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第7回 沿岸観察会

2016.07.20

天然の水族館ともいえる磯の生き物にふれることで、生物多様性や海水温などの環境条件による生物の特徴などを学び、地球を探り、科学の目を養うのが目的。

日程
7月2日(土)〜3日(日)

開催場所
青森県むつ市・むつ市下北自然の家/ちぢり浜

主催
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)むつ研究所

後援
むつ市、むつ市教育委員会

協力
北海道大学大学院水産化学研究院
八戸水族館マリエント「地球たんけんクラブ」

参加人数
66名(中学生2名、高校生17名)

【1日目】
初日は宿泊先ともなった「むつ市下北自然の家」の研修室で、午後1時30分から15時35分まで、JAMSTECの職員をはじめ、北海道大学大学院水産科学研究院の教員や院生らが、ちぢり浜で採集してきた海藻や貝などのサンプルを屋内の研修室で観察。休憩を挟み、まとめと翌日の海浜調査の説明などが行われました。
その後、16時40分から宇治利樹博士(北海道大学大学院水産科学研究院助教)、山崎友資博士(北海道・蘭越町総務課学芸係長)、遊佐貴志博士(独立行政法人青森県産業技術センター研究員)の3名が、海藻やクリオネをテーマに講義。別室で小中学生向けにDVD上映を行っていたにもかかわらず、一部の小中学生も講義に耳を傾けていました。聞けば、今回参加した八戸市水族館マリエント「ちきゅうたんけんクラブ」のメンバー。中学生の男女2人組は、4歳のときから同クラブに通う海好きです。
「海草や海藻が減ると、海の生物も減ってしまうので、大切にすることが生物を保護していくために重要だということがわかりました」と木村太謹(だいき)さん(14歳)。
一方の清水萌花(ほのか)さん(13歳)は、「海にかかわる仕事につきたいので、レベルは高いけど北大の水産学部を目指しています!」と目を輝かせていました。

 


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【2日目】
2日目は、待望の海浜調査。同施設から徒歩10分ほどの場所にある「ちぢり浜」で、岩肌や石の下、タイドプール(潮だまり)を観察。さらに、たも網を使って海中のウニやヤドカリ、ウミウシなどをすくい、生き物の感触を体感したほか、コドラートという正方形の枠を使って、海藻・海草がどのくらいの割合で岩肌を被っているか計測しました。
梅雨前線の通過にともない、下北半島は朝方までどしゃぶりの雨。幸いにも一行が海浜調査を始めた9時過ぎには青空に。ちぢり浜の目の前は津軽海峡。この浜は波食棚という広く平坦な岩場で、凝灰岩層や泥岩層、砂岩層からなる地層が露出しています。そして、広々とした灰白色の磯には大小さまざまなタイドプールが点在。これは、砂岩層が浸食作用を受けやすいために形成されたもの。グループごとに調査を行っていた参加者たちは、場所を移しながらタイドプールの縁にしゃがみ込み、「ウニだ〜ッ!」、「カニだ〜ッ!」、「魚がいた〜ッ!」「ホヤのたまごだ〜ッ!」と歓声があちこちから聞こえてきます。
どれどれ、それではとタイドプールをのぞいてみることに……。
「うわぁッ、波もないのに石ころがモゾモゾ動いている!?」
よく見ると、タイドプールというのがはばかられるほど小さな潮だまりに、ヤドカリがウジャウジャいます。海面と陸地の境界線を「汀線(ていせん)」といいますが、ちぢり浜は、この汀線からタイドプールまでの距離や海抜が異なるため、潮の満ち引きにより海面下にある時間の長さや海水温に違いがあり、動物相や植物相も変化に富んでいるのだとか。
「おれたち南部ダイバーをめざしているので、学校の実習でしょっちゅう海に潜っていますが、今回の観察会に参加して、海水温と海藻、海草、魚貝類の関係を講義で知って、海の見方が変わりました。知識がないと、潜水中に目の前に生えていたり泳いでいたりするものが何なのかわからない。知識があったほうが絶対にいいと思います」と口をそろえるのは、岩手県立種市高等学校海洋開発学科の4人組、中塚猛文さん、小笠原省吾さん、下田達也さん、柳清水啓人さん(全員17歳)です。
幼児も高校生もおとなも磯観察に熱中した約2時間はあっという間に過ぎ、夏の日差しにきらめく津軽海峡をあとに、ベースキャンプの「むつ市下北自然の家」へ。それぞれに「海の宝」を心に抱え、参加者はこの日の午後、チャーターバスや保護者の自家用車で帰路についたのでありました。

高台にある「むつ市下北自然の家」から「ちぢり浜」まで徒歩数分。ライフジャケットを装着して、いざ、海へ

 


その他
告知ポスター

メディア掲出
東奥日報10面 2016.7.4

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています