【淡路島で海と環境の出前授業】を開催しました!
一般社団法人IKUHART企画は、2024年6月から10月、淡路市の中田小学校、津名東小学校、浦小学校で、淡路島の海と環境を学ぶ出前授業「淡路島で海と環境の出前授業」を開催。それぞれの地域で生物観察やビーチコーミング活動などを行いました。
2024.03.15
一般社団法人IKUHART企画は、淡路島の海と環境を学ぶ出前授業として、令和5年6月から10月にかけて、淡路市の中田小学校、津名東小学校、浦小学校で<淡路島で海と環境の出前授業>を開催いたしました。
このイベントは、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環で開催するものです。
開催概要
淡路島で海と環境の出前授業
座学 教室で事前授業と準備
ビーチコーミング活動
海浜植物、生き物を学ぶ
座学 振り返りの授業
日程
2024年
第1回6月20日(火)
第2回9月22日(金)
第3回10月2日(月)
開催場所
兵庫県淡路市 中田小学校、中田地区のため池と用水路
津名東小学校、淡路佐野ビーチ
浦小学校、浦県民サンビーチ
参加人数
100名
協力団体
あわじ自然海浜の環境推進協議会、淡路市教育委員会、IKUHART企画、淡路島ちどり隊、兵庫県立大学院淡路景観園芸学校
淡路島で海と環境の出前授業を開催するにあたって
昨年度当法人が開催した海と環境のシンポジウムに参加された淡路市山本教育長より、淡路島の海と環境に関して出前授業ができないかとの要望があり、淡路市のすべての小学校での開催を目指して、4月13日津名小学校、4月17日多賀小学校、4月26日浦小学校、5月6日北淡小学校で開催される各地区校長会へ出向いて、すべての学校長に対して海と環境の出前授業の開催を希望する経緯と趣旨などの説明を行いました。
春は淡路島ちどり隊所属の兵庫県立大学院景観園芸学校の澤田先生に出前授業を請け負ってもらいました。澤田先生は淡路島において海浜植物学の権威であり、植物学の書籍も多数出版されています。澤田先生が所属する淡路島ちどり隊とIKUHART企画のスタッフで開催することになりました。
第1回 令和5年6月20日(火) 中田小学校 教室で事前授業、そして用具の準備
中田小学校は島の中央部にありますから幾度となく下見を重ねた末に、前期は学校とその周辺のため池や用水路で学び、後期は海岸へ移動して海浜植物やちどりなどを学ぶことから、里と海の環境は繋がっていることが感じ取れる授業展開を目指しました。今回は前期の開催になります。
今回は中田小学校の3年生が総合学習の環境を考える取り組みの一環として開催しました。最初に教室で講師やスタッフの紹介、そして今日は何をするのか簡単なガイダンスを行ったあと、準備物の確認、ため池や用水路に仕掛ける用具の制作を行いました。用具はペットボトルに穴を開けてエサと重りをいれて紐でつるすだけの簡単なものですから小学校の児童も楽しく制作できました。
第1回 令和5年6月20日(火) 中田地区の植物を学ぶ
仕掛ける用具、生き物取り用の網、バケツを持って小学校を出発しました。事前に下見をしていたので、児童が興味を持つ生き物が見えたり植物が自生しているルートを選びました。先ずは小さなため池があり、そこでは足の生えたオタマジャクシやかえるなどがたくさんいて、児童はガードレール越しにたくさん泳ぐかえる達に驚いていました。
少し歩くと、やまももが自生している場所に到着。澤田先生が枝を揺らして落とします。子どもたちは下で網を構えてやまももの身を採って食べます。担任の先生も幼少期以来数十年ぶりに食べたようで、もちろん子どもたちは初めて食べました。あちこちから甘い美味しいという声があり食べ続けました。さらにとても甘い香りのする花を紹介してもらい子どもたち自身で摘み取って楽しんでいました。学校周辺だけでこのような実体験ができることに、小学校の校長先生も担任の先生も私たちも驚きでした。
第1回 令和5年6月20日(火) 中田地区のため池や用水路で生き物観察
事前に管理者から許可を得ているため池と用水路に行きました。子どもたちが地域のため池や用水路に出かけることは珍しいようなので、たくさんの地元の方に声をかけてもらいました。子どもたちが地域の自然の中に出かけて活動することは素晴らしいと共感のことばももらいました。また保護者も数人来ていました。
ため池に着くと、生き物採取用のペットボトルを仕掛けて、ため池に網をいれる時は必ず大人が付き添って児童一人ずつ生き物を採取してバケツに入れました。子どもたちは、バケツに入った多様な水草、カニや小魚を観察しました。観察が終わるとキャッチアンドリリースでため池に返します。
次は用水路に行き、講師スタッフが散らばって見守りをしました。子どもたちは自主的に網を用水路に入れて、それぞれ生き物を採ってバケツに入れて学校に持ち帰りました。澤田先生の心がけとして、小学年代の子どもたちに対してネガティブなことば掛けや活動はしたくない。楽しくてわくわくする内容で活動したいと言われておりましたので、正にその活動が実施されており、誰一人として飽きることなく最後まで生き物採集を楽しんでいました。
第1回 令和5年6月20日(火) 中田小学校に戻って生き物観察と振り返りの授業
小学校へ戻り、運動場の手洗い場で、生き物観察会を実施しました。コシアキトンボ、ヌマエビ、スジエビ、タマガムシ、カイエビ、ヌマガエル、ハイイロゲンゴロウ、ミズムシのなかま、シマヘビ、メダカと澤田先生はすべての生き物とその特徴をすぐに回答するものですから、子どもたちも「これは、これは?」と言ってどんどんと興味を深めている様子でした。講師は、深い知識と豊富な経験が重要であると改めて感じました。みんなで用具を洗って、ため池に返す生き物と後で教室で観察する少しの生き物に分けました。
教室に戻ってから振り返りの授業でした。澤田先生から身振り手振りを交えながら楽しく珍しい生き物やかわいい生き物の紹介があったので、子どもたちも「わ~かわいい」などと声を出して学んでいました。授業最後の方では、澤田先生は子どもたちから「さわちゃん、この生き物なに?」と親しみを持って呼ばれるなどの素晴らしい授業展開に、スタッフも多くの学びがありました。
第2回 令和5年9月22日(金) 特別ミッション 魚を食べる海のワシ ミサゴを見よう
今回は、津名東小学校の3年生の児童と海と環境の出前授業です。淡路佐野ビーチへ出かけて活動するので移動時間も必要です。野外での活動時間を確保するために、休み時間の間に校庭に集まってもらい外で事前授業を実施しました。講師、スタッフの紹介のあと、澤田先生の授業が始まりました。
学校から海浜まで徒歩移動のため、子どもたちには網を持って行ってもらいまいた。校長先生には車でビーチコーミング活動や生き物採取や観察に必要な用品を運んでもらいました。澤田先生が子どもたちに最初に与えたミッション1は、「特別ミッション 魚を食べる海のワシ ミサゴを見よう」でした。海までの道で気になる植物を見つけようやミサゴとはどのような鳥なのかなど、子どもたちにとって興味津々な話がたくさんありました。
第2回 令和5年9月22日(金) 淡路佐野ビーチまで移動しながら植物、生き物観察
澤田先生はいつも子どもたちに対してとてもわかりやすく興味をもつ話をしてくれます。そのような良い影響で、子どもたちは道ばたの植物や川の生き物に興味津々でなかなか進みません。澤田先生も子どもから「これなにですか?」の問いかけにすべて答えてくれるので予定していた移動時間は約3倍かかりました。スタッフが時間のことで心配していても澤田先生は子どもたちのペースで活動を進めて行きます。今回は子どもたちにミッションを4つ与えたのですが、このような子どもたちのペースで活動することは、児童が誰一人飽きることなく最後までやり遂げましたので、そのためのテクニックであることも十分に理解できました。調べ学習を経て子どもたち自身の探究心を育む活動のお手本でした。
津名東小学校は数年前に統廃合の危機を乗り越えた小学校です。いま淡路市の小学校は過疎化高齢化の影響で統廃合が進んでいます。西浦地区の小学校は6校が1校に統廃合されました。津名東小学校も自宅から学校まで観光バス、マイクロバスで通学する子どもが多数を占めています。そのため、登下校中に道草をする楽しみや生き物に触れる機会を失っているために、今回スタッフで環境保護活動されている地元の方からとても有り難く素晴らしい活動であると言ってもらいました。
第2回 令和5年9月22日(金) ミッション ビーチコーミングで○○を見つけよう
佐野ビーチに到着すると子どもたちは岸壁に止まる鳥や飛んでいる鳥を観察してミサゴを探しました。集合をかけ本日2つ目のミッション「ビーチコーミングでおもしろいもの、ひしぎなものを見つけよう」の活動を開始しました。このような呼びかけをすることで、汚いと感じる海洋ごみも次々に拾っていきます。各班バケツ一杯に海洋ごみ拾いを終えた後、班ごとにどんなおもしろいものやふしぎなものを集めたのか発表しました。最初の方で発表する班はあれこれと拾った物を見せてくれました。後の方で発表する班は、物が被らないように違った海洋ごみを紹介しようとして苦労していました。中には、海洋ごみでなく牡蠣殻が変化したものなど「なにこれ~」とびっくりするような物もあり、楽しい発表会になりました。
