はこだて国際科学祭2016
海と日本プロジェクトプレゼンツ サイエンスライブ
「〜ジャズと楽しむ〜 海の宝の物語」
2016.09.06
サイエンスライブは、「楽しみながら科学に触れる」ことを目的に、講演と音楽演奏で構成し、年齢層を問わず誰にでもわかりやすいテーマを取り上げて、函館の海と食について紹介する。
日程
8月20日(土)17:00-18:30
開催場所
五稜郭タワー アトリウム(函館市五稜郭町43-9)
主催
サイエンス・サポート函館
共催
函館市、(公財)南北海道学術振興財団、北海道大学大学院水産科学研究院
協賛
サッポロビール(株)
参加人数
100名
オープニングでは、地元のジャズバンド、Hakodate Jazz Scientifiqueがビートルズの名曲『ノルウェーの森』を演奏(写真1)。会場が盛り上がったところで、講演者の畠山重篤さんと司会進行役のHTB(北海道テレビ放送)アナウンサー、依田英将さんが登場しました(写真2)。
依田アナは「イチオシモーニング」で、道内各地の特産品をレポート。講演会は、北海道の食を知り尽くした依田アナによる畠山さんの紹介でスタートしました。
小中学校の社会科の教科書や高校の英語の教科書にも登場している畠山さんは、海を育む森づくりを進め、「森は海の恋人」活動で、日本の養殖事業の発展に尽力したことで知られています。また、エッセイスト、京都大学フィールド科学教育センター社会連携教授の肩書きも持っていますが、本業は、宮城県気仙沼の唐桑でカキ、ホタテの養殖業を営む漁師。海水の汚染が進んだ昭和40年代に、河川の上流域にある森の重要性に気づき、その後、地元の仲間に呼びかけて、森づくりに取り組んできました。
「海って大きくわけて、暖流と寒流が支配していて、北海道は寒流の影響を大きく受けている。でも、鉄がないと海はダメ。好漁場にはならないんですよ。で、その鉄は中国から飛んでくる黄砂に含まれている。あの黄砂が、プラスになっていたんですね」
北海道でも黄砂は悩みのタネ。講演の初っ端から意表をつく話題で聴衆の関心を引きつけた畠山さんの話は、つづいて遠くロシアのアムール川へ。
「ホタテの養殖が盛んなオホーツク海も、アムール川の流域の環境が影響しています。そのことは7、8年前の北大の研究で明らかにされました。実は、鉄分が魚介類の成長に重要だということも、北大水産学部の教授だった松永勝彦先生に教えられました」と打ち明けました(写真3)。
地元の漁師仲間と森づくりの活動をはじめた当時、その根拠となったのは漁師の直感。森づくりの重要性を問われても、科学的な説明ができないまま過ごしていた畠山さんは、ある時、テレビ番組に出ていた松永教授の存在を知り、すぐに気仙沼から北大水産学部がある函館へ。それが30数年前のこと。1989年には、畠山さんら漁師たちは、気仙沼に注ぐ大川の上流で、大漁旗を掲げて、地元住民とともに「植樹祭」をおこなっています。
以来、エッセイや講演活動などを通じて、森と海の関わりを説きいてきた畠山さんですが、今回の講演では、「カキ爺さん」という自身の通称も披露。親しみやすい語り口とわかりやすい内容で、聴衆を最後まで惹きつけ、講演会は大盛況のうちに終了(写真4)。つづくジャズ演奏会も盛り上がり、「はこだて国際科学祭」の初日は、そのコンセプトどおり、楽しみながら科学に触れてお開きとなりました(写真5)。
その他
配布資料
・パンフレット
メディア掲出
8/21 北海道新聞(新聞)
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています