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INTERVIEW

【ココに注目!スポGOMIワールドカップ2023 vol.3】

ボートレーサーが語るスポGOMIと社会貢献への想い
~スポーツを通じて楽しくごみ拾いを~

in JAPAN

スポGOMI WORLD CUPでは、本取り組みを企画・支援する日本財団と深い関りがあるボートレースの選手(ボートレーサー)の皆さまにも多くの参加をいただいています。
ボートレーサーの中には災害復興支援ボランティアや寄付などを通じて社会貢献活動に熱心に取り組まれている方が多く、各地の予選STAGEにも海ごみ対策のため、積極的なご参加をいただきました。

今回は、スポGOMI WORLD CUPにご参加いただいたボートレーサーの中でも、森定晃史選手(岡山)、眞﨑武蔵選手(静岡)、和田兼輔選手(兵庫)の3選手に、スポGOMIへの想いや、各予選STAGEに参加した感想をお伺いしました。

森定 晃史 選手

――今回のスポGOMI WORLD CUPへの参加を決めた理由は何でしょうか?

個人としても、ボートレーサーとしても社会貢献活動に興味がありまして、ぜひ出てみたいと率直に感じたためです。

――日本モーターボート選手会岡山支部の支部長も務めておられる森定選手が、若手の選手お二人を率いて直々に出られるというのは意外でした。

僕は最初からメンバーに入っていましたね。お声がけいただいたときは「ぜひ行きます、あと二人誰にします?」という気持ちでしたね!

――スポGOMIについてはご存じでしたでしょうか?

いえ、お声がけいただくまでは知りませんでした。
単純なごみ拾いと比べると率直に楽しそうだな、と感じました。
調べてみると数年前からやっているんですね。

――今回、スポGOMIでワールドカップが開催されます。「ごみ拾い」で世界大会とは、ほとんど意識されたことはないのではないかと思いますが、そちらについてどのような印象をお持ちでしたでしょうか?

そうですね、3人で出たんですけど、始める前に「おし、じゃあ、世界大会目指すか!」という感じでした。世界大会というと、やはりワクワクドキドキしますし、行けるもんなら、という感じで士気の高まりがありましたね。
一緒に参加したほかの2人の選手(注;梅原祥平選手、藤原碧生選手)も普段の清掃活動よりはテンションが高まって、楽しく参加してくれていました。

――実際に競技に参加してみて感じたことを教えてください!

意外にごみって落ちてるもんだなっていうのと、普段の清掃活動より競争意識をもって取り組めるな、と感じましたね。
ただ、競争意識をもって取り組むあまり、ごみに目が行き過ぎて歩道から急に飛び出してしまったりする参加者がいて危なかったな、ということが気になりました。
スポGOMI自体はとてもポジティブな側面の強いスポーツなので、今後もぜひとも安全に開催していただければと思います。

――安全面について、貴重なご意見ありがとうございます。
ごみが意外と落ちているな、と感じられたとのことですが、気づいたのはどんなところでしょうか?

僕たちのチームは吸殻をメインに集めようという作戦を立てていたのですが、意外と駐車場やコインパーキングに吸殻が落ちているな、と感じましたね。

――吸殻をメインに集めていこうという戦略については、振り返ってみていかがでしたか?

この戦略はみんなで相談して決めたのですが、他のチームも当然思いつく作戦であったので、正直に言うとほかのごみにも目を向けてもよかったのかな、と思っております。

――普段ボートレーサーとして厳しい訓練を積まれて、第一線でご活躍されていることと思います。ボートレーサーだからこそスポGOMIに活かせたところはありましたか?

われわれボートレーサーは厳しい訓練を受けて選手になりますが、訓練時代に「作業」というものがあるんですね。その時に鍛えられているので、清掃活動とかにはボートレーサーは結構強いと思いますよ。自分のやるべきことを見つけてさぼらずに取り組みますし、例えばごみ拾いであれば、よりごみを集めようとします。訓練時代に叩き込まれたこのような精神は活きたかなと思っています。

――「作業」というのはどのようなものなんでしょう?

乗艇や座学といった訓練のほかに、掃除や水面周りの草を抜いたりする課業があり、それらを総称して「作業」と呼んでいるんです。僕らのときは、水面に大量発生してしまったジャンボタニシの駆除や、訓練所の中の荒れ地の整備なども行いましたね!
こういう作業には結構慣れているんです(笑)

――森定選手は平成30年7月豪雨の復旧支援などの活動にも積極的に取り組まれているとお聞きしております。(注;日本モーターボート選手会は各種災害が発生した際に復興支援のボランティア活動を実施しており、平成30年7月豪雨の際には、岡山支部が主体となり半年間で7回、のべ110名以上によって復旧支援活動を実施しました。ほかにも、岡山支部所属の吉田拡郎選手が倉敷市への復旧支援のために多額の寄付を行っています)
これまで社会貢献活動に取り組まれてきた熱意の源は何でしょうか?

