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南極や北極の観測経験から海洋科学の10年と海の未来を考える【海のアート展 記念講演会】を開催しました!

糸魚川ジオパーク協議会は、フォッサマグナミュージアムにて「海のアート展 ~海の未来とSDGs~」を開催。海洋プラスチックなどの環境問題を広く啓発するとともに、企画展の開催を記念して、海洋科学と環境問題をテーマとした講演会も行いました。

2022.08.16

糸魚川ジオパーク協議会は、海洋プラスチックなどの環境問題を広く啓発することを目的として、新潟県糸魚川市にあるフォッサマグナミュージアムにて「海のアート展 ~海の未来とSDGs~」を開催しています(開催期間:7月2日~8月31日)。この企画展の開催を記念し、7月30日に海洋科学と環境問題をテーマとした講演会を開催しました。

この企画展と講演会は、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
フォッサマグナミュージアム企画展「海のアート展」の記念講演会を開催。
開催日時
2022年7月30日(土)13:30~15:00
開催形式
① 会場から視聴(会場:フォッサマグナミュージアム(新潟県糸魚川市一ノ宮1313))
② ご自宅から視聴(申込者限定YouTube LIVE)
講師
原田 尚美さん(海洋学者、東京大学教授、第60次南極地域観測隊 夏隊長)
演題
北極の温暖化と新潟の豪雪の意外な関係
参加人数
① 会場:15人
② YouTube LIVE:7人

講師紹介

海洋学者。名古屋大学で博士号(理学)取得。国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者として、北極から南極まで世界中の海をフィールドに活躍する。1992年、女性隊員として当時2人目となる南極地域観測隊に参加。自身2度目となる第60次南極地域観測隊では、女性初となる夏隊長に任命される。2022年6月から、東京大学大気海洋研究所に活躍の場を移した。

北極の温暖化と新潟の豪雪に意外な関係について講演

北極から南極まで世界中の海をフィールドに活躍し、国連海洋科学の10年の普及活動にも取り組む原田先生。気候変動の影響が最も大きい北極海での観測経験から、海の未来について語っていただきました。
産業革命以降、大気中のCO2濃度は急速に高まり続け、約300万年前以来のCO2濃度400ppmを超える時代を迎えています。世界中で展開されている海洋観測網の観測結果では、世界の平均気温のみならず、深海6,000m域まで温暖化している事実が明らかになりました。これは、海水から放出される水蒸気量の増加に繋がり、集中豪雨の頻度や規模がさらに増加すると予測されています。また、最適水温が12℃以下の白鮭は、近い将来、北海道でも獲れなくなる時代がくると予測されており、北海道や新潟県村上などに伝わる鮭の食文化消滅にも繋がることが危惧されています。
新潟大学の本田先生らによる研究結果では、北極海の海氷が減少すると冬型高気圧(シベリア高気圧)の発生域が移動し、日本列島に寒波(寒冷渦)が発生する可能性が高くなると予測されています。新潟県内でも2005/2006の寒冷・豪雪、2020/2021の局所集中豪雪が寒冷渦の影響であると考えられており、最近の傾向である小雪と多雪(短時間豪雪)の繰り返しは、今後より極端になる可能性があります。北極と新潟の意外な関係について驚くとともに、気候変動を代表とする環境問題の多くは、世界規模で取り組んでいくべき課題であると改めて考えさせられる講演でした。

参加者からの声

・講演を聴く前は、温暖化すると新潟が豪雪になるというのは不思議な感じがしたが、講演を聴いた後は、そのメカニズムが理解できて面白かったです。
・改めてCO2排出量を抑える暮らしを考えてみようと思いました。

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:22人