第11回 宗像国際環境会議連携事業 ビーチクリーン&ギャラリートーク を開催しました!
九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、第11回宗像国際環境会議との連携事業として、海の再生と宗像の海女文化再興の啓発を目的に福岡県宗像市でビーチクリーンとギャラリートークを開催しました。
2024.11.22
九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、第11回宗像国際環境会議との連携事業として、海の再生と宗像の海女文化再興のための啓発を目的に、2024年10月27日(日)に、福岡県宗像市にてビーチクリーン(海岸清掃)とギャラリートークを開催いたしました。
宗像国際環境会議は、2014年に「海の環境問題」について、福岡県の宗像市から世界へと発信することを目的に設立され今年で11回目を迎えました。沿岸部に広がる磯焼けや、海洋ごみなど、海を取りまく環境問題を中心に「海の鎮守の森」構想を掲げ、海の再生事業に取り組んでいます。
九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センター『九州大学うみつなぎ』の統括プロデューサーを務める清野聡子(九州大学工学研究院准教授)は、宗像国際環境会議の実行委員を拝命し、10年間取り組んで参りました。
宗像国際環境会議においては、ビーチクリーンは、海の再生事業の一環として重要な活動として位置づけられていますが、これまでの私たちの宗像市での活動に評価をいただき、連携事業としての大役を務める運びとなりました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
第11回宗像国際環境会議の連携事業として、ビーチクリーン活動の運営と、”宗像海女の歴史と現在”をテーマとしたギャラリートークを開催した。
日程
2024年10月27日(日)13:30~16:00
開催場所
さつき松原海岸(ビーチクリーン)、海の道むなかた館(ギャラリートーク)
参加人数
70人
スピーカー
岡 崇(宗像市世界遺産課主査・海の道むなかた館)
魚住 由佳理(鐘崎漁協組合員・海女漁師)
共催
宗像国際環境会議
協力
宗像市教育委員会、海の道むなかた館
【特別展示】宗像と大陸の海洋文化から考える海の世界遺産展
宗像国際環境会議でのビーチクリーンとギャラリートークに先駆け、26日、27日の2日間に、本会場の宗像大社に隣接する”海の道むなかた館”の体験学習室で「宗像と大陸の海洋文化から考える海の世界遺産展」の企画展示を宗像市教育委員会と共催で行いました。
玄界灘の沿岸部は、黒潮から分岐する対馬暖流の影響を受け、アジアの広い地域の植物の種や、近隣諸国の文化的な漂着物が漂着します。それだけではなく、古い時代の土器や陶器のかけらなどの珍しいものも海岸で見つけることができます。
ビーチクリーン活動が盛んになる一方で、海岸はごみを拾いに行く場所という新たな価値観が生まれていることを肌で感じてきました。今回の企画展では、海辺を歩くことの楽しさや、ごみを運んでくる海流は、かつては文化を運び、日本の発展に影響を与え続けてきたことの再認識を目的に展示を行いました。
2日間という短い期間の展示でしたが、多くの方に観ていただくことができました。
【ビーチクリーン】総勢70名のマンパワーで大量回収!
宗像国際環境会議では、ビーチクリーンを海の再生事業の手段のひとつとして掲げています。
ビーチクリーンの会場となったさつき松原海岸は、寒い時期でもサーフィンやビーチコーミングで賑わい、日常的にボランティアによる清掃が行われていますが、長い砂浜の奥や、ひとりの手では運びきれない大型の漂着物などは海岸に取り残されています。
今回の参加者の多くは、宗像環境会議を支える企業からの有志で、70人に及ぶ大人のマンパワーのおかげで、プラスチックごみを約20袋分と、タイヤや漁具などの大型ごみ6点を回収することができました。
昨年度から海岸清掃の新たな取り組みとして、貝殻や陶器片など、それぞれに気になった漂着物を参加者に集めていただき、それを一枚にまとめた記念パネルを作る取り組みも始めています。作られたパネルは、海の道むなかた館の体験学習室に常設していますので、お越しの際はぜひご覧になってください。
【ギャラリートーク】宗像海女の歴史と現在
今回のギャラリートークは、社会貢献を入口にビーチクリーン活動に参加して下さった方々を対象に、海への学びを深めていただき、海辺を歩く楽しさを学んでいただくとともに、消えゆきつつある宗像海女の文化について知っていただくことを目的に、海の道むかかた館で開催いたしました。
海の道むなかた館では、沖ノ島をはじめとする海洋信仰と、その信仰を守り続けてきた歴史的遺物や、信仰の中心となった漁師の暮らしに関する展示を見ることができます。
ギャラリートークのスピーカーとして、当館職員の岡崇氏と、現役海女漁師の魚住由佳理氏にご協力いただきました。
宗像市は、「日本海沿岸の海女発祥の地」として知られていますが、魚住氏は、宗像の海女文化を次世代に継承するため、2018年に地域おこし協力隊として宗像市に移住し、任期を終えたその後も宗像にとどまり海女を続けていく選択を行いました。
岡氏の軽快な解説に参加者も笑顔で話に引き込まれる一方で、かつての繁栄とは比較にならないほどの漁獲量の減少と漁業の衰退を考えさせられるシリアスな場面もありました。
展示されてあるイソベコ(ふんどし)にヒトデをあしらったかのような星形の刺繍について魚住氏に質問が及ぶと、「一筆で描ける星の形のように、漁から無事に帰ってこれるよう願いを込めたのではないだろうか。」という現役海女の言葉に、過酷な自然と向き合う漁業の厳しさ、その帰りを待つ家族の祈りの姿が目に浮かぶようでした。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:70人