山口県の誇る高級魚アマダイを通して海の未来を考える「アマダイを調べ隊」(DAY2)を開催しました!
一般社団法人海と日本プロジェクトinやまぐちは8月5日(月)、山口県の小学5・6年生を対象に、山口県が日本一の漁獲量(※)を誇る高級魚アマダイをテーマに、様々な体験を通じて、その生態や漁獲方法・食文化そして資源回復の研究開発等を学ぶ「アマダイを調べ隊」の体験2日目を開催しました。
2024.08.13
一般社団法人海と日本プロジェクトinやまぐちは8月5日(月)、山口県の小学5・6年生を対象に、山口県が日本一の漁獲量(※)を誇る高級魚アマダイをテーマに、様々な体験を通じて、その生態や漁獲方法・食文化そして資源回復の研究開発等を学ぶ「アマダイを調べ隊」の体験2日目を開催しました。
7月6日(土)には萩市と長門市内で、漁業関係者や販売関係者の皆さんからアマダイについて多くを学んだ隊員たち。(DAY1の様子はこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002727.000077920.html)今回は山口県と縁の深いアマダイを通し、いま海にどんな変化が起きているのかを理解した上で、2日間の学びの成果を今後各方面に発信していきます。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。 ※2022年の国の統計調査より
公式サイト・URL:https://yamaguchi.uminohi.jp/
開催概要
アマダイの漁獲方法の学習、漁場見学、干物づくり体験、博物館展示見学、ワークショップ他
日程
2024年8月5日(月) 10:00~16:00
開催場所
山口県漁協高山支店江崎支所(萩市大字須佐第4740番地10)
山口県立萩博物館(萩市大字堀内355番地)
参加人数
山口県内の小学5・6年生24人
協力団体
山口県、山口県漁業協同組合、山口県栽培漁業公社、萩ジオパーク、山口県立萩博物館、読売新聞西部本社、ライフスタイル協同組合
アマダイがいる海はどんな所なんだろう? 定置網ってどんなの??
7月6日(土)に、県内の小学5・6年生24人により「アマダイを調べ隊」が結成され、萩市と長門市でアマダイの魅力や価値、地元の漁業振興のために多くの人が努力を続けていることを学んだ隊員たち。その学びから約1か月、隊員たちは再び萩市にやってきました。朝から厳しい暑さとなる中でしたが、県漁協高山支店江崎支所に集合、同じ班の隊員や水産大学校の生徒や学校の先生による学びサポーターとの再会を果たし、和やかな雰囲気で2日目の調査が始まりました。
前回の学びで、アマダイは萩市の見島沖で安定して獲れ、市場での平均キロ単価が2000円台になる高級魚であることを学んでいる隊員たち、今回は実際にアマダイがいる海に向かいます。江崎支所の近くの港から漁船に乗り込み沖へ。定置網が設置してある漁場を横に見ながら説明を受けます。また、漁場への行き帰りには、火山が作った豊かな漁場を生み出す地形も観察しました。約40分の視察を終えた後は、支所に戻って県漁協はぎ統括支店の國光明仁支店長から、より詳しく定置網の構造や漁法について教えていただきました。隊員たちは、海からではそんなに大きく見えなかった定置網が、実際400mあったことや、総資材費が約4億円になることを聞いてびっくりした様子でした。
高級魚アマダイに続け!レンコダイの価値を上げる干物づくりに挑戦!
