高校生が缶詰を開発する「LOCAL FISH CAN グランプリ2023」決勝大会に進出する9チームが決定!
一般社団法人 ローカルラボは、地域の課題魚「LOCAL FISH」を活かしたオリジナル缶詰のアイディアを募集する「LOCAL FISH CAN グランプリ2023」を実施。二次審査を通過した決勝大会(最終審査)に進出する9チームが決定しました。決勝大会は、10月8日(日)に東京で開催されます。
2023.08.18
一般社団法人 ローカルラボは、地域の課題魚「LOCAL FISH」を活かしたオリジナル缶詰のアイディアを募集する「LOCAL FISH CAN グランプリ2023」を実施しています。
本年は、全国から57チームの応募があり、24チームが一次審査を通過。8月第1週にオンラインでのプレゼンテーション審査(二次審査)に臨みました。その結果、二次審査を通過した決勝大会(最終審査)に進出する9チームが決定しました。なお、決勝大会は、10月8日(日)に東京で開催されます。
本プロジェクトは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる”日本財団「海と日本PROJECT」”の一環として実施しています。
公式サイト:https://localfishcan.com
LOCAL FISH CAN グランプリは全国の高校生が地域特有の海の課題を持つ様々な海の生物「LOCAL FISH」を題材に、オリジナルの缶詰の開発をするアイデアコンテストです。本コンテストは2021年から開催しており、今年で3度目の開催となります。決勝大会まで、高校生たちが地域の海の課題を知り、学び、研究します。優秀な作品は実際に商品化し、地域や全国で販売されます。地域と協力しながら”美味しさ”と”海の課題”をオリジナルの缶詰に詰め、全国に届けていきます。
■二次審査概要
募集対象:日本国内の高校生・高等専門学校生(3年生まで)、中等教育学校生(4~6年生)
個人もしくはチームでの応募
審査対象:一次審査(動画審査)を通過した24チームが対象
審査形態:オンラインでのプレゼンテーション審査
審査基準:「海や地域が抱える問題や課題を明確にできているか。」「缶詰を開発することが、その問題や課題の解決に結び付きそうか。」「商品性はどうか。」「質疑応答を含めた発表はどうか。」等の指標を用いた総合評価
■ 決勝大会(最終審査)進出チーム
※順不同
No. |
エリア |
学校名 |
課題魚 |
缶詰の名前 |
1 |
大分県 |
大分県立 海洋科学高等学校 |
ブダイ |
ブダイのあんかけそば |
2 |
熊本県 |
熊本県立 天草拓心高等学校 |
キチヌ |
チヌのあんちゃん |
3 |
愛媛県 |
愛媛県立 長浜高等学校 |
ブリ 【中落ち・中骨】 |
ブリの骨じゃん |
4 |
岡山県 |
学校法人関西学園 岡山高等学校 |
アイゴ |
アイゴのアヒージョ缶詰! |
5 |
岡山県 |
学校法人第一原田学園 おかやま山陽高等学校 |
クロダイ(チヌ) |
黒ダイの白シチュー (Black in White) |
6 |
島根県 |
島根県立 浜田高等学校 |
ガンガゼウニ ・タレストリス付きワカメ |
ガンガゼ餃子 &ガンガゼーヌ |
7 |
石川県 |
学校法人日本航空学園 日本航空高等学校石川 |
ムラサキイガイ |
イガイ飯 ・アクアパッツァ |
8 |
栃木県 |
栃木県立 馬頭高等学校 |
チョウザメ |
皇帝の愛したパスタソース |
9 |
山形県 |
学校法人羽黒学園 羽黒高等学校 |
コノシロ (コハダ) |
コノシロの乱 ラーメンの援軍 |
決勝大会(最終審査)進出チームコメント
・No.1 【大分県】大分県立海洋科学高等学校 チーム名:「大分海援隊」
課題魚:ブダイ
缶詰の名前:ブダイのあんかけそば
<コメント>
”ブダイ”とは、大分県内沿岸域の磯場に生息する白身魚です。身の臭いがきつく、食用に不適という理由から、漁業の対象となっていません。また、海藻をよく食べることから、大分県でも磯焼けの原因となってしまっており、海の厄介者といわれています。
