【海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト】いよいよ始動!入学式・第一回授業を開催しました
海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト実行委員会は2021年9月19日(日)、海洋や3Dに興味がある中学生を対象にした「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト2021」のオンライン入学式・第1回授業を開催致しました。
2022.02.17
海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト実行委員会は2021年9月19日(日)、海洋や3Dに興味がある中学生を対象にした「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト2021」のオンライン入学式・第1回授業を開催致しました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
「3Dスーパーサイエンスプロジェクト」のねらい
最新の3D技術を活用した海洋生物の研究を通じて、将来、様々な分野で活躍できる人材を輩出することを目指し、物事を深く追求できる人材を育成します。
海洋生物研究の分野では、その生物を取り巻く環境や分類学、生物学、生態学、解剖学などの様々な観点から、一つの物事を徹底的に研究できる人材が求められています。
近年、様々な研究分野でも最新の3D技術が活用されており、これらの技術を学習に活用することで図鑑などから分かる表面的な情報だけではなく、より深いレベルの研究が可能になります。
日本の第一線で活躍している3Dの専門家である吉本大輝を中心とし、9名の中学生研究生を選抜し、全15回の授業で一人一つの海洋生物について徹底的に研究し3Dデータを活用し成果の発表を行います。
オンライン入学式を実施しました
入学式では、日本財団海洋事業部中嶋部長、株式会社NSS取締役社長野田様、株式会社ナノダックス佐藤様、株式会社ミマキエンジニアリング宮﨑様、株式会社ワコム角井様からご挨拶を賜りました。
日本財団中嶋氏
「海洋生物と科学技術のコラボレーションの新たな創造の機会により次世代を意識したプロジェクトです。地球上に、知らない事はまだまだ眠っています。参加される精鋭の皆様、探求心と好奇心を余すことなく講師陣、海にぶつけてください。」
株式会社NSS(海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト実行委員長)野田氏
「これだけ魅力的な研究生がこれからどのような作品を作られるのか、本当に楽しみです。」
株式会社ナノダックス(3Dプリンターのフィラメントを提供)佐藤氏
「東京オリンピック、パラリンピックの表彰台にも使われた素材は3Dプリンターで作りました。これから皆様が作られる時に形を作るだけではなく動かせるような素材も選んで頂ければと思います。」
株式会社ミマキエンジニアリング(フルカラー3Dプリンター、大型3Dプリンターの出力提供)宮崎氏
「3Dプリンターはフルカラープリンターという特徴があります。いろいろな場面で活用できる機会を楽しみにしております。」
株式会社ワコム(ペンタブレットの提供)角井氏
「半年間、大変なこともあるかと思いますが将来に向かってチャンスになると思いますので頑張ってください。」
APPLE TREE株式会社(最新の3Dプリンターの提供)
「インターネットの普及と発展によって多品種少量生産にニーズは変わりつつあります。ものづくり愛好家が増えることで企業と個人が共存する時代に対応していただけたらと思います。」
株式会社ボーンデジタル(3Dソフトウェアの提供)
「生徒の皆さんが3D技術を活用した海洋生物の研究を通して何を学ぶのか、楽しみです。」
「海洋生物研究と3Dの未来にむけて共に取り組みたい」主任講師吉本大輝より
「3D主任講師としてプロデューサーとして皆様の研究を支えていければと思います。プログラミングが好きな子もいれば海洋が好きな子もいると思いますが、みんなの未来がどんどん開けていくのを楽しみにしております。3Dは、文部科学省、経済産業省で推進しているSTEM(ステム)教育の一環としてプログラミング教育も国内で注目されています。」
※海外では3Dプリンターが既にSTEM教育として注目されている。STEM教育:科学(Science)・技術(Technology) ・工学(Engineering) ・数学(Mathematics)の教育分野を総称した教育モデル。これからの世界の経済成長に不可欠な要素。
社会課題の背景としては、日本は現在3D教育後進国であり、社会全体で深刻な3D技術者不足を抱えています。教育者も常に不足しており、3Dを学ぶ機会がないのが現状です。中学生のうちから3Dに触れることで将来的に様々な分野で活躍する研究者を育成できて、海洋研究・海洋開発の発展にもつながると考えられます。
ミマキエンジニアリング社のフルカラー3Dプリンターを活用して作成したマッコウクジラ玉骨標本©︎吉本アートファクトリー
ミマキエンジニアリング社のフルカラー3Dプリンターを活用して作成したマッコウクジラ玉骨標本©︎吉本アートファクトリー
また研究分野での3Dの活用事例としては、化石などの貴重で触ることのできない標本を3Dデータとして保存し学術研究に活用したり、そのデータを3Dプリンターで出力することでハンズオンできる展示物として博物館などでの教育普及に生かすことができます。
将来的には海洋生物の3Dデータを保存するデータベースを構築することで従来の写真や動画などの資料よりも、標本などの一次資料により近い密度の情報を後世に残し、研究や教育用途に3Dデータを活用できる土壌を構築したいと考えています。
ただこれらの構想は一人の力では決して実現できないので、今後研究生の皆さんとは生徒と先生ではなく3D技術を持った仲間として様々な問題に共に取り組みたいと思っています。
中学生研究生9名が意気込みをコメント!
岡田さん 研究:シロナガスクジラ
シロナガスクジラの骨格をまなび3Dで研究をしてゲームづくりに活かしたい。
岡本さん 研究:シロナガスクジラ
環境問題に興味があります。クジラとひとが一緒によりよく良きれるようにしたい。
草原さん 研究:ジンベイザメ
夢である海洋科学者に一歩値がづけると思って参加した。
栗山さん 研究:ウニ
ウニのことを沢山学んで環境問題を改善できるような研究をしたいです。
杉本さん 研究:クラゲ
兄と一緒に発見したオーキストマという新種のクラゲを研究しています。外からではわからない構造を3D化し学術研究に活かしたい。
鈴木さん 研究:シャチ
CGにすごく興味がある。海洋という新たな面も交えて沢山学びたい。
富田さん 研究:ヒトデ
研究や3Dを通じていろいろな生き物の魅力を伝えられるようになりたい。
萩原さん 研究:モンガラカワハギ
魚が大好き。魚の不思議な生態を研究していきたい。
宮澤さん 研究:マンボウ
マンボウについて3D技術を通じて学びを深めて皆さんにつたえていきたい。
第1回授業では海洋調査基礎を学びました
「海洋調査基礎」として、研究者の実際の調査方法と論文の書き方と読み方について、東京海洋大学 海洋環境科学部門 助教 中村玄講師の第1回授業が行われました。
論文の構成や引用文献の書き方など大学の講義さながらの専門性の高い授業が行われました。
難しい内容にもかかわらず鋭い質問が飛び交い、非常に有意義な授業になりました。
「研究生の中に座右の銘として『少年老い易く学成り難し・・・』漢詩からあげて頂いた方がいましたが、中村先生も同じです。中学生の3年間は身長だけではなく知力も大幅に伸びる時期です。そんな成長期に3Dプロジェクトに参加することは非常に意味があると思いますので、一緒に頑張りましょう!」
来年2月の卒業式まで、9名の研究生たちと共に全15回の授業に取り組んでまいります。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています