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INTERVIEW

【なんでゴミ拾ってるんですか?vol.1】

ごみ拾いは神様のお手伝い
インドネシア・バリ島で

in INDONESIA

海洋プラスチックごみの排出量が世界2位とも推計されているインドネシア。そんなインドネシアを訪れた時期はバリのお正月「ニュピ」の直前。
島中の集落が海に来てはお祈りを捧げる中、ビーチでごみを拾うのは、 2008年1月にバリ島日本人会の環境活動に関心の高い人たちで結成され、バリ島での海洋問題や子供たちへの支援、文化保護・周知活動に取り組まれている団体「クリーンアップ!バリ」の代表、さちこさんです。

早速ですが、なんでゴミ拾ってるんですか?

インドネシアに来たとき、日本と違って私の住んでいる所は観光地ではないので、ゴミの回収車が全く来なくて、ゴミを捨てる場所もなくて、地元の方に聞いても「そこら辺に捨てておけばいいんだよ」と言うので、ポイ捨てをしてしまっていたことがありました。その時の“罪悪感”がずっとあったことが、クリーンアップバリに入ってゴミ拾いをはじめたきっかけです。

このバリ島には、どんなごみがあるんですか?

様々なゴミがあります。生活系のゴミも。特徴的なのは、お祈りの時に使うお供え物も多いです。このビーチ(パダンガラビーチ)にもたくさんありますよね。特に今は、バリの正月「ニュピ」の前なので、いつも以上にあります。バリではバリヒンズー教を信仰する方が多くいます。とても信仰深い人達なので、祈りのときに使うお供え物は儀式が大きければお供え物の量も増えますし、きちんときれいに捧げたいという神々を敬う心があるがゆえに、お供え物の量も増えて来ているようにも感じます。今はプラスチックも使われていますし。日本の過剰包装のような感じでしょうか。

海洋ごみの問題について。どう感じていらっしゃいますか?

地球を壊すのはいつだって人間です。人間に至っては全ては因果応報だと思いますが、私達人間が汚した場所に生きている生き物を見ると、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。だからこそやっぱり環境破壊をしている私達が、地球をきれいにする責任があるのだと感じます。

ごみ拾いに込める想いを、最後に

コロナ禍をきっかけに、バリ島はゴミボランティアに参加する人達がとても多くなりました。バリ島のゴミ問題は深刻ですが、これは未来への希望です。

地元の人達は清掃活動を「神様(地球も含みます)のお手伝い」だと言って、楽しんで活動をしています。もちろん私もそうです。宗教の教えと環境問題は繋がっているのだということに気づいてくれれば、バリ島のゴミ問題は急速に解決していくと思います。

バリヒンズー教には「トゥリ ヒタ カラナ」という教えがあります。
これは「3つの調和」と言って、「人と人」「人と自然」「人と神」、この3つの調和のバランスを保ちながら生きてゆくことが、私達人間が最も幸せに生きられる生き方なのだというバリヒンズーの教えです。

習慣や文化、言葉や宗教の違うバリ島で長年暮らしていると「互いを思いやり、リスペクトする心」が何より大切なのだと感じます。私もこの素晴らしい教えを胸に、住まわせて貰っているバリ島、そしてこの地球のお手伝いを、これからも地元の人達と共にやっていきたいと思っています。

PROFILE

さちこさん(本名:Ni. Komang Sachiko Candra Dewi)
2000年の12月から結婚を機にバリ島在住(永住)

座右の銘:感謝とリスペクト、そして想像力
趣味:清掃活動、ブログを描くこと
ご出身:群馬県
SNS:FacebookInstagram

最後に一言
インドネシアの中でも環境問題に関心が高いと言われているバリ島!
これからも微力ながらバリ島へ貢献していけたらと思います。

お話を聞いて・・

宗教を強く信仰しているからこそ発生してしまうごみ。ポイ捨て=悪意やモラル・マナー違反と一括りにしがちですが、それだけではくくれない複雑なごみ問題がありました。 このような“尊いごみ”を減らすために、高僧の方にもアプローチして、持ち帰りを推奨したりといった働きかけもされるとのこと。 ごみを拾うさちこさんのお話を通して、バリヒンドゥーの神髄とされる、「トゥリ ヒタ カラナ」の一端を学ばせていただきました。

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