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北海道×沖縄 小学生20名がサンゴの海を調査! 流氷がやってくるオホーツク海とエメラルドグリーンのサンゴの海。 北海道と沖縄の海の特徴や繋がりを学び、海の未来を考える 「第2回 しまうみ探検隊」を開催

海と日本プロジェクトin北海道実行委員会と海と日本プロジェクトin沖縄県実行委員会は、第2回しまうみ探検隊を10月16日(土)・17日(日)に開催しました。

2021.11.08

海と日本プロジェクトin北海道実行委員会と海と日本プロジェクトin沖縄県実行委員会は、第2回しまうみ探検隊を10月16日(土)・17日(日)に開催しました。

北海道と沖縄の海の特徴やつながりを調査する今回は、北海道と沖縄の共同体験プログラムとなっており、北海道からは第1回オホーツク流氷調査隊2021(主催:海と日本プロジェクトin北海道実行委員会)の9名が、沖縄県からは第1回しまうみ探検隊の10名がそれぞれ参加し、小学5・6年生合計19名がひとつのチームとなって取り組みました。

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐため、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要
北海道と沖縄の海の違いやつながりを考える体験学習です。シュノーケリング体験、砂浜観察、浅瀬の生き物調査などを通して、サンゴ礁の海への理解を深めました。
日程
2021年10月16日(土)~2021年10月17日(日)
場所
縄県宜野湾市、浦添市
参加人数
19名
協力団体
しかたに自然案内、NPO法人コーラル沖縄、おきなわトロピコ、キュリオス沖縄、一般財団法人沖縄美ら島財団

シュノーケリングでサンゴ礁を覗いてみよう

北海道から約5時間かけて那覇空港に到着した北海道の子供達。那覇からバスで北に30分移動して向かったのは横浜DeNAベイスターズのキャンプ地としても知られる宜野湾市の宜野湾港マリーナ。宜野湾港マリーナにはセーリングやクルージングを楽しむ船が停泊しています。今回のプログラムは、船に乗って沖合約1キロのポイントに向かい、サンゴ礁を観察するシュノーケリング体験から始まります。現地で沖縄の子供達と合流し、オリエンテーションを行い、北海道と沖縄の共同体験学習プログラムが開始しました。
教えてくれる講師は、NPO法人コーラル沖縄の山里祥二さんとダイビング専門の沖縄トロピコさんのスタッフの皆さん。シュノーケルのくわえ方は「あ・い・う」が基本といいます。「あ」の口でマウスピース全体を口に入れ、「い」の口で凸部分を奥歯でしっかり噛み、「う」の口ですぼめます。初めてのシュノーケルに緊張する様子の子供達は、マリーナから約10分のポイントに到着。水深約5mという海は、船の上からはぼんやりとサンゴ礁のある雰囲気が分かる程度です。いざ引率のダイバーさんに続いて海に入ると、眼下に広がる海に大興奮!海の底にはソフトコーラルと呼ばれるやわらかいサンゴ礁が広がり、その近くを熱帯のカラフルな魚たちが群がる様子が確認でき、ときおり体の横を魚群が通り過ぎていきます。約40分、海の上に漂いながら観察し、船上に戻った子供達は笑顔に溢れていました。講師の山里さんは、市街地に近い海でもこれだけきれいなサンゴや生き物がいる海を体感することが、海への想いの第一歩と子供達に語りかけていました。

昆布のルーツを探ろう

ホテルに到着した子供達は入浴を済ませ、夕食へ。この時間を使って北と南の海をつなぐ学びとして昆布について考えました。沖縄の伝統食材のひとつで知られる昆布は、実は北海道産。琉球の時代に清との交易品として、北海道から各地を経由して琉球に伝わったことがきっかけでした。今回はRBC琉球放送の夕方ニュース「RBC LINK」が海と日本プロジェクトとコラボした昆布の特集動画を制作。ニュース特集風に紹介される動画を見ながら、昆布のルーツを学びました。国内産昆布のおよそ9割が実は北海道産の昆布が占めています。北海道の海が北の海流からの栄養豊富な寒流と、南の海流からの暖流が混ざり合うことで、昆布が成長する上で恵まれた自然環境が形成されていることが理由だそうです。
また、加工された昆布は「だし」として利用されますが、海の中では「だし」は出ないそう!うま味成分のアミノ酸などは昆布にとっても生きる上で必要な栄養のため細胞がガードしており、収穫後に昆布が死ぬと細胞が壊れると旨味成分が「だし」として出るという仕組みなんだそうです。
そんな昆布の消費量ですが、沖縄は全国でもトップクラス。それは貿易の歴史にありました。鎌倉中期以降に北海道の松前と本州で昆布の交易が始まり、江戸時代には北前船を使い日本海を通って大阪や薩摩藩へと伝わり、薩摩藩から琉球王国(沖縄)を通じて清(中国)との貿易の道が築かれました。
昆布は「くーぶ」と呼ばれ、琉球で庶民の食生活に広まっていきました。特に豚肉とマッチした料理が発展し、クーブイリチーやクーブ巻は伝統料理として今も親しまれています。今回は夕食メニューのひとつとしてクーブイリチーを皆で味わいながら、北海道と沖縄の意外な海のつながりを考えました。

サンゴの生態とサンゴ礁の海を学ぼう

夕食のあと休憩を挟んで、北と南の海の違いや、お昼のシュノーケリング体験のまとめ学習をしました。はじめに北海道側の講師として参加した大塚英治さんが、この日のために用意してくれたのは”流氷”。北の海で流氷の仕組みを学んだ北海道の子供達と一緒に、沖縄の子供達も流氷に触れながら話に耳を傾けます。流氷トリビアとして流氷の塩分が海水と比較して低いことを紹介。大塚さんから元の海水の塩分の大部分が氷から吐き出されて海中に沈んでいったためと教えてもらい、来年2月に北海道で体験する第3回のしまうみ探検隊での一緒に調査するのを楽しみにしましょう、と呼び掛けました。続いて、北と南の海の豊かさについて教えてくれたのは、しかたに自然案内の鹿谷麻夕さん。北海道の海の豊かさは、水中に栄養分がたくさんあって生き物の数が多い、すなわち生産性が高いという豊かさであること。沖縄の海の豊かさはサンゴが作るサンゴ礁のおかげで生き物の種類が多い、すなわち多様性が高いという豊かさという違いがあると教えてくれました。北の海で栄養分がたくさんある理由として、海底に沈んだ栄養分の豊かな水が浅い海と循環するからということ。南の海は水温が違うため海底の水は浅い海と混ざず水は透き通っていてきれいですが生き物は少なく、植物プランクトンを体内に持つサンゴがサンゴ礁となり生き物の住処になることなどを教わりました。穴埋めクイズの形式で進みましたが、子供達は積極的に回答し、ほとんどの項目で正解していました!続いて、サンゴの海のお話をしてくれたのはシュノーケリング体験でも講師を務めてくれた山里祥二さん。サンゴの役割やサンゴ保全のための陸上養殖の取り組みを伝え、皆にできることはいっぱいあるので身近な海を守れることを考えてみてください、とエールを送りました。

砂浜の観察から海の多様性を考えよう

2日目の朝は、宜野湾市のすぐ下にある浦添市西部の海岸へ。大型ショッピングモール・サンエー浦添西海岸パルコシティの目の前に広がる海は、都市部にも関わらず手つかずの海岸が残る貴重な生態系の場として知られています。この日は曇り空と強風であいにくの天気でしたが、安全を期しながらスタート。砂浜の観察からサンゴ礁の海を考えるプログラムを教えてくれたのはキュリオス沖縄の宮崎悠さん。浅瀬につながるビーチで、子供達は身を屈ませて砂浜に注目します。ごつごつとした無数のサンゴのかけらや貝殻を発見します。肉眼では確認できない細かい粒子もサンゴや魚の骨などのき物由来であることを知り、子供達は驚いた様子でした。宮崎さんは、砂浜を細かく観察することで地元の海がわかるので、旅先でも地元でも砂浜に注目してそれぞれの海を大切にしてもらえたらとメッセージを送りました。

サンゴ礁の浅瀬の生き物を観察しよう

砂浜観察の次は浅瀬観察の方法について、しかたに自然案内の鹿谷麻夕さんに教わります。幸いにも強風が少し弱まり、太陽も出て来ました。まずは生き物観察のためのルールから。生き物の住処の上を歩く意識を大切に、きれいな貝や生き物を捕まえても元居た場所に戻してあげましょうということや、危険な生物の特徴や対処方法を教わりました。いよいよ海へと向かうと、潮が引き所々に深さ10センチから30センチ程度の潮だまりが点在しています。強風のため荒れた海の影響かから生き物は少ないのではと不安のスタートでしたが、子魚やクルマエビ、シャコなどを次々と発見!「先生、この生き物は何ていう名前ですか?」「カニ見つけました!」と生き物が見つかる度に歓声をあげる子供達。気づけば生き物を囲んで子供達が語り合い交流する光景が印象的でした。約1時間の浅瀬観察を終えた子供達に向け鹿谷さんは、サンゴ礁の浅瀬の生き物たちの世界を感じてもらい海の多様性の豊かさについて考えてもらえたらと想いを届けました。

集大成の第3回しまうみ探検隊に向けて

最後に、サンゴの海をみて感じたこと、これから自分自身が行動したいことをメッセージにしてプログラムは全工程を終了しました。特に北海道の子供達にとっては長い時間をかけた移動のため体力的に大変だった沖縄1泊2日の体験でしたが、積極的な発言や質問がやむことはなく、交流を楽しんでくれた様子でした。次の2月は北海道で沖縄の子供達が流氷の海に出会います。子供達が海を学び、体験する大切な想い出になってくれることを期待して、海と日本プロジェクトが掲げる海の未来へとつながる取り組みを続けていきます。






イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

 

参加人数:19人