長崎と北海道の小学生が北海道・留萌の海と科学技術を大調査!第2回「るもい・日本海調査隊!2022」を開催
海と日本プロジェクトin長崎県実行委員会と海と日本プロジェクトin北海道実行委員会は、2022年9月17日(土)、9月18日(日)、9月19日(月・祝)に第2回「るもい・日本海調査隊!2022」「長崎・五島 東シナ海調査隊︕2022」を合同で開催いたしました。
2022.10.07
海と日本プロジェクトin長崎県実行委員会と海と日本プロジェクトin北海道実行委員会は、2022年9月17日(土)、9月18日(日)、9月19日(月・祝)に第2回「るもい・日本海調査隊!2022」「長崎・五島 東シナ海調査隊︕2022」を合同で開催いたしました。
今回のイベントは、海と日本プロジェクトの全国44の実行委員会の中で、長崎県・東シナ海と北海道・日本海を協力して調査する、初めての交流事業です。なお、第3回の調査隊は、10月8日から10日の予定で長崎県五島市を中心に実施予定です。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
今年7月から8月にかけてそれぞれの地域で「海と科学技術」「海と風」をテーマに第1回の調査を行った長崎の子どもたち10人と北海道の子どもたち10人の合計20人は、今回、第2回の調査隊として、ニシンで栄えた北海道留萌市に集結。ナマコ漁やタコ漁にタブレットを利用し、リアルタイムで漁獲量の情報を共有する「デジタル操業日誌」などを通して「海の見える化」を進める最先端漁業について学びます。また、留萌港でプランクトンの調査も行い、海のいきものを通して持続可能な海の未来考えます。
日程
2022年9月17日(土)~9月19日(月)
開催場所
北海道 留萌市
参加人数
20名(いずれも小学5~6年生)
協力団体
国土交通省留萌開発建設部、留萌市、留萌市教育委員会、留萌新聞社、エフエムもえる、新星マリン漁業協同組合、丸タ⽥中⻘果、東海⼤学⽣物学部、東海⼤学北海道地域研究センター、公⽴はこだて未来⼤学
北海道と長崎を比較しよう!両エリアのこどもたちがご対面
まずは アイスブレイクとして、長崎の子どもたちに北海道を、北海道の子どもたちには長崎を知ってもらうため、北海道と長崎の距離、大きさ、気温、アクティビティ、お祭り、食べ物、獲れる魚、などなどのクイズ大会を行いました。
子どもたちは「ええ!そうなの?!」と、意外と知らなった北海道と長崎の違いに、留萌に向かうバスの中は大変賑わっていました!子どもたちも一気に打ち解けた様子で安心しました。
北海道の食文化を体験!にしん漬けやホタテの貝明けに挑戦した子どもたち
今回のイベントでは、北海道の食文化にも注目。子どもたちに、『にしん漬け』と『いくらの醬油漬け』『ホタテの貝開け』に挑戦してもらいました。
留萌を代表する魚と言えば、『にしん』です。そしてそのにしんを使った北海道の郷土料理である、『にしん漬け』作りを各班で体験!キャベツやニンジンなどの野菜と身欠きにしん、塩やざらめ、麹、なんばんを重ねていきます。「思ったよりも少ない材料で作れる」「バケツに全部入れられないかと思ってヒヤヒヤしたけど楽しかった!」とテーブルの上の材料を協力して、バケツで漬けていきました。ほとんどの子どもたちにとって貴重な初体験となりました。一般的には、「にしん漬け」はおよそ2週間で完成します!にしん漬けを試食した子どもからは、「すっぱい!」「美味しい!」などいろいろな感想が飛び交っていました。
『いくらの醬油漬け』では、鮭がまるまる一匹登場!長崎の子どもたちからは、「思ったよりも大きい!」「生の鮭を初めて見た!」との声が。そして、鮭のお腹を切ると、見えたのは大量の筋子。長崎の子ども達からは「おぉ~!」という歓声が上がりました。筋子を取り出し、初めて触った筋子に「お腹にあんなに大きい筋子が入っていて驚いた」という声も聞かれました。『筋子』から『いくら』にするには、卵巣膜でつながっている状態から、膜をはがしてバラバラな状態にします。「ぬるぬるしてる!」と驚きの声を上げながら丁寧に作業。粒粒状態になったいくらを見て、「きれい!」という声が上がっていました
実際にいくらを試食した際に長崎出身の子どもからは、「今まで食べたいくらで1番美味しい」という嬉しい感想も出ていました。
別日には、『ホタテの貝開け』に挑戦です。ホタテムキを手に、すぐにできる子もいれば、苦戦を強いられる子どももいました。ホタテの力が強く、うまく開かない!という子もいましたが、お互いにコツを教え合いっこして、全員無事にオープン。ホタテには、心臓や眼がついていて、私たちの肉眼でも、一つ一つの臓器が確認できるのです。
「ちょっとグロテスク…」なんて声も聞こえていましたが、その後のBBQでは 蓋つきで網焼きをして美味しく味わっていました。
留萌の強風が港に与える影響とは?留萌港の特徴を知ろう!
留萌は日本海側に位置し、強い風の吹く街です。風は様々な影響を与えますが、留萌ではその風を再生可能エネルギーとして、風力発電を行っています。街からは山上に立つ風力発電がいくつか確認できます。現在10基稼働している風車は、留萌市の約23%の世帯分の電気を供給しています。風の影響を上手く転用している留萌市ですが、良い影響ばかりではありません。海上で風が吹くと海面には波が立ち始め強い波に変わり、港に届きます。そこで、留萌港にはどんな機能があり、どんな工夫が施されているのかを調査するため、港湾業務艇ゆりかもめに乗船しました。海から港を見てみると、そこからは風力発電や解体状態の風力発電の羽根、90年以上前に施工された防波堤が。さらに昨年再建された灯台、かなりの数の消波ブロックなどの姿が確認できました。因みに、留萌にある消波ブロックは日本でも1番の大きさを誇るものが置いてあります。子どもたちはそれぞれにどんな役割があるのかを学んでいました。中でも、2017年に強風による高波の影響で灯台が折れた話を聞いたときには、風や波の力の強さを感じたようで、子どもたちからも驚きの声が上がっていました。
また、港では水質調査、水中カメラでの観察などを行いました。海の中をのぞいてみると、大量のウグイの姿が見えました。子どもたちは、「思ったよりも沢山魚がいた!陸からは見えなかったから驚いた。」と話していました。数匹、カメラの横につけたエサを突っついていましたが、動きが早く、姿をしっかりと目視するのは一苦労です。プランクトン採取では、特殊な機械を使ってプラクトンを採取。小さい何かが動いている事が、肉眼では分かるのですが、形までははっきりと見えず…。子どもたちは、小さなプランクトンの動きに注目した後に顕微鏡を使って観察。植物プランクトンと動物プランクトンの違いやその特徴を学びました。
また、動物プランクトンへのマイクロプラスチックの危険性にも触れ、海洋環境や生態系への配慮の重要性を学びました。
科学の力で資源を管理!ナマコ漁を通して分かる留萌の今と昔。
今、留萌ではナマコ漁が大事な水産業の一環を担っています。今回は、ある種苗生産の施設にお邪魔し実際にナマコに触れて生態を学びに来た調査隊ご一行。ここでは「種苗生産」を行っており、ナマコの赤ちゃんを育てて秋頃、海に放流します。放流するまでは3~5年育てる必要があり、最終的には荒波で遠くへ行きすぎないように、海にダイバーさんが丁寧に放流するのです。
1cmほどの赤ちゃんを見た子どもたちからは、「かわいい!」という声が。ナマコの変態、増殖について学んだ後、ナマコのタッチプールも体験。「見た目よりもずっとムニムニしてる」「ペットにしたい」などの声が上がっていました。
ナマコについて学んだ後は、現代のスマート水産業を代表する、留萌のナマコ漁について学びます。
「八尺」という網を使って1日平均8回漁を行うのですが、1回の漁は50分ほどで多い時は100㎏くらいの漁獲量になるようです。また、留萌ではナマコの生育状況やおおよその数を把握、管理しながらナマコ漁を行っています。むやみな乱獲を避けるために、全ての漁師さんがICT機器を活用して漁をしているのです。
iPadでどのルートを船が通ったか、どこでどれだけの量が獲れたかなどを共通のシステムで共有。各漁船でこの情報を共有しているので、全体の漁獲量を管理が出来るのです。
種苗生産での根気のある漁獲量の底上げ、そしてICT活用による科学的なデータグラフィックとして共有する事で、漁師さんのナマコ漁のサポートとになり、上質で安定したナマコ漁が成立しているのです。
こどもたちは自然へのケアを科学的に行う事で、留萌のナマコ漁は成立していることを学びました。
この後は、留萌の海の歴史を学びました。訪れたのは『海のふるさと館』。
北海道留萌市はニシン漁で盛んな地域でした。ニシンの匂いで街がおおわれるほどの大漁に獲れたニシンを加工する為に、当時の留萌の子は学校を休んだり、本州から出稼ぎに来た人々で街の人数が倍になったりする時期もあったようです。しかし、乱獲をきっかけに昭和30年(1955)頃より大漁だったニシンは面影を無くし、留萌市は当時のような環境では無くなりました。子どもたちは、今では見慣れない道具を見たり、触れたりしていました。留萌の水産業の今と昔をしっかりと学びました。
第3回では舞台を長崎県へと移し、海の共通点や違いを学びます!
第2回となる本イベントで北海道・留萌の海について学んだこどもたちは、10月8日(土)~10月10日(月・祝)に開催予定の第3回で長崎県五島市を訪問する予定です。長崎県では、人工クロマグロ養殖や洋上風力発電の見学など盛りだくさんのプログラムを通して、長崎県と北海道の細かな共通点や海の違いを学ぶこととなっています。
参加した子ども・保護者からの声
・最初は緊張したけど、みんなと仲良くなれて嬉しかった。プランクトンについて詳しくなれて嬉しかった。(北海道 小5男児)
・同じ日本という国なのに話してみたりすると、いろいろなことが違った。長崎に行くのが楽しみ。(北海道 小6女児)
・第2回で前と同じことをするかと思ったけど、いろいろな質問や疑問がまた出てきて、更に考えが深まった。(北海道 小6女児)
・北海道の海を知れて良かった。留萌の科学技術は進んでいるなと思った。長崎でまたみんなと会いたい。(長崎 小6男児)
・五島とちがう、留萌の海を知れて良かった。プラスチック問題のない海になってほしいので、学んだことを周りの人に伝えたいと思った。(長崎 小6女児)
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:20人