常々、僕は「当たり前にボートレーサーをさせてもらっているのではない」と考えています。皆さんのおかげでレーサーをさせていただいているという気持ちがあって、困っている人がいたら手を差し伸べるべきだという想いがありますし、そういう意味でボートレーサーも社会の一部として、貢献できることがあれば取り組んでいこうという気持ちでやっています。

――今までの社会貢献活動の中で思い出される出来ごとは?

ポジティブな面でいうと、ある民家の清掃を行ったときに、きれいになった後、住民の方に感謝されたことですね。
しかし、ネガティブな面かもしれないのですが、ボランティアに行っても「ボランティアに来てほしくない」というくらい消耗されて、傷ついている人に直面したことも印象的でした。
こちらは良かれと思って行ってはいるのですが、被災された方のお気持ちも考えるとボランティアを押し付けることもできないし、難しさも感じましたね。

――環境問題については、日ごろの想いや取り組まれていることがあればお聞かせください。

僕たちは海で仕事をさせてもらっていますから、海をきれいにしていきたいという気持ちはあります。つい先日もボートレース児島として、100-200人態勢で近隣の海岸沿いの清掃活動を行いました。その時もすごい量のごみがありまして、スポGOMIのときのような競争意識を感じながらじゃないですけど、取り組んでいくことが出来ました(笑)
僕自身小さい子どもがいるので、子どものためにもきれいな海を残したいという気持ちがあって、普段から目についたごみは拾うようにしていますし、自分もごみを捨てる時は分別などに気を付けています。将来の子どもたちのために、という想いです。

――これからスポGOMIは全日本大会、そしてワールドカップという風に進んでいきます。
国内外で様々な方々が出場されますが、今後参加される選手の方へのメッセージがあればお聞かせください!

スポGOMIはスポーツとごみ拾いをミックスさせたとても画期的な競技だと思います。ほかのスポーツと同じように、スポGOMIにもルールがあるのでそこをしっかり守りながら、楽しんでごみ拾いに取り組んでいただければと思います!

眞﨑 武蔵 選手

――眞﨑選手には、7月17日に開催された静岡STAGEにご参加いただきました。
眞﨑選手は今年デビューされたばかりの若手選手ということで、せっかくなので、選手を目指されたきっかけについて教えていただけませんか?

小さいときから、おじいちゃんがよくレース場に連れて行ってくれていたので、ボートレースにはなじみがありました。
高校卒業後はボートレーサーになる気はもともとなく、映像制作の専門学校に通っていたんですが、テレビでボートレースを見て、母が「なってみたら?」って進めてくれたんですね。それで、やるなら今しかないと思って、その日から専門学校の授業に出るのもやめて、体重を落としたり試験の対策をして、レーサーになりました。

――その日のうちに行動とは、すごい行動力ですね!

ボートレーサーの受験には回数制限があったりするんですけど、「一日も無駄にしちゃいけないな」と思っての行動でした。
他のプロスポーツは小さいころからのトレーニングが必要だったりしますけど、未経験からプロになれるのがボートレースの一番の魅力だと思います。

――養成所の訓練は相当厳しいともお聞きしますが…

そうですね、朝から夜まで分単位のスケジュールで、教官も厳しく接してくるんですけど、父親が陸上自衛官でして、家でも厳しくされていたのでそういった意味ではあまり苦に感じなかったですね。

――ありがとうございます。そのような背景があったんですね!
それではスポGOMIについてお聞きしていきたいと思います。
まず、参加を決めた理由はなんでしょう?

お話を聞いたときに、ごみ拾いが競技になっているというのが面白そうだなと思って参加しました。
それまでスポGOMIについては、正直知らなかったですね。

――今回、世界初のごみ拾いのワールドカップを開催します。ごみ拾いで世界大会を行うということについてどのような印象をお持ちでしょうか?

正直驚きましたね。地域だけのものかと思っていましたが、規模が大きくて面白そうだなと思いました。

――ちなみに、これまでごみ拾いをされた経験はありますか?

横浜の実家で地域のごみ拾いに参加したときに参加しましたし、養成所での「作業」もありましたね。

――「作業」については森定選手からもお聞きしました。今でも「作業」はやられてるんですね。

やってますね!養成所では日曜日は休みなんですけど、午前中は「作業」の時間で、草むしりやクモの巣除去、清掃活動などをやってました。

――眞﨑選手の参加されたチームは惜しくも2位でした。
実際に静岡STAGEに参加してみて、どのように感じましたか?

