「海と日本プロジェクト 海・船のお話会と海の環境学習や体験型見学会」
2016.07.20
海洋国日本の国づくりや街おこしを担う次世代の小学生の皆さんに、海の大切さと海の魅力を知ってもらうことにより、海の恩恵に感謝し、併せて広く海洋についての理解と関心を深めてもらう。
また、普段見ることができない旅客船船内の見学、船員さんの仕事の役割や重要性などを学習することと併せ、海から見る、いつもとは違う目線から大阪港や沿岸の街並みなどを体感することにより、広く海に関する知識の醸成を図る。
日程
平成28年7月7日(木)
開催場所
大阪港天保山岸壁及び大阪港内
主催
「海学び舎」あらかると啓発事業実行委員会
(構成メンバー)
(公社)大阪港振興協会、(一社)神戸港振興協会、近畿旅客船協会、神戸旅客船協会、近畿内航船員対策協議会、大阪市港湾局、神戸市みなと総局、大阪市港区役所、㈱ラジオ関西、(公財)関西交通経済研究センター
後援
大阪市教育委員会、神戸市教育委員会、南あわじ市教育委員会、国土交通省近畿運輸局、国土交通省神戸運輸監理部
参加人数
小学5年生、6年生 合計151名
海洋国日本の国づくりやまちおこしを担う次世代の小学生に広く海洋について理解、関心を深めて貰うことを目的に、「海・船のお話会と海の環境学習や体験型見学会」を7月7日(木)に大阪港天保山岸壁周辺及び大阪港内において実施致しました。
当日は気温、湿度は高かったものの晴天に恵まれ、大阪港内の波、風は穏やかで、夏らしい日差しの下、大阪市港区内の小学校3校の5年生86名、6年生65名、その他教員等関係者を含めて総勢189名の参加のもと、開催しました。
【サンタマリア号の船内見学】
通常の定期便の出港前約1時間を、本見学会のために特別に貸し切り、船内で体験型の見学会を実施しました。参加児童は学校毎に4グループに分かれ、船内4カ所のポイントを巡って、サンタマリア号の船員指導による児童向けの体験型プログラムを体験して回りました。
船内での体験型プログラムは、
①船長講話(操船する人々の仕事の内容や役割、大阪港を出入りする船の種類などのお話)
②ロープワーク(舫結びなど、基本的なロープの結び方の体験)
③救命胴衣の着用体験(救命胴衣の着用の仕方、役割、特徴、着用時の飛び込み方などを解説して頂き、児童二人一組で着用体験)
④船内探検(4層に分かれる船内を、船員の解説とともに見学)
の内容でした。
【サンタマリア号に乗って大阪港内クルーズ体験】
11時より大阪港内を45分間クルーズしました。天保山岸壁を出港した船は、一旦安治川を遡上しました。安治川右岸にはユニバーサルスタジオジャパンがあり、水上から垣間見えた園内のアトラクションに歓声を上げる児童もいました。船はその後反転し大阪港内に戻り桜島埠頭を通過した時には、ちょうど石炭を積んだ大型貨物船がタグボートに押されて接岸しようとする光景に遭遇しました。その後咲洲のコンテナ埠頭横を航行した際には、ガントリークレーンでコンテナを次から次へと船に積み込むシーンに、間近に接することができました。
開催当日は摂氏35度近い猛暑の中、出港前は猛烈な日差しと高温に少しバテ気味になっていた参加児童もいましたが、出港後は心地よい潮風を肌に感じながら、眼前に広がる海や行き交う船、海から見るいつもとは違う目線からの大阪港や沿岸の街並みに、参加児童は目を輝かせていました。
【上窪良和講師(近畿内航船員対策協議会会長)の講演】
午後からは、かつて30万トン級の大型外航貨物船の船長を務められた上窪講師に30分間「海の大切 さと船員の仕事」と題して講演を頂きました。
上窪講師からは冒頭、海に囲まれた日本は外国との交易によって成り立っていることを強調され、輸入(重量ベース)の約99.7パーセントが船によってなされ、残りの約0.3パーセントが飛行機によるとのお話しがありました。
上窪講師からは、児童にも理解出来るようユーモアを交えて、分かりやすくお話をして頂けました。聞いていた児童も話の内容に興味を持ったのか、最後の質問コーナーでは、児童から次々に質問の手が挙がり、時間を超過するほど大盛況でした。児童からは、「船にはどれくらいの種類あるの?」「船はなぜ浮くの?」、「船に乗って世界を巡って、一番美しい港はどこだった?」、「船員になったらどれくらいの給料がもらえるの?」等々、子供目線のユニークな質問がたくさん出され、楽しく海や船を学ぶひと時を過ごすことができました。
【海遊館アカデミーへの参加】
海遊館が提供する海や海洋生物について学ぶ学習会に参加しました。海遊館からは展示飼育部の北藤真人講師から「大阪湾の生物について」と題して約30分お話しをして頂きました。
冒頭北藤講師からは、大阪湾の大部分が護岸となっているが、一部自然の浜辺が残っている箇所があること、また、淡路島に蓋をされたような形になっていることなど、大阪湾の特徴のお話しがありました。
そして、大阪という大都市を後背地にかかえる特徴として、街を経由して流れ込む川の水により、湾内に多くの有機物が流れ込むこと、そしてその有機物を求めてプランクトンが集まること、更にプランクトンを狙ってカタクチイワシなどの小魚が集まり、そしてその小魚を狙って、鯛などの大型の食用魚も豊富であるという、意外に大阪湾は魚が豊富であることの説明がありました。
しかし一方で、護岸の開発により干潟などの自然な形の浜辺が消失したことによる大きな弊害の紹介がありました。それは、干潟が広がっていた時代には、カニやゴカイなどの生物により、川上から流れてくる汚れや有機物が分解されていたが、干潟の消失によりそのような機能は果たされず、プランクトンにより分解され尽くされない有機物が、海底にヘドロとして蓄積するという大きな課題があるというお話しでした。
最後に、北藤講師から参加児童に向けて二つのお願いがありました。日常生活で汚れた水を出すことをより少なくする工夫を、各自考えてみて欲しいということ、そして、海や川に決してゴミなどを投げ捨てないことを心がけてほしいとのお話しをいただきました。
【海遊館の見学】
見学会の最後は、大阪が誇る水族館「海遊館」に入館し、海の生物を見学し、学習を深めました。
参加児童は海遊館の「探検ノート」を片手に、展示生物の案内などを書き写したり、館内スタンプラリーを楽しんだり、サメやエイなどの魚に実際に触れてみるなど、命を育む海の大切さや奥深さ、そして、海の恵みについて一層理解と関心を深めました。
参加者の声
・石炭を積んだ大型貨物船がタグボートに押されて接岸しようとする光景が見られてよかった。
・間近にコンテナ船の荷役等が見られてよかった。
・輸入の99.7%が船によることに驚いた。
・大阪湾にいろんな魚が多くいることは知らなかった。
配布資料
・プログラム(大阪しおり)
・サンタマリア探検問題(探検クイズ5年生、又は探検クイズ6年生)
・絵手紙の書き方
・色鉛筆
・その他
メディア掲出
・日刊カーゴ(H28.6.29)
・ラジオ関西
平成28年7月17日(日 )12時より「ニョッキニョッキラジオ」放送予定
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています