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北海道大学大学院主催「海と魚のサイエンス」〜海と日本PROJECT〜

北海道大学大学院主催「海と魚のサイエンス」は、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」のサポートプログラムです。

2017.10.06

北海道大学大学院主催「海と魚のサイエンス」は、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」のサポートプログラムです。紋別高等学校で、海の資源である魚の年齢と成長や行動について講義を受け、さらに魚を解剖して年齢を調べる実験を行いました。

講義や実験を通じて魚の成長や行動の特徴を学ぶことで、水産資源の管理や海洋環境の保全への意識を高めてもらい、学習や課外活動に取り組んでもらうことを目指すことを目的としています。

日程
9月7日(木)13:25~17:00

開催場所
北海道紋別高等学校

参加人数
131人

主催
北海道大学大学院水産科学研究院

海の資源学入門「魚の成長と年齢」
北海道大学大学院主催「海と魚のサイエンス」は、紋別高校1・2年生131名が参加、北海道大学教員による講義と実験を通じて魚類の生態を学ぶとともに、それらの生態を踏まえた効率的な水産資源の利活用や環境保全について意識を高めました。

講義は2コマ行われ、紋別高校の1年生が聴講しました。講義の1コマ目は、安間洋樹・北海道大学大学院水産科学研究院准教授が担当しました。安間先生は、独特の生態や構造を持つ中深層の魚類について、研究を行っています。
今回の講義では、水産資源を枯渇させずに、永続的な利用を目指すための情報「魚の成長と年齢」についてお話がありました。

一般的に「成長」というのは、生物が成体へと変化する間に、大きさや重量を増す現象を指します。ただ、魚類の場合は、産卵可能な成魚になるまでを指す一方で、死ぬまで成長していくと考えることが多いです。魚類の成長の仕方は、種によって様々ではありますが、重要なのは「初期成長の早さ」。すばやく成長することで、天敵に捕まりにくくなり、順調に生き残ることができます。
魚類の産卵から成長、死までのサイクル(=資源の更新)を把握するために、必要となる情報が「年齢」です。産卵や寿命、成魚になるまでの期間などを確認し、各時点にあった対応をしていくことで、水産資源の効率的かつ永続的な利活用が可能となります。
魚類の年齢は、「年齢形質」と呼ばれる、鱗や耳石、脊椎骨といった硬組織からの情報を見ることとなります。硬組織は、体の成長に合わせて大きくなり「輪紋」が形成されます。この輪紋の輪から年齢を調べることが可能です。現在、年齢形質として最も用いられているのが耳石です。
耳石は、魚の内耳にある炭酸カルシウムの結晶で、泳ぎの加速度などを感じるために使用されます。魚種によって形や大きさも様々ですが、年齢だけではなく、輪紋の化学組成を見ることで、ライフサイクルの各時点における生息環境(例:海または河川での生息)もわかります。
安間先生の研究テーマである中深層性魚類は、寿命が長いとともに、成魚になるまで時間を要する種が多いことがわかってきました。
深海性魚類は、近年、私たちの食卓に上ることが多くなっています。それに比例して、ここ15年間で深海性魚類の漁獲量は2倍となり、資源の枯渇が心配されています。そこで、今後は更新の仕組みへの理解を深め、資源の適切な利用が求められています。

魚の行動学入門「刺激と魚の行動」
2コマ目は、藤森康澄・北海道大学大学院水産科学研究院教授が担当しました。藤森先生の主な研究分野は、選択漁獲や混獲防止技術、漁具の開発。より良い開発のために、魚類の習性や行動の把握が不可欠となります。
今回の講義では、生命の維持に強く影響し、魚類の行動を促す「刺激」について取り上げられました。魚にとっての刺激要因は、水温や潮流、光、匂いなどがあります。それらの要因を踏まえて、魚道や漁法などが生み出されてきました。
刺激によって、魚の行動に影響を与える性質の一つに「走性」があります。走性は外部刺激を魚に与えることで、運動に方向性が認められる場合を指します。水流や光などの刺激であれば、それぞれ「走流性」、「走光性」となります。
走性は、「対刺激性」、「保目標性」、「刺激相称性」の3つで構成されます。例えば、対刺激性は、光刺激を受けた魚が一定の方向に移動することを指します。また、保目標性は、一つの刺激源(光点)に向かって定位・前進し続ける性質です。そして、刺激相称性は、左右の受容器(例:眼)に等量の刺激を受けることで、行動を促すものです。具体例としては、片目しかない魚では群れを形成できないことが挙げられます。
現在、これらの走性の性質を踏まえた上、さらなる新しい漁具・漁法の開発・研究が進められています。

 

実験:魚の年齢を解剖して調べてみよう
実験には、紋別高校普通科・電機機械科の1・2年生が参加しました。今回の実験は、魚を解剖し、第1部の講義で話題となった「耳石」を取り出して観察することが、主な目的です。
参加者は、安間先生から実験の進め方を聞いた後、解剖する魚を受け取り、実験を始めました。解剖用のスケソウダラやコマイ、アカガレイなどの魚は、紋別漁協が提供しました。
まず、魚の体長を計測した後、メスを使って魚の解剖が行われました。「漁業の町・紋別」で学んでいる生徒たちとはいえ、実際の魚を捌いた経験はほとんど無いようで、ややぎこちない手つきで解剖を進めていきました。
解剖後、内臓を取り出し、寄生虫の有無や胃の内容物などを確認した後に、いよいよ耳石の採取です。生徒たちは、包丁で魚の後頭部に切り込みを入れ、左右2個の耳石をピンセットで摘み出していきました。すぐに取り出せる生徒もいれば、何度切り込みを入れても、取り出せない生徒も。約1.5㎝程度の耳石には輪紋が刻まれており、今回は、1~2歳程度の魚が多く見られました。
実験の終了後、王冠の中にきれいに洗った耳石を入れ樹脂で固めたマグネットを制作。生徒たちは、色とりどりの耳石マグネットを大事そうに持ち帰っていました。

 

 

参加者の声
・普段食べている魚について、年齢を気にすることは無かったです。年齢を知ることが水産資源を守っていくことにつながるとわかり、とても興味深かったです。
・実験では、実際の耳石を取り出すことで、より講義での話がわかりました。きっと今まで食べてきた魚にも耳石があったと思いますが、今後は、気をつけて見てみたいと思います。

メディア掲出
9/10 北海民有新聞
9/13 北海道新聞

10/15 HBC「サンデーDOKIっと!」

<告知チラシ>

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています