お茶の水女子大学国際交流留学生プラザで【第1回 お茶大海のジュニアティーチャー養成講座 海藻の不思議】を開催しました!
お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所は、「第1回お茶大海のジュニアティーチャー養成講座 海藻の不思議」と題し、海洋教育の担い手を育てる海洋イベントを開催。海藻をテーマに、水産加工食品を製造・販売する企業と連携して行いました。
2022.10.07
お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所は、2022年8月20日(土)に「第1回お茶大海のジュニアティーチャー養成講座 海藻の不思議」と題し、海洋教育の担い手を育てる海洋イベントを開催しました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
海と日本PROJECT 「第1回お茶大海のジュニアティーチャー養成講座 海藻の不思議」
日程
2022年8月20日(土)
開催場所
お茶の水女子大学 国際交流留学生プラザ
参加人数
生徒:13名(午前7名、午後6名)
協力団体
株式会社 なとり お茶の水女子大学 湾岸生物教育研究所
はじめに
水産加工食品を中心に幅広く製造・販売している株式会社なとり(以下、なとり)と連携して、東京都北区の中学生を対象に「海藻」をテーマとしたイベントを実施しました。イベントでは、植物と対比しながら海藻について理解を深めたり、本物の海藻を手に取って触ったり、海藻おしばを作ったりといった体験をし、さらに海藻をめぐる環境問題「磯焼け」について知り、自分たちと海の環境との関わりについて考えることができました。受講後、晴れて海のジュニアティーチャーとして認定された中学生は、今後、海洋教育の担い手としてさまざまな取り組みに参加することが期待され、10月8日(土)に実施予定のイベントでは特別講師として活躍する予定です。
海藻クイズと海藻観察
はじめに1人ずつ自己紹介し、受講のきっかけなどを話しました。その後、海藻についてのお話やクイズを行い、緑藻(アオサ)、褐藻(ハバノリ)、紅藻(フシツナギ)の3種の海藻の観察を行いました。食材としての海藻には皆なじみがあるものの、ふだんじっくりと観察したことのない生徒達にはとても新鮮だったようで、色や形がそれぞれ全く異なる海藻を前に、手で触ってみたり、においをかいでみたり、五感を使ってたくさん観察しました。
海藻おしばづくり
続いて、海藻により親しみを持ってもらえるよう、海藻おしば作りを行いました。海藻おしば作りでは、名刺サイズのカードの上に自由に海藻をのせて作品を作りました。はさみを使って海藻を好きな形にカットしたり、つまようじを使って細かな作業をしたり、海藻とたくさん触れ合いながら、皆さん個性豊かな作品を作ることができました。作品は乾燥機で乾燥させ、ラミネートさせて完成しました。
光合成と色素
次に、葉や海藻に含まれる色素が光の一部を吸収することを簡易分光器を使った観測を通して体験しました。簡易分光器とは、スリットから取り込んだ光を特殊なシートを通して見ると、目に見える光である可視光を虹のように色を分けて見ることができる装置です。受講生はまず簡易分光器を組み立てて、虹のように光がわかれる様子を見ました。さらに葉や海藻そのもの、さらにこれらから抽出した色素を通った光の色を見ました。色素を通すと、虹色の光から青や紫、赤の一部の色が見えなくなり、葉や海藻に含まれる色素が光を吸収することを確認できました。
株式会社なとりによる、海藻の栄養・製造・研究のお話
海藻について、様々な面から理解を深めるために、私たちが食べる海藻の栄養や、海から得られた海藻を私たちが食べるまでの工程、さらに美味しく安全に食べるためのさまざまな研究について、なとりからご紹介いただきました。海藻に含まれる栄養素には、食物繊維や鉄、カルシウム、ヨウ素などがあり、私たちはまさに海の恵みをいただいています。簡単に手に入るように思いますが、実は海で採った後、干したり煮たり塩漬けしたり、さらに工場で加工・包装され、やっとお店に並びます。またなとりには研究所があり、新商品の開発や美味しく食べたり、賞味期限を延ばすための研究、品質管理などもなされています。私たちがいつも美味しく安全に食べることができるのは、こうした企業の努力があるのだと感じることができたのではないでしょうか。
海をめぐる問題「磯焼け」について
最後に、近年話題となっている問題、海藻の集まりである藻場が衰退・消失してしまう「磯焼け」現象と、その海洋環境への影響についてお話ししました。その後、磯焼けしている様子とそうでない様子の動画を見て、違いを確かめました。講座では株式会社岡部の藻場再生に取り組む事業についても紹介しました。藻場は海の生き物や環境にとって大事な役割をしていることを知ることができました。
認定証の授与
最後に、受講生に認定証を授与しました。一人ずつ今日の感想を聞いたところ「磯焼けについて初めて知ったので、もっと調べてみたい」「海藻のことを、おしばを作ったり分光器で光を見たりしていろいろ知れてよかった。藻場再生の取り組みについて調べてみたい」など、新たな発見や気付きが得られ、環境問題への意識が芽生えた様子がうかがえました。
海のジュニアティーチャーとして認定された受講生は、今後は、海洋教育の担い手として、さまざまな活動に積極的に取り組むことを期待しています。10月8日(土)の海藻イベントでは、特別講師として登場し、活躍する予定です。
参加した子どもの声
「海の問題を知れて良かった。また、海そうの色など特徴をくわしく知れてよかったです」
「海に関する環境問題をもっと知りたくなった」
「将来、海に関わる仕事がしたいと思った」
「海藻の種類や色、磯焼けについてよく知らなかったので、知れてよかったです」
「藻場が現象することによって海の生物や環境の状態が悪くなってしまうことを知って自分の思っていたよりも海藻は大きな働きをしていると思った」
「動画を見ると海藻があるところには様々な稚魚がいたので魚の育成には海藻が不可欠なのだと感じれました」
「私は、フシツナギの色をちゅう出する時に、フシツナギ本体は赤っぽい色なので、赤色の液になるのではないかと思っていましたが、黄緑色の液体だったので、驚きました。また、何故そうなるのか、調べてみたいです」
子供たちが海とのつながりを考えるきっかけに
お茶の水女子大学は海から離れた内陸地域の子供たちでも海とのつながりについて考えるきっかけを作ることができるよう、海洋教育カリキュラムや教材開発を進めたり、出前授業を行ったりしています。
過去の取り組みやプロジェクトの概要は以下のサイトもご覧ください。
https://sites.google.com/view/ocha-ocean
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:13人