山口県の魚フグを通して海の未来を考えよう!「フクワク調査隊」(DAY2)を開催しました!
一般社団法人 海と日本プロジェクトinやまぐちは8月2日(水)、県内の小学5・6年生24人による「フクワク調査隊」の体験2日目(DAY2)を開催しました。
2023.08.17
一般社団法人 海と日本プロジェクトinやまぐちは8月2日(水)、県内の小学5・6年生24人による「フクワク調査隊」の体験2日目(DAY2)を開催しました。現在、山口県を代表する魚・フグにピンチが訪れています。7月2日(日)に行われた体験1日目(※DAY1)では、フグの生態や食文化について学んだ調査隊。今回は延縄漁から袋セリまで、フグが食卓に上がるまでの過程を体験し、トラフグの大漁に沸く福島県とweb会議を行い、今海にどんな変化を起きているのかを学びました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
※「フクワク調査隊」(DAY1) の様子
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001722.000077920.html
開催概要
延縄漁、袋セリ体験、福島県相馬市とweb会議、フグの目利き体験他
日程
2023年8月2日(水) 9:30~16:00
開催場所
下関市地方卸売市場南風泊市場(下関市彦島西山町5丁目10-1)
海峡メッセ下関(下関市豊前田町3丁目3-1)
参加人数
県内の小学5・6年生24人
協力団体
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産大学校、山口県漁協伊崎支店、下関唐戸魚市場株式会社、協同組合下関ふく連盟、相馬双葉漁業協同組合、相馬市観光協会、福島県水産資源研究所、株式会社吉田水産、株式会社山賀、読売新聞山口総局、ライフスタイル協同組合
フグはどんなふうに獲られているんだろう?
前回の調査からちょうど1か月。海峡メッセに再び集合した隊員たちは、移動のバスの中で前回の学びの内容を振り返りながら、フグのセリが行わる南風泊(はえどまり)市場へ向かいました。
まずは山口県漁協伊崎支店の漁師・中島豊さんにフグ延縄漁について教えてもらいます。
フグ延縄漁は明治時代に山口県の周南市粭島から始まったとされる漁法で、鋭い歯を持ち、ロープを噛み切って逃げてしまうフグに対抗するため、鋼線を使った延縄漁が普及・浸透したことや、トラフグの主漁場は長崎県対馬周辺から山口県沖、玄界灘、豊後水道、日向灘、瀬戸内海でも獲れていることを学びました。
次に、中島さんが実際に乗っている船を見学します。中嶋さんはこの船で片道9時間、9月から3月の期間に3日から5日間かけて漁生活を行なうと聞いて隊員たちはびっくり。「ご飯はどうするんですか?」など、自分たちとあまりにも違う生活に興味津々の様子でした。
その後、実際に船に乗り、響灘の雄大さを肌で感じた調査隊は再び市場内へ。下関唐戸魚市場の松浦広忠さんに、全国からフグ集まるこの市場についての説明を受けた後、布の中で指を握り価格を決める伝統の袋セリを体験。仲買人役の隊員たちは、松浦さんの掛け声に応じて指を握るなど指を動かし、合図を行いました。フグは産卵場である瀬戸内海沿岸の埋め立て、乱獲、漁業従事者の減少等で漁獲量は年々減少していることを聞いた隊員たち、最後にトラフグの稚魚を放流して市場を後にしました。
南風泊市場でトラフグの漁獲量が減っていることを聞いた隊員たち、海峡メッセに向かうバスの中でフグについてのニュースを見ます。その内容は、山口県では天然トラフグの漁獲量が減る一方、 福島県沖ではここ数年で10倍にもなっていてブランド化も進んでいるということ。午後からはそんな福島県相馬市とオンラインで結んで3人の方にお話をお聞きしました。
相馬双葉漁業協同組合ふぐ延縄操業委員長の石橋正裕さんは、トラフグは3年で10倍の水揚げになったことや、震災を機に、海や魚種が変わったとことを教えてくださいました。
福島県水産資源研究所副所長兼種苗研究部長の神山享一さんは専門家の視点からは、いわゆる気候変動で海水温が上がったことがトラフグが増えた原因だと思われるが、まだまだわからないことが多いのでこれからも研究を進めていくこと、相馬市観光協会 事務局長の大谷和正さんは、新名物 「福とら」 としてブランド化をすすめ、今後は積極的にPRを進めるというお話をききました。また、福島では調理出来る人材が少ないことが、資源保全という問題にも直面しているので、これから山口県を含む各地の事例を学びながら未来に繋げていきたいとおっしゃっていました。
1300キロ離れた相馬の話から、日本全体の海が変わっていることを感じ、山口県はこれからどうなるのか、自分たちに何ができるのかを隊員たちは真剣な表情で考えていました。
福島県沖でトラフグの水揚げが急増しているのは、フグの生息域が大きく変化していることを意味し、この影響で、これまで交わることのなかったフグが交わり、変異種の出現につながっています。
隊員たちは資料映像(※)を見た後、水産大学校の高橋先生から、変異種は毒の部位がわからないので廃棄処分せざるを得ないことや、変異種を見つけたのがの下関の加工業者だったなどの説明を聞き、実際に変異種の見分けに挑戦しました。本物の個体を目の前にした隊員たちは、最初こそ触れるのに及び腰でしたが、模様や色、とげのあるなしを見て触れながら判別していました。
※ソーシャルイノベーションニュース「フグの本場に異変 増え続ける雑種」
https://www.youtube.com/watch?v=R8VioaZ1HoU
最後に2日間の体験で最も印象に残ったこと、海の現状について最も問題だと思うこと、そのためにはどんな取り組みが必要か、今回の体験を自分の行動にどう生かしていくかなどをみんなで話し合い、紙に書き出しました。
今後は体験や班での話し合いを踏まえて改めて海への思い、そしてDAY1で取り組んだフグのお取り寄せ案をブラッシュアップさせたものを隊員各自から集め、web上にみんなの意見を書き込み収集し、これらを参考にして、隊員の海の思いがこもったフグの加工食品を地元の海と日本プロジェクトの推進パートナーである株式会社山賀と連携し開発する予定です。また、隊員の意見を集約した「フクワク調査隊」の調査報告を、4人の隊員が代表となり、8月24日(木)に山口県の村岡知事に行う予定です。
参加した子どもの声
・フグの袋セリは昔の着物時代からの名残だと聞いてなるほどなと思った。
・フグを獲ったりすること自体も大変だし、(漁場への行き来だけでも)疲労も結構たまると思うから、漁師さんの仕事は大変だと思った。
・将来雑種フグの毒の場所の研究をして、安全に食べられるようにしたい。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:24人