臭いの原因は内臓です。しかし、適切な処理をすると、内臓の臭いが身に移らず美味しく食べられることがわかりました。これまで市場に出ていない”ブダイ”を加工し商品にすることで”ブダイ”の価値づくりができないか考えました。
加工においては、味や食感のアクセントに地域の名産品である茶葉も利用しようと考えています。これからおいしく、栄養価も高い、缶詰を開発していきます。
・No.2 【熊本県】熊本県立天草拓心高等学校マリン校舎 チーム名:「チヌプロジェクト」
課題魚:キチヌ
缶詰の名前:チヌのあんちゃん
<コメント>
私たちが住む熊本県は、全国でも有数なアサリの産地です。生育が盛んな八代海の調査を進めていくと、アサリの食害問題を学習しました。それは、”キチヌ”による食害です。アサリを保護する被覆網を食い破り、アサリを食べつくしてしまいます。”キチヌ”とは、チヌの種類で、チヌにはクロダイとキチヌを含みます。
一般的にチヌの食害問題が取り上げられるときは、クロダイのみがクローズアップされ、”キチヌ”は知られていません。しかし、現在、熊本県においても”キチヌ”もクロダイのように駆除が実施されており厄介者扱いをされています。
一般的に知られていなく、クロダイよりも市場価値が低い”キチヌ”を食用として、愛される魚になるように缶詰化したいと考えます。”キチヌ”の旨味を凝縮できるよう工夫した商品をつくることで、アサリのような地域の特産品になることを目指します。
・No.3 【愛媛県】愛媛県立長浜高等学校 チーム名:「あらぶるぶりのあらぼね救助隊」
課題魚:ブリの中落ち・中骨
缶詰の名前:ブリの骨じゃん
<コメント>
愛媛県が全国3位のシェアをもつ”ブリ”。私たちの学校は水族館を運営しており、様々な生き物の世話をしていますが、”ブリ”も生徒が中心となって飼育・研究をしています。地元の水産業者様にも相談しながら研究を進める中、あることに気付きました。
同じ栄養価があるにも関わらず”ブリ”の中落部分は、食用にされておらず、その大部分が廃棄されていることです。これまで中落部分が食用にされていない理由は、大きな背骨の存在でした。これから工夫をしながら背骨を柔らかくできるように調理し、缶詰を制作していきたいと思います。
・No.4 【岡山県】学校法人関西学園岡山高等学校 チーム名:「探究学習グループ」
課題魚:アイゴ
缶詰の名前:アイゴのアヒージョ缶詰
<コメント>
私たちは、瀬戸内海が抱える問題を研究しています。
瀬戸内海は、温暖化が原因による海水温の上昇で、今と昔で大きく生態環境が異なっています。昔は獲れなかった”アイゴ”という魚が近年増えてきました。
”アイゴ”は、海藻類を食べてしまうことから、海の厄介者といわれています。また、調理が難しいことを理由にほとんど食用では流通されていません。しかし”アイゴ”は正しく調理すればとても美味しい魚です。海の厄介者である”アイゴ”の美味しさを知ってもらうべく、缶詰を開発していきます。
・No.5【岡山県】学校法人第一原田学園おかやま山陽高等学校 チーム名:「普通科進学コース&調理科」
課題魚:クロダイ(チヌ)
缶詰の名前:黒ダイの白シチュー(Black in White)
<コメント>
私たちの高校は、豊かな自然と海に恵まれた岡山県浅口市にあります。浅口市の寄島漁港では、牡蠣の養殖が盛んで、その美味しさは県内や全国で高い評価を受けています。地元の牡蠣の魅力について調査を進める中で、食害被害を知るようになりました。
”クロダイ”が養殖牡蠣を食べてしまうことです。また、繁殖力が強く、以前より被害が激化しているとのことです。”クロダイ”は昔は食用されていましたが、臭みや傷みやすさから近年はあまり食用されていません。食害対策としても、もう一度”クロダイ”の美味しさを発信したく、臭みを消し旨味を生かした缶詰をつくります。
・No.6【島根県】島根県立浜田高等学校 チーム名:「生活科学部」
課題魚:ガンガゼウニ・タレストリス付きワカメ
缶詰の名前:ガンガゼ餃子&ガンガゼーヌ
<コメント>
私たちの高校がある浜田市は港町です。浜田漁港は、島根県内最大の漁獲量を誇り、1年を通じて新鮮で美味しい魚介類が水揚げされています。特に、どんちっちの名でブランド化したアジ、カレイ、のどぐろは有名です。小さいころから魚に慣れ親しんで育ってきた私たちだからこそ、海の環境の変化には危機感を覚えており、海を守る必要があると考えます。
今回の缶詰作りにおいては、もっと海のことを考えてくれる人が増えるように取り組んでいきます。課題魚は、ガンガゼウニと、タレストリス付きワカメです。ガンガゼウニは、藻類を食べてしまうウニです。食用可能にも関わらず食用されていない問題があります。また、タレストリスとは寄生虫のことです。タレストリスが寄生したワカメには斑点が付きます。食用しても問題は無いにも関わらず、見た目の悪さからすべて廃棄されています。浜田市で新しい取り組みを実施することで浜田市を盛り上げ、海を守っていきたいと考えます。
・No.7【石川県】学校法人日本航空学園日本航空高等学校石川 チーム名:「ムールGUYS」
課題魚:ムラサキイガイ
缶詰の名前:イガイ飯・アクアパッツァ
<コメント>
”ムラサキイガイ”は、別名ムール貝といい、日本では外来種に指定されています。ムール貝に悪いイメージは、ないかもしれませんが、石川県においては迷惑な存在となっています。主な理由は、能登半島で盛んな養殖牡蠣や、発電所の取水口に大量に付着してしまうからです。
”ムラサキイガイ”は食用として適しているものの、有害物質をため込みやすい性質から、積極的な活用をされていません。しかし、しっかりと貝毒検査をすれば問題なく食用できます。”ムラサキイガイ”特有のコクや旨味を閉じ込めた缶詰を、味付けの工夫を施しながらつくっていきます。
・No.8【栃木県】栃木県立馬頭高等学校 チーム名:「チョロンチーノの挑戦」
課題魚:チョウザメ
缶詰の名前:皇帝の愛したパスタソース
<コメント>
私たち馬頭高校の近くを流れる那珂川は、鮎が遡上する全国屈指の河川の一つです。その他、県内で有名な養殖魚は、ヤシオマスしかありません。そのため新しく栃木県を代表する養殖魚として”チョウザメ”をPRできないかと私たちは考えました。
馬頭高校では、約30年前から”チョウザメ”を養殖する研究を行っています。”チョウザメ”の卵を加工するキャビアの商品化には成功しましたが、”チョウザメ”は、未だに商品化にいたっていません。私たちが、チョウザメの商品化に成功し、多くの人に”チョウザメ”の美味しさを知ってもらえるように缶詰制作をします。
・No.9【山形県】学校法人羽黒学園羽黒高等学校 チーム名:「庄内サカナちゃん」
課題魚:コノシロ(コハダ)
缶詰の名前:コノシロの乱 ラーメンの援軍
<コメント>
私たちが住む山形県庄内浜では、170種類のたくさんの天然魚が水揚げされています。海に興味を持ち、実際に漁師の方にヒアリングすることで、庄内浜の課題も見えてきました。例えば、庄内浜は、海上養殖に適した場所がなく養殖天然魚に依存していることから、同じ漁法、同じ季節でも獲れる魚種や量が異なってしまいます。私たちは、安定的な漁獲量が見込める低未利用魚を活用すれば、地域の課題が解決できるのではないかと考えました。
課題魚には出世魚である”コノシロ”を選定しました。”コノシロ”は下処理が大変な問題から、安定的な供給が可能であるにも関わらず、食べる文化が無い低未利用魚です。また同じ魚であるコハダに比べて全く知名度がありません。下処理が大変である”コノシロ”を缶詰にすることで、課題を解決し、その美味しさを発信できると考えます。缶詰のアイデアとしては、山形県で一人あたりの消費金額が日本一であるラーメンとコラボレーションさせていきたいと考えています。
■今後のスケジュール
決勝大会(最終審査)
決勝大会に進出する9チームが、地域と連携しながら開発した缶詰とプレゼンテーションで挑み、最優秀賞(グランプリ)を決定します。
日時:2023年10月8日(日) 9:00〜13:00 ※応募開始時より日程を変更しております
場所:F studio SHIBUYA 東京都渋谷区渋谷 3-3-5 NBF 渋谷イースト 1F
https://www.frontier-i.co.jp/
審査員:缶詰博士、平坂寛、英玲奈、中川めぐみ、他