手を選ぶ。
さて、正解はどちらでしょうか? 和田先生の説明を表にまとめてみました。

 

参加者の声
・この近くの大原市に住んでいますが、ヤドカリについては知らないことばかりでした。面白かったです。
・殻から出てきたヤドカリはグロテスクだったけど、触ってみるとグミみたいにプニョプニョしているのに、硬かったです。殻の中に隠れたヤドカリの本当の姿を、今回、初めて知りました。
・小さなトレーの上でくり広げられたヤドカリの宿替えと繁殖行動は、一時も目を離せなかったほど面白かったです。

<告知チラシ>

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

日本財団

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