小学生12人が北海道の離島・奥尻島で海の学び/2021年8月5日~6日開催 奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~
はこだて海の教室実行委員会は2021年8月5日~6日、1泊2日の海洋教育講座「奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~」を実施しました。
2021.08.13
はこだて海の教室実行委員会は2021年8月5日~6日、1泊2日の海洋教育講座「奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~」を実施しました。
参加者は、函館エリアからの小学生6名と、地元・奥尻町の小学生6名。奥尻島のホソメコンブは、奈良時代に「天皇に献上された」という歴史をもちながら長い間利用されず、近年、奥尻町や国土交通省北海道開発局などで構成される「奥尻地区海藻生産・活用調査検討協議会」がブランド化に取組む「幻の昆布」です。参加児童はホソメコンブ収穫体験や料理体験などを通じて、海に関する深い学びを得ました。
この講座は、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~
小学生がホソメコンブを通じ、海に関して学ぶ。主な学習内容…天然と養殖昆布の違い、水産資源管理、食材としてのホソメコンブ、漁業と漁港整備、森と川と海の関係、など
日程
2021年8月5日(木)~6日(金)
開催場所
北海道奥尻町
参加人数
小学生12人(函館エリア6名の小学5~6年生、奥尻町6名の小学1~6年生)
協力団体
奥尻地区海藻生産・活用調査検討協議会(構成団体:奥尻町、ひやま漁業協同組合奥尻支所、国土交通省北海道開発局、海藻活用研究会、公益財団法人函館地域産業振興財団、北海道檜山振興局、奥尻地区水産技術普及指導所/オブザーバー:北海道経済産業局)
縄文時代から日本海の要所であった奥尻島の「幻の献上昆布」
奥尻島(おくしりとう)は北海道南西部の日本海上に浮かぶ島。その歴史は古く、縄文時代から人が住んでいました。ホソメコンブは北海道の日本海沿岸に適した種で、奈良時代には朝廷への献上昆布とされていましたが、細く短い見た目から利用が減少し、近年、その流通量は昆布総生産の0.1%以下にまで落ち込んでいます。しかし、ホソメコンブに含まれるネバネバ成分(フコイダン)が健康に良いことや、濃厚な味がとれるという特徴をもつことから、「幻の献上昆布」としてブランド化して町おこしにつなげようという取組みがスタートしました。今回の講座は、その取組みを推進する「奥尻地区海藻生産・活用調査検討協議会」と当会が協働し、ホソメコンブをテーマにした小学生向けの海洋教育ツアーを企画し、初めて実施したものです。
天然ホソメコンブは「ウニをおいしくする」ので収穫せず、新たに養殖を開始
奥尻島の特産品は甘くて美味しいウニ。なぜ甘くなるのかというと、ウニが海の中でホソメコンブを食べているからです。ホソメコンブには”粘性多糖類”というネバネバ成分が多く含まれており、ウニはこの成分を体の中で分解してエネルギーに変え、その際に粘性多糖類がに単糖に変化するので、ウニが甘くなります。
奥尻町ではウニの餌としての水産資源保護および海の生態系維持の観点から「天然ホソメコンブは収穫しない」ことをルール化し、同時に地域の漁業の未来を考えて、ホソメコンブの養殖を始めました。
ホソメコンブ料理体験を通じて、食材としてのホソメコンブについても学ぶ
ホソメコンブはさっとゆでた後、叩いて刻むとネバネバがでます。「これは、コンブが身体を守ろうとする防衛反応のひとつです。このネバネバに含まれる成分は、血圧を下げたり、血栓やガンの予防に役立つことが分かっています。」(講師:海藻活用研究会 渡辺さん)。
森・川・海のつながり。海の栄養は森からやってくる!
児童たちが最後に訪れたのは「奥尻21世紀復興の森」。島の北央部にひろがるブナの原生林です。
「奥尻町は小さな島ですが、この森が天然の貯水池の役割を果たしているため、水が豊富。お米も作っているんですよ。皆さんの足元には、ブナの葉っぱがたくさん落ちていますね。葉っぱが混ざってできた土を『腐葉土』と言います。このフカフカな腐葉土に落ちた雨水は、栄養たっぷりの水になって地下水にしみこみ、川を通じて海に注がれます。森と川、海はつながっていて、森の栄養がウニや魚などを育てているんです。」(講師:奥尻町水産農林課の横田さん)
詳細レポートは、はこだて海の教室ブログへ。10月には報告会を実施!
「奥尻島ホソメコンブ調査隊~海と日本プロジェクト~」全行程のレポートを、はこだて海の教室ブログに掲載しました。興味を持った方はぜひご覧ください。10月末には、函館蔦屋書店にて、参加児童による報告会を予定しています。報告会の日程も後日、ブログで発表します。
→ はこだて海の教室ブログ https://blog.canpan.info/hakodate-umi/archive/68
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています。
参加人数:12人