皆さん積極的に参加されていて、自分も負けないぞと思って参加しました。
雰囲気も和気あいあいとしていてよかったです。
結果は2位でしたが、ほんとに僅差で悔しかったです!一緒に参加したほかの二人の選手も悔しがってました。

――振り返ってみて、勝敗を分けたところはどんなところでしょう?

ごみがあるスポットをもっと把握しとけばよかったです。
自分たちのチームはタバコと傘を探そうという作戦だったのですが、傘の場所なんかは事前に想定しておくべきだったかもしれませんね。

――傘ですか!実際にありましたか?

ありました(笑)
建物と建物の隙間の所にありましたね。

――実際にごみを拾ってみて、意外なホットスポットの発見のような、新たな視点があったら教えてください。

そうですね、駐車場とか普段何気なく使っているけど案外汚いな、と思いました。

――森定選手も同じ意見でした。駐車場は意外と汚いところですね。
眞﨑選手は日々ボートレーサーとして研鑽されていることかと思いますが、競技においてレーサーだからこそ活かせたような場面はありましたか?

やはり、僕たちはみんな選手として「勝負師」のベースがあって、静岡STAGEに参加したときも「やるんだったら世界行くぞ」って言ってました。遊び半分ではなくて、勝負するなら本気で、というのはありましたね。
結果もほんとに僅差でしたね。

――眞﨑選手のチームは本当に惜しかったですね。
ボートレース選手の皆様は、多くの社会貢献活動に参加されているとお聞きしています。眞﨑選手は今年デビューされたところですが、先輩レーサーの社会貢献活動に対してはどのようにお考えでしょうか?

先輩レーサーの社会貢献活動については、レーサーの新聞で読んだりして知っています。
自分はこういった活動に参加するのは初めてだったんですが、先輩選手は災害復興支援などの活動に参加していて、積極的に参加する姿勢が素晴らしいと感じますし、こうやって地域に貢献出来て嬉しく思います。
また、こういった活動を通じてボートレーサーという職業について広く知っていただければと思います。

――このスポGOMI WORLD CUPは今後全日本大会、ワールドカップと進行していきます。
これから全日本大会、ワールドカップに参加される方にひとことお願いします!

そこまで行かれている皆さんは本気だと思いますので、世界にも負けないようにぜひとも頑張っていただきたいです!

和田 兼輔 選手

――和田選手には8月6日に開催された兵庫STAGEにご参加いただきました。スポーツ×ごみ拾いというある種異色の競技である「スポGOMI」ですが、参加される以前からスポGOMIについてご存じでしたか?

く知らなかったですね。正直、何するのかもよくわからないような、想像もつかない感じでした。

――今回のスポGOMI WORLD CUPでは、世界で初めてごみ拾いの世界大会を開催します。「ごみ拾いの世界大会」について、どのような印象をお持ちでしたでしょうか?

まずはごみ拾いが競技になるのかな?というのが印象でした。
しかし、スポGOMIではごみ拾いと競技を組み合わせていて、よい相乗効果がありますし、それがまた日本発信で世界に活動の場を広げられるのはとても良いことだと感じます。

――兵庫STAGEに参加してみて感じたことを教えてください。

僕は初めての参加だったのですが、周りの選手の熱気がすごかったですね。
皆さんとても真剣に取り組まれていて、ごみ拾いじゃなくて競技として取り組まれているんだ、という空気感がありました。
それがクリーンな街づくりや海の環境を守るところにも直結しているわけですから、すごくやってて気持ちよかったですね。
一緒に参加した二人の後輩選手(注;藤本元輝選手、武井莉里佳選手)も、真剣に取り組んでくれました。

――スポGOMIでは事前の戦略策定も重要となっていますが、参加してみていかがでしたか?

競技特性としてはルート決めが大事になってくるでしょうね。
普段からどのようなところにごみが落ちているのだろうという意識を持っていれば戦略も立てやすかったのかなと思います。
下調べのために前入りしとけばよかったかな、と思っていますよ(笑)

――実際に拾ってみて、街のごみの様子はどうでしたか?

兵庫STAGEの競技は、西宮浜という公園が隣接している場所で行ったのですが、公園は人がよく通るからなのか、掃除されているからなのか、意外にごみがありませんでした。逆に高速道路の高架下方面に行ったチームはすごい量のごみを持って帰ってきてたので、交通量の多い、工場地帯みたいな公道の方がごみが多かったのかな、という印象を受けました。
僕が拾ったごみとしてはペットボトルが多かったですね。タバコのポイントが高いのでタバコをいっぱい拾いたかったんですが、そういう視点で見るとあんまり落ちてなかったですね。

――ボートレーサーだからこそ、スポGOMIに活かせたものはありましたか?

僕たち選手はみんな視力がいいので、視力の良さというのは活かせたかもしれませんね。
遠い所でも「あれゴミやな」って、他のチームよりも先に拾いに行けたような気がします。

――森定選手や眞﨑選手が語っておられた、養成所での「作業」についてはいかがでしょう?

確かに養成所ではカリキュラム内外で毎週土日の草むしりなどの「作業」をしていましたね。
「作業」の時間のごみ拾いでは、養成所周りの地域のごみ拾いをする時間がありました。
そうやって思い返してみると、僕の一番最初のごみ拾いは養成所ではじまったような気がします。

――和田選手は日本モーターボート選手会兵庫支部での河川の清掃活動などにも積極的に参加されているとお聞きしています。
日ごろの活動についてお聞かせください。

日本モーターボート選手会兵庫支部として、半年に1~2回は武庫川の清掃活動を行っています。
ごみ拾い中に後輩レーサーたちとレースの話なんかをしたりできますし、地域の方との交流の場にもなっているので良い機会だと思っています。
武庫川でもいつもたくさんのごみを拾っていて、やりがいがあります。

――ごみ拾い活動に参加されているきっかけのようなものはありますか?

15年ほど前になりますが、個人的に「プロジェクト保津川」というNPOの取り組みに参加したことがあるんですね。
船に乗って川を下りながら、ごみがたまっているところに船をつけて清掃活動を行うというものです。これに参加した時に「捨てる人がいるからこうやって拾う人がいる」ということを感じたんです。
僕もそれまでぽい捨てしたことがないのか?と聞かれたら、正直ぽい捨てをしたことはあったんですけど、それに参加してからぽい捨てが出来なくなっちゃったと言いますか、心のすごい変化があったんです。それが参加して一番良かったことでした。

――15年ほど前だと、和田選手がデビューされた頃でしょうか。そこにきっかけがあったんですね。

デビューして1~2年くらいのときですね。
友人に誘われたのがきっかけだったんですが、正直「えーごみ拾いしに行くの?」みたいな感覚だったんですよ。楽しいことしに行くわけじゃないな、みたいな。
けど行ってみると日本でも有名な自然の観光地がこれだけ汚れている、ということにとても驚きました。一番の収穫は先ほども言ったごみに対するとらえ方というか……やはり捨てられなくなったことですね。
そこからはどんな小さなごみでもちゃんと捨てよう、分別しようという意識が芽生えたので、自分の中でも大きな出来事だったなと思います。本当に参加して良かったですね。

――一緒にスポGOMIに参加された若い選手の方も、今回をきっかけに意識が変わっている様子はありましたか?

僕が保津川のごみ拾いで受けた印象っていうのは、人の心に大なり小なり芽生えると思っていて。スポGOMIはポイント制などを活かしてそういった意識を助長することで、ごみが落ちている、ということの見方が変わる。これは競技から離れた時にとても大切なことだと思います。
若い選手たちにもきっとそういう、何か得るものがあったと思います。
注)和田選手と一緒に参加した武井莉里佳選手からは、今回のスポGOMIをきっかけに自分自身もごみを出さないようにしたい、今後も積極的にこのような活動に参加したいというコメントをいただきました。

――海洋ごみ問題について、普段考えていることを教えてください。

僕らが一番最初にできることはぽい捨てをしないこと、分別することだと思います。
ごみが自然界に流れずに循環するようになればいいですね。
大きな魚からプラスチックが出てきた、というようなニュースを見ると、それを防ぐ初手は僕たちが担っていると感じます。
それと、ごみ拾いは継続して行うことが大事だと思います。僕らがやってる武庫川での清掃活動でも、雨の後水位が上がるとプラスチックや空き缶など、たくさんごみを見つけます。それらは最後は海に流れていってしまうので、海に出る手前で食い止めることが大事ですよね。
スポGOMIは従来のごみ拾いに加えて楽しみがあって、競技の途中からごみを見たときに宝物を拾っている感じじゃないですけど、普段見逃しそうなごみたちがキラキラして見えてくる。
そういった、ごみに対しての意識変化という側面が実は一番の目的なのかもしれないですね。

――これからスポGOMIの全日本大会、WCに参加される方にひとことお願いします。

まず参加した時の会場の熱気がすごかったです。全国大会への進出を決められたチームの皆さんは大声出して喜んでいましたし、何より自分がやってることが世の中に対してすごくプラスなことだと感じました。参加した感想は、スポGOMIは戦略を立て、ポイントを加算する立派な競技でした!
競い合うからにはぜひトップを狙って参加していただければと思います。
難しさも実感しましたので、日本大会、WCに参加される皆様を尊敬し、また全力で応援させていただきます!次回参加するときはこっそりコツを教えてもらいたいですね(笑)

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