アマダイについてさらに理解を深めた隊員たち、次は、少し趣向を変えて、魚の価値を上げる方法を学びます。農林水産大臣賞受賞のプロ集団・JF江崎のフレッシュかあちゃんの皆さんが先生となって、干物づくりに挑戦です。使用するのはアマダイに比べるとかなり安い魚であるレンコダイ。身が固く、パサパサしているレンコダイも、干物にすることによりおいしい魚に変わります。隊員たちはかあちゃん先生たちの指導の下、歯ブラシや竹串を使って、血や血合いを取り除いていきます。生の魚を触るのが初めての隊員も多く、学びサポーターの皆さんと一緒にいろいろな声をあげながら格闘していました。丁寧な下処理をすることにより、地元で獲れた魚に新たな価値を加え、有効活用することが出来ることを身をもって体験した隊員たち、自分たちで作った干物は各自持ち帰り。夕方、隊員たちの家庭の食卓に並んだことでしょう。
「海の妖怪展」展示物を通して萩の海の気候変動と海の生物への影響を学ぶ
JF江崎のフレッシュかあちゃんの皆さんが作ってくださった地元の海の恵みいっぱいの昼食を済ませたあと調べ隊は山口県立萩博物館へ移動。バスでの移動中は、お魚かたりべ講師の片岡謙一郎さんからアマダイが地方によって呼び名が違うことについて教わります。アマダイは鮮度が落ちやすい魚であったことから、保存の方法が確立していなかった時代は使い物にならない魚。そのため関西では「クズの魚=クズナ」と呼ばれていたそうです。「ええっ、おいしいのに…」これにはこれまで高級魚と学んできていた隊員たちもびっくりしていました。
萩博物館では、現在「海の妖怪展(※)」が開催されています。隊員たちは、学芸員の川原康寛さんと一緒に会場を見学。現代の妖怪ともいうべき全長4mえお超える「リュウグウノツカイ」などの珍魚・怪魚を見ながら、海水温の変化等、萩地区の海の変化と、その環境の変化に翻弄される海の生き物のメッセージを受け取ります。展示の終盤には博物館のスタッフが近くの海で10分間程度で拾った海洋ごみのディスプレイがあり、川原さんは「このごみたちが、海の妖怪のもとになっているのかもしれません」と説明します。隊員たちは、海の妖怪が現れないようにするにはどうすればよいかをそれぞれに考えていたようです。
※夏期特別展「海の妖怪展 ~百鬼夜航のミステリー~」 2024年7月20日(土)~9月23日(月・祝)|萩博物館(山口県萩市) (hagi.lg.jp)
より身近な貝殻からも萩の海の気候変動と海の生物への影響を学ぶ
「海の妖怪展」では海の中の生き物から変化を学ぶことが出来ました。今度はもっと身近なものから変化を見つけましょう、と統括研究員の堀成夫さんに連れられてきたのが体験学習室。ここにはNPO萩まちじゅう博物館のスタッフの皆さんが、萩市内の海岸で採集した貝殻が机いっぱいに広がっています。「皆さん、ここから”タカラガイ”を探しましょう!」堀さんの合図により一斉にタカラガイを探す隊員たち。海のおたからと呼ばれるタカラガイは海水温の高いところほど多く、その中でも寒さに弱いものが徐々に増えてきているそうです。「ほら、ここ(貝の裏)に点々があるのがメダカラ」。隊員たちは、学びサポーターや博物館スタッフの皆さんのアドバイスを受けながら、ひとつひとつピックアップしていきます。拾い出した貝殻は種類別に分類、その数を見ていくと、結構寒さに弱いとされているものも多くあります。「海が変わってきたことをタカラガイが教えてくれるんです」と堀さん。隊員たちも「きれいだけど、この種類の貝殻が増えたらいけん(だめ)よね」と、貝殻が発するメッセージを受け取ってくれたようです。
7月のDAY1では、アマダイのおいしさやその資源価値、そして地元の漁業者の努力を学んだ調べ隊の隊員たち。今回は、実際に漁船に乗船し「アマダイがどんなふうに獲られているか」を学び、レンコダイの干物づくりを体験をしたあと、萩博物館に移動して「アマダイが育つ海にはどんな課題があるのか」を学び、豊かで素晴らしい海を未来につなぐために自分たちが出来ることを考えました。これからは2日間の体験をもとにオリジナルコラボ食品のアイディアを各自考案します。学びの成果では、8月中に隊員代表が山口県知事を訪問して発表を行うほか、お取り寄せ商品の開発販売や、新聞のパノラマ版特別号を3万部作成し、山口県内の全小学5・6年生、水族館や博物館などの学習施設、行政関係に配布する予定です。
参加した子どもの声
・定置網漁は、魚の群れを一網打尽にしないので、海の環境に優しいんだと思った。
・実際に海に出てみて定置網の大きさにびっくりした。また、アマダイを獲って持って帰ってくるのは大変な作業なので、値段も高くなるのだと分かった。
・干物づくりは、細かい作業で結構長い時間かかった。おいしい干物づくりには大変な苦労がかかるので、食べるときは作った人のことを考えながら食べたいと思う。
・沢山の貝殻の中からタカラガイを見つけるのがとても楽しかった。本当はもっと南にしかいないはずの、寒さに弱い貝も最近よく見かけるようになったという話を聞いて、本当に海水温が上昇していることがわかった。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:24人