『第26回 海辺の教室in福岡・糸島』~「鳴き砂」の海岸活動が結ぶ若者と地域の輪〜を開催しました!
九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは「第26回海辺の教室in福岡・糸島~『鳴き砂』の海岸活動が結ぶ若者と地域の輪〜」を開催。漂着ごみ調査を行う山口県防府市立国府中学校と、地元の鳴き砂を守る活動をしてきた糸島市立福吉中学校の生徒たちが意見交換や交流を行いました。
2023.12.01
九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、2023年10月31日(火)に「第26回海辺の教室in福岡・糸島」~「鳴き砂」の海岸活動が結ぶ若者と地域の輪~を開催いたしました。
山口県防府市立国府中学校は、部活動として漂着ごみについて調査を行っており、鳴き砂とカブトガニを中心に研究を進めています。電子顕微鏡で砂粒の表面を観察するため九州大学を訪問したあと、糸島市二丈鹿家海岸で有名な「鳴き砂」がある校区の糸島市立福吉中学校との交流を行いました。福吉中学校の生徒は、行政区の住民で定期清掃を行い鳴き砂を守ってきた経緯があります。お互いの活動の意見交換と交流会を開催し、教育効果の向上を目指します。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
山口県防府市立国府中学校と福岡県糸島市立福吉中学校との交流を行い、お互いの意見交換などを通すことによって、教育効果の向上を目指します。
日程
2023年10月31日(火)14:00~16:00
開催場所
九州大学伊都キャンパス・糸島市立福吉中学校・糸島市二丈鹿家海岸、姉子の浜
参加人数
子ども21名、教員7名 地域の方、6人 合計34名
講師
清野聡子(九州大学准教授・九州大学うみつなぎ統括プロデューサー)
姫野吉秀(糸島市立福吉コミュニティセンター、センター長)
後援
糸島市・糸島市教育委員会
九州大学中央分析センター
鳴き砂は汚れると鳴かなくなります。生徒たちは、炭やプラスチックの粉、油を加えて鳴かなくなった鳴き砂の表面の様子の違いを調べるために九州大学中央分析センターの低真空高度走査電子顕微鏡(SU3500)で観察を行いました。図鑑やテレビで見るようなミクロの世界に感動しながら、自ら操作を行って砂の表面に付着した汚れや小さなゴミを解析しました。観察してみると、これはなんだろう?と新たな疑問やわからない発見があり、次の解析のアイデアがもう浮かんでいるようでした。
糸島市立福吉中学校で、防府市立国府中学校の生徒のプレゼン
10月31日(火)は山口県防府市を朝6時に出発しました。朝は早いけれどお母さんの作ってくれたお弁当をしっかりと食べ、二番目の目的地である糸島市立福吉中学校に到着し校長先生からの激励を受けしっかりと発表を行うことができました。
国府中学校の科学部の生徒たちは、高校生を対象とする2023年8月9日の「マリンチャレンジプログラム2023 中国・四国大会~海と日本プロジェクト」に中学生の部活で出場し、漂着ごみ調査~プラごみからカブトガニと鳴き砂を守れ~をテーマに研究発表を行い、優秀賞を受賞しました。彼らは、福岡県糸島市の
有名な姉子の浜も知っており、九州大学工学研究院の清野聡子准教授に研究について相談したことが、今回の交流に繋がりました。発表内容は、海岸環境の悪化により、鳴き砂が減少している根拠となる調査であり、山口県下関のうしろ浜海岸など数地点の砂の調査内容をパワーポイントを使用し説明しました。
鳴き砂が鳴かなくなるとはどういうことかを調べるために、鳴き砂に異物を混入させて比較したり、マイクロプラスチックを除去する仮説をたて実験研究をおこなった物です。
福吉中学校の生徒たちも真剣な面持ちで成果発表に聞き入っていました。
二丈鹿家海岸・ 姉子の浜へ
バスに乗り、福吉中学校近くの玄海国定公園 鹿家海岸・姉子の浜に行き海岸に降りました。海岸には、福吉校区鹿家行政区にお住まいで「姉子の浜を守る会」の会長である横尾さんが待っていてくださり、浜のことをお話しいただきました。福吉校区では、6つの行政区があり当番制で毎月ごみ拾いをしています。この日は天気も良く時期的なことも好条件となり、生徒たちみんなが砂を歩いたときに、キュキュ、キュと砂浜が鳴き感動に包まれました。横尾さんは、「昔はもっと綺麗な海岸でした。大雨や災害が多く土地開発の影響もあり砂が鳴かなくなった時期がありましたが、平成5年に再び鳴くようなったので、守る会を作り約30年、毎月一回清掃活動をおこなうようになりました。地域の財産を住民の皆さんで協力して守っています」と説明されました。
糸島市立福吉コミュニティセンター・姫野センター長からのプレゼン
糸島市立福吉コミュニティセンターの姫野センター長から、姉子の浜の鳴き砂についてご教示をいただきました。これは、中学1年生の生活科の授業で毎年行っているもので、この日は福吉中学校と国府中学校の生徒たちと一緒に、始めての勉強になりました。砂が鳴く条件として①砂の中に石英の含有率70%以上、②砂の中に不純物が含まれないことだと言われ、国府中学校の研究の仮説が合っていることが分かりました。
また、福吉校区振興協議会の会長や環境部会長の吉井上行政区区長、鹿家行政区区長、並びにこの日は区長会であったことから、2名の議員さんも駆けつけてくださいました。
人口の少ない小さな町ですが、地域の皆さまに見守られ成長していける環境が素晴らしいと感じました。
この交流を通じて今後もますますの地域の発展を見守り応援していきたいです。
国府中学校の生徒の、「自分たちの住む防府市の瀬戸内海では見られない外海の玄海灘は、波が引いたあと線状になった砂が現れ波が強いんだなと思いました。」と大人顔負けの鋭い着眼点に驚かされました。
最後に、国府中学校の顧問である藤村先生の「いい出会いになったと思います。更に研究を進めていきたいと思います。福吉中学校の皆さんには、地元の宝物として大切に。誇りにしてほしいと思います」という言葉が印象的でした。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:34人