海と日本公式サイトの最新ニュースをウィジェットで埋込み

<iframe class="uminohi-widget official-newest" src=" https://uminohi.jp/widget/newest/" width="100%" height="800" frameborder="no" scrolling="no" allowtransparency="true"><a href="https://uminohi.jp">海と日本PROJECT【日本財団】</a></iframe><script src=" https://uminohi.jp/widget/assets/js/widget.js"></script>

教科書で読んだ”あの人物”・テレビで見た”せり”・初めての”船” 金沢の子どもたちが”金沢の文化”と”海”の関係を学ぶ【北前船の歴史と産業、海と漁業を学ぼう】を開催しました!

海と日本プロジェクト in 石川県実行委員会は、石川県では誰もが知る北前船の豪商「銭屋五兵衛」の足跡を体感することで現在の”観光都市金沢”を支える”食と文化”と海の深いつながりを学び、そこから海への想いを新たにするイベント【北前船の歴史と産業、海と漁業を学ぼう】を、11月20日(土)と21日(日)に開催致しました。

2022.02.17

海と日本プロジェクト in 石川県実行委員会は、石川県では誰もが知る北前船の豪商「銭屋五兵衛」の足跡を体感することで現在の”観光都市金沢”を支える”食と文化”と海の深いつながりを学び、そこから海への想いを新たにするイベント【北前船の歴史と産業、海と漁業を学ぼう】を、11月20日(土)と21日(日)に開催致しました。
参加したのは、銭屋五兵衛生誕の地に近い金沢市立金石町小学校、内灘町立白帆台小学校(20日)と金沢市立木曳野小学校(21日)の児童32人。歴史上の人物を立体的にとらえ、海への想いへとつなげたこのプログラムについて、20日の内容を中心に各日程での学び、そして児童たちの声をご紹介致します。

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
豪商”銭屋五兵衛”生誕の地に近い二つの小学校の児童を招き、金沢でのせり体験や七尾湾のクルーズなどで北前船が扱った商品や足跡を体験。金沢と日本海の深い関係を学び、その成果を”海むすび”として形にする。
日程
2021年11月20日(土)・21日(日)各日程9:00~17:00
開催場所
金沢市・七尾市
参加人数
20日 金沢市立金石町小学校、内灘町立白帆台小学校 5、6年生15人
21日 金沢市木曳野小学校 6年生17人

北前船の豪商「銭屋五兵衛」ってどんな人?

午前9時に始まった開会式、その中で突然「最後に宿題が出ます!」というお知らせが!「え!」という声も漏らしつつ、いざ最初の目的地へ・・「見学スタート!」

本日の基点になる【豪商・銭屋五兵衛】を深く知るために、最初に訪れたのは金沢市金石の【石川県銭屋五兵衛記念館】。江戸時代から明治にかけて大阪から北海道へと荷を運んだ【北前船】とそこで名を挙げた銭屋五兵衛の業績を学び、当時の自宅の一部を見学できる施設です。さっそく銭屋五兵衛記念館・館長の松本さんにお話を伺います。

銭屋五兵衛が本格的に海運業を始めたのは50代後半になってから。呉服や海産物を商ってきたその見地から、北陸の繊維製品や特産品の生産を援助し、それを積荷として販路を拡大していきました。ここがまず本日の重要なポイント!とメモをする子どもたちです。

敷地内には当時の本宅の一部分を移築した”銭五の館”が。金のふすまや洋風の障子、展示されている調度品の数々に、当時の暮らしの豊かさ感じることが出来ます。

そしてここからは、この銭屋五兵衛が北前船の積荷とした海産物や特産品は勿論、舞台となった海も学んでいきます!

”海産物”の”流通方法”を体験!せり落とした魚はお土産に?

北前船が扱った石川の”海産物”と流通方法を学ぶため、次に向かったのは金沢市総合市場の【いきいき魚市】です。JF石川のおさかなマイスター・高岩さんにガイドして頂き、場内を見学しながら金沢港でとれた魚を保存している冷蔵庫へ。ここは魚の流通量を調整し、魚の有効な活用や値崩れの防止のために活用されている施設です。
魚の鮮度を守るために設定された室温”-35度”を体感するために濡れたタオルを回してみると・・一瞬で固まってしまいました。結果について予想はしていても、目の前にすると話は別。かけていたメガネもくもってしまい、鮮度を守る室温の過酷さも実感しました。

これで見学は終了!と思いきや、高岩さんから素敵なお知らせが。
「みんなに”せり”をしてもらいます!」
この日は休業日だったため”せり”の見学が出来なかったのですが、なんと子どもたち自身で”せり”を体験することになりました。

ルールは
・品数は人数+5
・手持ちの金額は2000円+α(100円~500円)と設定
・お互いに手持ちの金額は秘密にする
・せり落とした品物は家族へのお土産に!

まずは”せり”で金額を示すための指の動きを練習します。続いては品定め。1つを狙うのか、組み合わせにするのか、この戦略も大切なポイントです。
並んでいるのは香箱ガニ、ガスエビやバイ貝、フクラギなど金沢港の底引き網にかかった新鮮な魚介たち。中には「お父さんが魚をさばけるからフクラギを落としたい!」と意気込む子どもも。

そしていざ、本番スタート!

「この貝は何かわかる人?」「これはオニエビ。ツノがあるね。エビは形が悪いのが美味しい!」
魚種に関する高岩さんのお話も聞きながら、一気に値が決まっていきます。皆コツをつかむのが早い!

「せりの仕組みがわかった!」「自分より高い人にすぐ抜かれてしまった。本当のせりだったらどうなるのかな」「考えながら素早くやっているんですね・・」初めての驚きと発見です。

自分でせり落としたお土産を大切に持って、次の目的地に向かいます。

ランチボックスに詰まった”考えるヒント”

午前中のプログラムもひと段落。楽しみにしていた昼食の時間です。今回は七尾市のフレンチ料理店【ひのともり】のお弁当ということで、ワクワクしている子どもたちの前には大きなランチボックスが・・。
ここで一つ、日本財団の中嶋さんからクイズがありました「このボックスは何でできているでしょうか?」
「再生紙?」「段ボール?」「木??」
答えは「サトウキビ」。従来は廃棄されていたサトウキビの搾りかす”バガス”を使ったランチボックスなのです。

昼食の後には、おさかなマイスターの高岩さんからも質問!「お弁当に入っていたお魚は何でしたか?」

答えは「鰆とフグ」。
今回は石川の海でとれるお魚や、そこで生まれた調味料”いしる”などをふんだんに使った特別メニューだったのです!勿論他の材料も、能登の伝統野菜”中島菜”や加賀れんこん、ご飯は勿論能登のコシヒカリ!今回の宿題になる【海むすび】へのヒントも詰まったお弁当でした。

そして、このメニューには海を考えるきっかけも。
実は石川の方言で「サワラ」と呼んでいるのは「カジキマグロ」。本来の「鰆」ではありません。何故なら石川県沖ではもともと「鰆」の漁獲量が大変少なく、身近な魚では無かったからです。ところが、海水温の上昇に伴って2000年頃から石川県沖でも「鰆」が多く獲れるようになったのですが、石川県沖の上昇率は、なんと世界平均の約3倍!大きな数値に、子どもたちからは驚きの声が。

高岩さんは話します。「地元でどんな魚が獲れるのか。そして今の季節の”旬の魚”は何なのか、興味を持ってみて下さい。それが海の問題を意識する事にもつながります。魚種の変化は今だけの事ではありません」

七尾市・一本杉通り商店街に残る北前船ゆかりの品・文化

北前船の頃と大きく変わりつつある魚種を意識した子供たち。続いては北前船の”積荷”について学びます。
600年の歴史を持つとも言われる七尾市の一本杉通り商店街は、北前船の寄港地であった七尾湾と共に発展。多彩な物資と共に人々が行き交うことで多様な文化が生まれ、現在でも建物や取り扱う商品にもその趣を残しています。ここでは2班に分かれ【昆布海産物處しら井】と【高澤ろうそく店】にお邪魔しました。

【昆布海産物處しら井】では、白井洋子さんにお話を伺いました。石川県は昆布の消費量が多く、子どもたちにとっても身近な存在です。
「みんな普段どんな昆布を食べてる?」「トロロ!」「酢昆布!」「ごまみたいなやつ!」元気な声が飛び交います。
七尾では北前船の荷として届いた北海道産の昆布を使って加工食品を生産したこと、そしてそこから生まれた食文化は今でも続いていると学んだ子どもたち。最後は折り畳まれていた昆布を皆で伸ばし、その大きさにびっくり!

【高澤ろうそく店】では高澤行江さんにお話を伺いました。
「七尾の海は昔から風光明媚で穏やか。その穏やかさで七尾湾が栄えたんです」
こちらで作られている”和ろうそく”は原油などの限られた資源ではなく、櫨の実や燈芯草(イ草)、和紙、真綿など”育てることが出来る植物”が材料になっています。なんと燃えた後はカスも残りません。
その材料となった品々が北前船によって九州や関西など全国から集まり、出来上がったろうそくが北前船で各地へと運ばれたことで、七尾でのろうそく生産が盛んになっていったそうです。
“和ろうそく”の意外な材料、そして北前船によって生まれた全国各地との大切なつながり。目の前の品物から、世界が大きく広がっていきます。

全ては“七尾湾”から始まった!

最後の目的地は、一本杉通り商店街の高澤さんが仰っていた「穏やかな海」七尾湾。
周囲を陸に囲まれ、現在では海が荒れている時や台風の際に大型船の避難場所にもなっています。
帆船だった北前船にとって、荒れた海は勿論大敵。七尾湾は憩いの場所になったのでしょう。
今回は遊覧船に乗って、その穏やかさを体験します。
初めての船にドキドキしている子どもも多い中、まずはお魚マイスターの高岩さんに金沢と七尾の底引き網漁でとれる魚種の違いについて教えて頂きます。水深が浅く波も穏やかな七尾では、なんとナマコが獲れるそうです!

七尾港から対岸の和倉温泉へ。そして七尾港へと戻る船旅の終わりには、大学生たちが操るヨットと遭遇しました。元気いっぱいに手をふる子どもたちからは「北前船の頃は、あんなふうに進んだということ?」という声が。海に触れ、大切な発見もあった40分でした。

海と関わりあって生きている私たち

意見交換会では「お弁当で、石川にはたくさんの美味しい食べ物があると知った。もっと調べたいし食べたい!」「金沢で鰆が獲れなかった事に驚いた!」という発見、また、海と触れあったことで「一人がごみを捨てることをやめるだけで、たくさんの魚や鳥が快く生きていける」「海にはたくさんの歴史、恵がある。海を守りたい」という思いも生まれていました。そして「私たちは、とても海と関わりあって生きていると感じた。これから海を大切にしたい」という言葉も。教科書で見た銭屋五兵衛、ニュースで見た”せり”、そして初めての船。平面的だった物事をリアルにとらえることができた一日になったようです。

そして今回の宿題は、北前船の恵みを詰め込んだ【海むすび】を考える事。子どもたちから集まったアイディアは、石川県内で最大規模の稲作農業をおこなっている【六星(ろくせい)】の皆さんが商品化します!
会場で目撃したアイディアシートには、既に想像力の塊が・・。新発見に満ちた【海むすび】の完成が楽しみです。

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

 

参加人数:32人