海と日本PROJECT ミッション2020 日本近海の海底で、海の宝を探査せよ!-日本の海洋資源-
注目の次世代エネルギー源、メタンハイドレードなど日本の海洋資源について考える体験学習イベントを開催。JAMSTEC学習プログラムでは研究棟や有人潜水調査船「しんかい6500」の見学も。演示実験などで積極的に質問するなど子どもたちにとって刺激的な学習体験になりました。
2020.12.11
注目の次世代エネルギー源、メタンハイドレードなど日本の海洋資源について考える体験学習イベントを3回にわたって開催。JAMSTEC学習プログラムで研究棟や有人潜水調査船「しんかい6500」なども見学し刺激的な学習体験になりました。
日本の次世代エネルギー源として注目されているメタンハイドレートを含め、日本の海洋資源についての知見を広めるとともに、いろいろな視点から利点や問題点について考えることを重点目標としました。
またキャリア教育の一環として海洋資源調査・研究の仕事に関する知見を得てもらいました。
日程
2020年8月12日(水)、8月19日(水)、8月22日(土)
開催場所
8月12日(水)JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)技術センター
8月19日(水)JAMSTEC(海洋研究開発機構)横須賀本部
8月22日(土)千葉市科学館
参加人数
8月12日 6人、 8月19日 5人、 8月22日 6人、 延べ 17人
主催
千葉市科学館
共催
北海道大学大学院水産科学研究院
プレイベント 8月12日(水)JOGMEC技術センター(TRC)14:30~16:00
幕張にあるJOGMEC技術センターを訪問し、JOGMECの紹介や石油や天然ガスのでき方、メタンハイドレートとは何か、その調査方法、掘削方法等の講義を受けました。また、1階エントランスホールにある調査器具や調査船等の模型の説明をしてもらいました。
不思議な形の調査船や、メタンハイドレートを取り出すときの大変なお話など、少し難しいお話が多かったようですが、何とか理解しようとがんばっていました。
JAMSTEC学習プログラム 8月19日(水)10:30~15:30
大型観光バスで、千葉市科学館からJAMSTEC横須賀本部へ行き、JAMSTECで今回新たに企画された、JAMSTEC学習プログラムを体験しました。午前中は、JAMSTECの紹介と海洋資源の講義、午後は研究棟の見学と、有人潜水調査船「しんかい6500」や深海調査のための機器の見学、展示室の見学をさせてもらいました。午前中の講義では、チムニーやマンガンノジュール、マンガンクラスト、レアアース泥などの実物を見たり触ったりさせてもらい、とても興味深く観察して、不思議に思ったことなどを積極的に講師の鈴木勝彦先生に質問をしていました。大陸の石(花崗岩)、海洋地殻の石(玄武岩)とマントルの石(かんらん岩)を重液に入れ、大陸がマントルの上に浮いていることを構成する石の比重の違いから見せる演示実験では、石が液体に浮き、しかも浮き方に違いがあることが目に見えてわかり、子ども達も不思議に感じて興味を持った様子でした。また、海洋地殻の石はネオジム磁石で動く=磁気を帯びていることを、一人ずつ確かめさせてもらったりと、不思議な体験をたくさんさせていただきました。
午後は、まず研究棟の見学に行き、岩石カッターの体験をさせてもらいました。子ども達は、岩石カッターの刃は、石が切れるのに触っただけでは指も切れないことにびっくりしていました。クリーンルームも外から見学させてもらい、クリーンの段階も2段階あり、サンプルに余分なものが混じらないように、とても神経を使っていることに感心したりしていました。潜水調査船のドックに行くと、「しんかい6500」の本物があり、みんなそれぞれ写真を撮って、思っていたよりもずっと大きい「しんかい6500」を見上げながら、説明を一生懸命聞いていました。他にも「うらしま」や「ハイパードルフィン」などの深海調査ロボットの説明をしてもらいました。展示室の見学の頃には、かなり打ち解けて、JAMSTECのスタッフの方にいろいろ質問したりしながら、積極的に見て回っている姿が印象的でした。帰る前には、調査船「かいれい」の前で記念撮影をして帰ってきました。
千葉市科学館実験教室 8月22日(土)9:30~15:30 8階 科学実験室A
最終日は、千葉市科学館8階科学実験室Aにおいて、午前中は千葉大学大学院理学研究院の戸丸仁准教授のメタンハイドレートの講義と燃焼実験、午後は引き続き戸丸先生の講義の後、これまでのまとめを書いて、一人ずつ発表をしました。この日は高校の先生2名も実験に参加して、午後のまとめと発表にも一緒に加わってもらいました。
今回の燃焼実験には、戸丸先生に人工的に作っていただいた人工のメタンハイドレートを使わせてもらいました。また、海底から採取したメタンハイドレートの実物も見せてもらえたので、自然にできたものと人工のものと比較して、色の違いや匂いの違いなどに気づいて質問したりしていました。匂いは温泉のような匂いで、それは硫黄の匂いで、そのまま燃やすと有害な物質ができることも教えてもらいました。また、メタンが二酸化炭素の20倍もの温室効果をもつことも教えてもらい、とてもおどろいていました。地球温暖化の話は、小学5年生でも関心があるようでした。燃やす前に、実際に触ってみようということで、最初は恐る恐る触っていましたが、思いの外それほど冷たくないということがわかり、どんどん触って、どんどん燃焼させて、燃焼の様子を観察したり、燃焼後に水が落ちている様子を観察したりしていました。メタンハイドレートが溶けてメタンのまま放出されるより、燃焼させて二酸化炭素にした方が温室効果としては抑えられることを知ったからか、戸丸先生が用意してくださった人工のメタンハイドレートを、すべて燃焼させて、その様子を写真に撮ったりして、とても楽しそうに実験をしていました。
午後のまとめでは、これまでに知っておどろいたことや楽しかったことなどをホワイトボード用紙に書いてまとめ、それを使って発表をしました。まとめの時間が足りないくらい、たくさんのことを書いて、一生懸命発表してくれました。それぞれが感じたことが違い、お互いの発表を聞いて、なるほどと思うことも多かったです。
全体を通して、参加してくれた子ども達は、講義や説明を聞くだけでなく、主体的に動ける実験や体験があることで、より興味を持って参加でき、質問なども積極的に行えるようになってくるようでした。理解するのが少し難しいかもしれないけれど、学校の勉強とはまた違う環境で、少し背伸びしてでも新しいことを学ぶという経験は、子ども達にとってとても刺激的ないい経験になったようです。
<チラシ>
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています。
参加人数:17人