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メヒカリをフックに未利用魚について伝えたい!<推進パートナーインタビュー>

水産加工会社まんてん.がほぼ無名だったメヒカリの普及に尽力。未利用魚問題の解決に向けた活動も精力的!

2025.02.13

メヒカリをフックに未利用魚について伝えたい!<推進パートナーインタビュー>

地元の高校生と一緒に2023年度、未利用魚のオリジナル缶詰「ギスのトマト煮~Yummy Fish」を共同開発したまんてん.は、豊橋市の水産加工会社で海と日本プロジェクトの推進パートナーです。
メヒカリ博士ことまんてん. 代表の黒田孝弘さんは、20年ほど前にはじめてメヒカリに出会ったそうですが、隣町にこんな美味しい魚があることを知らなかったことに驚き、この魚の美味しさを伝えたいとメヒカリ普及協会を立ち上げ、さまざまな活動を精力的に行っています。

名前もあまり知られていなかったというメヒカリが、現在では愛知県内の小中学校の約8割で給食に採用され、また、メヒカリを起点に未利用魚の問題について伝える出前授業を毎月2〜3件も実施しているのだとか。

高校生とのコラボレーション缶詰の共同開発に至ったのも、きっかけはそうした熱心な活動が注目されてのこと。メヒカリが、少しずつ知られてきていると手応えを実感している様子です。
「まだ微力ですが、メヒカリをフックに子どもたちに魚について伝えて、将来的に海に携わる人を増やしていけるといいなと思っています。日本一のメヒカリ屋になりたい。たとえいつかメヒカリが獲れなくなったとしても、メヒカリを伝える第一人者でありたいです」という、黒田さんにお話を伺いました。

身近にいながら存在さえ知らなかった魚、メヒカリの美味しさに衝撃

“蒲郡市の魚”でもあるメヒカリは、太平洋沖で獲れる深海魚で唐揚げや佃煮などにされる淡白な魚だそうですが、創業21年目のまんてん.は主にそのメヒカリの加工をずっと行ってきた水産加工会社です。
まだ「未利用魚」「低利用魚」という言葉もメヒカリの存在もあまり知られていなかった当時から学校給食に提案し続け、今では県内の約8割もの小中学校で採用されています。メヒカリを扱う料理店も蒲郡市内には増えていて、活動が実を結んでいるようです。

「実はメヒカリというのは雌雄同体で、どこで産卵しているのかもまだ謎なんです」と、へぇな雑学を披露してくださり、さすがメヒカリ博士と呼ばれる黒田さんですが、
「そんなに呼ばれているわけじゃないと思うんですけど…“メヒカリ博士”の呼び名は20年前に蒲郡の仲買さんが提案してくれました。僕は蒲郡の隣の豊橋で生まれ育ったのに、こんな美味しい魚が隣町にあることを30年間まったく知らなかったんです。確かに深海魚なので足も早いし、市内だけで完結していたのかもしれません。
でもあの時に感じた美味しさと魚を知った喜びを、みんなに伝えたい、美味しい魚を世の中に広めたい!ただそれだけが原動力になっています」と振り返ります。
身近にいながら存在さえ知らなかった魚、メヒカリの美味しさに衝撃01
身近にいながら存在さえ知らなかった魚、メヒカリの美味しさに衝撃02
身近にいながら存在さえ知らなかった魚、メヒカリの美味しさに衝撃03

未利用魚を使ったオリジナル缶詰を高校生と共同開発

活動を始めた頃は、知らない魚は子どもたちに食べさせさせたくないという父兄の懸念があったり、先生たちも魚への知見がなく、なかなか給食に採用してもらえずに苦労があったそうです。
そうした地道な普及活動を見ていた当時の三谷水産高校の校長先生から、「唐揚げを作るときにメヒカリの頭や内臓はどうしていますか。廃棄しているならうちの生徒と一緒に魚醤をつくりませんか」と声をかけられ、2018年に初めて共同開発に取り組むことになったのだとか。

その後、2023年に実施された海と日本プロジェクトとのコラボレーション企画でもある「ギスのトマト煮~Yummy Fish」の共同開発は、まんてん.サイドからの提案でした。
「メヒカリの普及活動をしていた中で、実際に船から魚が廃棄される光景を目にしたときに、この状況を解決しないといけないと自分のなかで問題提起されたんです」と黒田さん。

漁獲量が少ない、不揃い、知名度がないなどの理由で有効活用できていない魚を使って缶詰をつくろうと三谷水産高校に提案。食品科の生徒たちがチーム毎にレシピ開発を行い、コンペティション形式でどんな缶詰にするか試行錯誤し、その結果「ギスのトマト煮 ~Yummy Fish」に決まったそうです。

「利用したギスも蒲郡で取れる深海魚ですが、未利用魚のなかでも比較的、数量が揃えられる魚です。ただ、とても骨の多い魚なので、一般的な魚の調理とは勝手が違ってきます。『ハモみたいにしたほうがいいのかな』なんてアイデアも出ていましたが、どのチームも骨の処理には苦労していましたね。
高校生なら海の豊かさを守るというSDGsを意識していると思うんですけど、他人事ではなく自分事と捉えて、どのチームも一生懸命に取り組んでくれたと思います。とても高い熱意を感じました」

高校生たちも自分たちが考えたレシピが商品化されること、販売イベントの試食アンケートで一般の方々から好評価を得られたことなどで、達成感を感じてくれたようです。

「ただ、難しいのは出口です」と黒田さん。
「置いておけば売れる商材ではないので。まずギスの説明、未利用魚の説明を一言添えなければいけません。これまでやってきたメヒカリの普及活動と同じですが、どう手間をかけて伝えていくかが課題です。なかなか手に取ってもらいにくい商品ですが、高校生たちの思いも込められているので、なんとか続けて販売していきたい。もう少し時間がかかるな、というのは感じています」
未利用魚を使ったオリジナル缶詰を高校生と共同開発01未利用魚を使ったオリジナル缶詰を高校生と共同開発02