第2回 令和5年9月22日(金) ミッション ヒメハマトビムシをさがせ
本日3つ目のミッション「ヒメハマトビムシをさがせ」の活動です。始めにヒメハマトビムシの絵を見せて、その後、澤田先生が海浜の草木の下にふるいを入れてヒメハマトビムシを見つけ子どもたちに提示しました。子どもたちもスタッフも先生達も海辺育ちですが、全員が初めてヒメハマトビムシの実物を見たのでそのかわいさにも感動でした。その後の活動では、子どもたちから「見つけた~」の大きな歓声があちこちから聞かれ、校長先生も含めて大人たちも一生懸命に探して、それぞれに感動していました。
第2回 令和5年9月22日(金) ミッション 波打ちぎわで生き物さがし
本日4つ目のミッション「波打ちぎわで生き物さがし」の活動です。澤田先生の授業展開が素晴らしくて子どもたちは興味津々。子どもたちは網を持って海に入りカニや小魚や貝を採っていました。このミッションは生き物を採取して観察して名前を確認できたらリリースという約束です。子どもたち全員が海に入って、がんばりすぎて膝やお尻を濡らす子どももいて、先生達を心配させるほど熱中していました。
佐野ビーチでの活動後、徒歩で小学校へ戻り、校庭で振り返りの授業を行って終了でした。3時間目と4時間目の2時間続きの課外授業でした。今回は事業レポートでありますが、澤田先生の授業展開は、環境問題に取り組む人たちに向けての課外授業のお手本のようでした。今後に生かせることが出来るように、授業の流れとして、子どもたちに与えたミッションを掲載しています。
第3回 令和5年10月2日(月) 浦県民サンビーチへ移動して座学
今回は、浦小学校の3年生の児童と海と環境の出前授業で、学校からすぐ近くの浦県民サンビーチで活動しました。お天気がいいので、担任の先生が引率で海浜に集まってもらって事前授業を実施しました。今回も講師は澤田先生です。浦県民サンビーチが自然海浜として国の保全地区に指定されていること、海浜植物や環境のことを学んだ後にビーチコーミング活動に入りました。
第3回 令和5年10月2日(月) ミッション ビーチコーミングで○○を見つけよう
今日の一つ目のミッション「ビーチコーミングでおもしろいもの、ひしぎなものを見つけよう」です。この海浜では、環境団体AWAJIBLUEが毎週ビーチクリーン活動を実施したり、淡路島ちどり隊がシロチドリの保護地域に指定して活動していたり、環境への意識が高い地域です。ただこれは大人の話で、子どもたちにどう興味関心を持ってもらって継承していくかが課題です。出前授業に熱心に関わっているスタッフもこちらの地域で環境活動やPTA活動をする方ですが、ご自身のこどもはさっぱり関心を持たないと危惧しています。澤田先生の授業展開で子どもたちはどのように活動してくれるのか楽しみでした。「ビーチコーミングでおもしろいもの、ひしぎなものを見つけよう」との問いかけは子どもたちに心にスイッチが入るようで、一生懸命に海洋ごみ拾いをやっていました。
第3回 令和5年10月2日(月) ビーチコーミング活動後に各班からの発表会
毎週ビーチクリーン活動が実施されている海浜なので、あまり海洋ごみはありません。そんな中でも、様々な海洋ごみを拾ってきて、各班からおもしろいもの、担任の先生からふしぎなものの発表がありました。
第3回 令和5年10月2日(月) ミッション ヒメハマトビムシをさがせ
今回もミッション「ヒメハマトビムシをさがせ」を実施しました。ヒメハマトビムシがとてもかわいい姿をしていることもあり、すべての子どもが熱中して探していました。こちらの自然海浜はシロチドリの保護地域のため、海洋ごみは拾われていますが、鳥のエサとなる虫のすみかとなる流れ着いた草木は残っています。そのため、ヒメハマトビムシ以外にもたくさんの虫を見つけることができました。澤田先生から、浦県民サンビーチのような野鳥も共存できる環境は理想であって地域の宝物であると教えられました。子どもたちの心に残る課外授業になったと感じました。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:100人