一般社団法人鎌倉さかなの協同販売所は、海や生産者とのつながりを身近に感じ、鎌倉から豊かな魚食について考えるサカナの部活動「マルカマクラブ」の親子向け特別プログラム第二期を1月14日に開催しました。このプログラムでは、元水産庁官僚・漁師である魚の伝道師・上田勝彦氏に一尾のサカナをまるごと味わう方法を、下処理から保存方法、調理法まで全3回にわたって教えてもらいます。

第1回目は生で食べる「下処理と保存」「おいしい切り方」「アラの活用方法」。参加者には親子で実際に「鯵」を調理をしながら学んでもらい、最後は参加者で捌いた鯵の刺身やあら汁などを美味しく味わいました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
調理実習、試食
日程
2024年1月14日（日）
開催場所
地域がつながるさかなの協同販売所「サカナヤマルカマ」
参加人数
午前の部：5組　計10名
午後の部：5組　計10名

生で食べる！臭みが出ない下処理と保存

最初に上田氏より魚を丸々美味しく食べる為に最も重要なことは「下処置」であるという話をしました。大人よりも味覚が敏感である子供たちが魚を嫌がる最大の理由は「生臭み」。その生臭みの原因となるものは何か、それらを下処理によりしっかりと取り除くことで、今日だけでなく、明日、明後日も美味しく食べられて、美味しく食べる下処理方法は美味しく保存する為の方法でもあるということを教わり、その処理方法を実践を通して学びました。今回は鯵を実際に下処理したのち、刺身用におろしてもらいました。同時に魚料理に合う美味しいお米の炊き方も伝授してもらいました。日々何気なく炊いてるご飯も、洗い方、浸水方法や炊きはじめのタイミングなど少しのポイントで格段に美味しくなることを教わり、参加者は何度も頷いて聞いていました。

最も伝えたいポイントやこだわった点

・「難しそう」「手間がかかる」「後片付けが大変」といった印象を持たれがちな魚料理。このクラスは難しい技術の習得が目的ではなく、ちょっとした工夫でいかに簡単かつ気軽に、そして何より美味しく魚料理を楽しめるかという点が伝わる内容にしました。魚料理へのハードルが下がり、日々の食卓に魚が並ぶ頻度が上がることを期待しています。

・3回の講座を共に学ぶメンバー同士の交流も大事にしていきたいと考えています。休憩時には子ども達に自己紹介や魚に興味をもったきっかけなどを話してもらいました。今回のメンバーの多くは釣りが好きとのことで、どんな魚を釣ったことがあるか、どんな風にして食べるのか、オススメの釣りスポットは？など、子どもたちのお魚談義が盛り上がりました。講座中も「ぬめりやヒレは何のためにあるのか？」といった質問が出たところ、上田氏が「ぬめりやヒレは魚が身を守る為にある。人間にとっては生臭みの原因で取り除きたい部分だが、魚にとっては生き抜く為の大事な要素」といったことなど色々と教えてくれました。海と魚に精通した上田氏から料理に留まらない様々な知識を聞きながら、実際に魚に触れる。魚好きの子どもたちにはとても有意義な時間となったのではないかと思いました。

魚の美味しさを丸ごと味わう！捨てるところはほとんど無し！ダシがよく出るあら汁の作り方

捌いた鯵の刺身は「りゅうきゅう」という料理にして味わいました。「りゅうきゅう」は最後にたっぷりの胡麻を入れる料理です。その胡麻が、魚の酸化を防ぎ数日後も保存の効く一品にしてくれるとの話には驚きの声が飛び交いました。作っておけば、朝食に出したり、お茶漬けにして食べたり、とても便利とのこと。こういった知識の一つ一つが魚料理へのハードルを下げ、また作ってみようという意欲を高めてくれます。そして、皆が捌いて残った鯵のアラも余すことなく使い、冷めても美味しいダシがよく出るあら汁の作り方を教わりました。「アラは先にお湯をかけて…」など色々と手間が掛かる印象ですが、上田氏のあら汁はとても工程がシンプル！簡単だけど魚の美味しさの詰まったあら汁の作り方を教わり、「お家でやってみよう！」という声が上がりました。

「りゅうきゅう」とあら汁と、炊き立てのご飯の3品を、実習の感想や上田氏への質問等を話しながら、美味しく楽しく味わいました。「美味しい！美味しい！」という元気な声が沢山聞こえました。

参加した子ども・保護者からの声

・目から鱗の学びばかりでした！
・釣りをして持ち帰った魚をいつも我流で捌いていたから、きちんとした方法を基礎から学べて嬉しい！
・今度から子どもにお刺身捌いてもらいます！楽しかったです！

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数：20人