子どもたちに伝えたい!出前授業での子どもたちの成長も活動の励みに

そうした活動の傍らで、長く続けてきた活動のひとつが子どもたちへの出前授業です。
「もともと学校給食で食育をと先生たちにアプローチしてきましたが、そのなかで出前授業ををしてもらえないかというお話をいただいたんです」
2024年度は1月段階で高校が1つ、小・中学校は20校くらい実施していて、月に2〜3件は行っているという多忙ぶり。
大学でも実施されたそうですが、これは8年ほど前の調理科学学会でブースを出展した際に、立ち寄られた大学の先生たちへアプローチして実現したものだとか。初年度に3校、その後も先生たちからのご紹介で、徐々に増えている状況です。

さらに2024年度からは、蒲郡市の官民一体プロジェクト「蒲郡シティセールス推進協議会」の「がまごおりじなる授業」にも携わっているのだとか。なんとも精力的です。
これは座学と飲食店での調理実習を行う特別授業で、市内の小中学生に蒲郡のメヒカリや深海魚、未利用魚について伝えているそう。
「SDGsの学びを大切にしている学校もあれば、別の面に注力している学校も当然あるので、学校ごとに温度差があって、子どもたちが何に興味を持つかも手探りなので、そのあたりの対応は難しいところです」

とはいえ、子どもたちに驚かされることもたびたびあるようで、
「調理実習では『魚は嫌い、触りたくない』と嫌がる子たちも自分で調理したものは全部食べるんです。45分間の授業でそこまで成長する姿を見られたのは貴重な経験でした」
また一部の小学校からは後日、SDGsの取り組みの成果発表会に招待されたそうで、
「出前授業を行った 5 年生が、海をテーマに発表していたのですが、それが素晴らしくて。子どもたちがここまで企画を考えて、クオリティ高い発表ができるのかと。それを見せてもらった時、我々の活動の意味と価値をすごく感じたタイミングでもありました」と感慨深そうに教えてくれました。
子どもたちに伝えたい!出前授業での子どもたちの成長も活動の励みに01

活動成果に手応えを感じながらも、現状に満足はしない「超満点」精神とは

こうした活動を振り返ってみると、
「メヒカリを知っている、という方が増えてきているように感じます。20年前とは全然違う。もともと名前さえ知られていませんでしたから、これは一役を担えたかなと勝手に手応えを感じています」と黒田さん。

イベントに出店した際も「給食で食べたから買いに来た」という子どもたちが来てくれるそう。出前授業で知ったという子どもたちも多いようです。
「ただ、子どもが食べたいと言っても大人が知らないという状況なので、これからは出前授業に親御さんも参加できるようになればと思っています。大人にも伝えていかないと、食べてくれる子どもたちが増えていきませんから」と、次のステップに目を向けていました。

熱い思いを持ち続ける黒田さんに、社長として会社の経営理念に掲げている「みんなの想いを超満点のカタチにしよう」という言葉の真意を尋ねてみると
「私たちにとっては、つくりあげた商品はすべて『満点』の結果なのですが、世の中に出たときにはそれがスタンダードになる。そのスタンダードな商品をもっと、よりいいものに高めていこうとする思いを『超満点』と表現しています。
裏を返せば『現状、不満足』。現状で満足せず、従業員さんにももっと貪欲に『お給料もアップしてもらいたい、商品ももっと良くしていきたい』と考えてもらいたいという、僕のこだわりの言葉です」

長年続けている海の課題解決に向けた取り組みも、そうした「超満点」の精神から力が生まれているのかもしれません。
活動成果に手応えを感じながらも、現状に満足はしない「超満点」精神とは02

先を見据えつつ、まずは今できることを。メヒカリサミット企画中!?

最後に、メヒカリが大好きという黒田さんに、「海」に対して思うことを伺ってみました。
「生業に直結しているので、一番懸念しているのが海の環境変化です。加工会社として30年後に同じ仕事ができるかというとなかなか難しいのかなと。ビジョンが描けません。
こんなごく一部の民間会社の人間が言ったところで変わらないと思いますけど、漁師さんや船や網などさまざまな漁業関連産業に関わる人たちを守っていかないといけない、日本として考えないといけないと思います。
でもネガティブなことばっかり言ってもいられません。明るい未来のためにいま自分が解決したいと思っていることは、未利用魚の問題です。網に入った魚全部に価値がついて買われる仕組みをつくれたら、いい世の中になるだろうと感じています」

そして改めて
「僕にとってメヒカリは武器でもありますが、ひとつの手段なんです。メヒカリをフックに、子どもたちが魚や海の生き物に興味を持ってくれたらと考えています。そして最終的に、海に関わる仕事に就く人が増えるといいなと思っています。
まずは未利用魚問題をどう解決するか。海と日本プロジェクトには伴走を支援してもらえると嬉しいなと思っています」と明かしてくれました。

海と日本プロジェクトと「第1回がまごおり深海魚まつり」の実行員として2019年に関わって以降、会社の露出度や認知度が増したように感じているとのことですが
「3月には蒲郡でイベントを開催する予定ですが、いずれ、いわき市や沼津、延岡など全国のメヒカリの産地で『メヒカリサミット』みたいなものを順々に開催できたらと思っています。海と日本プロジェクトとうまく関わってやれるといいなと妄想しています」
と今後の展望も大きく広がっているようでした。

海や魚への熱と愛があふれる「超満点」な黒田社長の活動に、これからも目が離せません。
先を見据えつつ、まずは今できることを。メヒカリサミット企画中!?

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