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“ウニの受精を通して生命と海の環境を学ぶ”【第4回・第5回 お茶大 海のジュニアティーチャー養成講座 】を開催しました!

お茶の水女子大学は、ウニの受精を通して生命と海の環境を学ぶ「第4回・第5回 お茶大 海のジュニアティーチャー養成講座」を開催。ウニの発生の観察のほか食につながる漁業や海産物のお話を通して、生命や海の環境について学んだ参加者たちへ“ジュニアティーチャー認定証”を授与しました。

2024.03.19

お茶の水女子大学は、海について学び、海について発信できるジュニアティーチャーの育成に取り組んでいます。2024年2月23日(祝・金)・2月24日(土)、第4回・第5回お茶大 海のジュニアティーチャー養成講座を開催しました。この2日間は、ウニの発生の観察を通して生命についてや、私たちの食につながる漁業や海産物のお話を通して、海の環境についてを学びました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
海と日本PROJECT「第4回 第5回お茶大海のジュニアティーチャー養成講座」
日程
2024年2月23日(祝・金)・24(土)
開催場所
お茶の水女子大学 国際交流留学生プラザ
参加人数
31名(第4回13名、第5回18名)
協力団体
一般社団法人MSCジャパン、株式会社なとり

はじめに

お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所は湾岸生物教育研究所とともに、株式会社なとり(以下、なとり)、一般社団法人MSCジャパン(以下、MSC)職員の協力を得て、第4回は小学5年生以上を対象に、第5回は小学生以上を対象にお茶大海のジュニアティーチャー養成講座を実施しました。当日は生きた冬のウニであるバフンウニに実際に触れ、ウニの卵と精子を材料に発生実験を行い、顕微鏡を使って発生の様子を観察しながら、より深く生命について学びました。また、海と食についてのお話をMSC職員、なとりから聞き、私たちの海と食の未来についても考えることができました。本講座の参加者には”お茶大海のジュニアティーチャー”として認定証が授与され、今後、海洋教育の担い手としてさまざまな取り組みに参加することが期待されます。

ジュニアティーチャーによる自己紹介とレクチャー

はじめに、海のジュニアティーチャーによる自己紹介を行いました。第4回では過去のイベントで認定されたジュニアティーチャーが12名、登場しました。第5回では、第4回に参加して認定されたばかりのジュニアティーチャーたちも早速活躍しました。

その後、ウニの体のつくりや、ウニから卵や精子を取り出す「採卵・採精」について(第4回のみ)、受精実験の手順をクイズを交えるなどしてわかりやすく参加者に説明しました。参加者の学年が低い第5回では、手元の操作をスクリーンに写すなど工夫して紹介しました。ジュニアティーチャーたちの事前の準備の様子は番外編をご覧ください。

いよいよ、採卵・採精、受精実験のスタートです。

第4回では、ウニの採卵・採精作業も実際に行いました。慣れない操作に戸惑う様子も見られましたが、本物のウニの体を見たり触ることができ、皆、大興奮。ジュニアティーチャーたちに見守られて、無事に作業できました。

受精実験では、はじめて見る器具や操作ばかりでわからないことも出てきましたが、ジュニアティーチャーたちのサポートにより、皆、受精卵を顕微鏡で観察することができました。顕微鏡を通して実際に見れたときの喜びは大きく、一人一人にとって忘れられない体験となりました。参加者は受精後の卵には受精膜があがっていることや、精子が卵に比べてとても小さいことなどをじっくりと観察することができました。このあと、次の変化が見られるまでに少し時間があるので、海と食のお話の時間に移りました。

わたしたちと海とのかかわりについて

みなさんの好きなお寿司はなんですか?お店にはたくさんのネタがありますが、お寿司に限らず日本人が食べる食用の魚はなんと500種ほどあるとも言われています。日本は国土は狭いけれど海の広さ(領海と排他的経済水域)は世界第6位という順位です。日本の海には大陸棚が沿岸に広がり、プランクトンや海藻が生息し魚が集まる豊かな漁場が広がっています。さらに栄養豊富な「親潮」と暖かな「黒潮」と呼ばれる海流により豊かな漁場が生まれ、中でも三陸沖のエリアは世界三大漁場の1つとされています。

では私たちはどれくらい海や川から得られた魚介類を食べているでしょうか。実は私たちが摂取する動物性たんぱく質のうちの約30%が水産物由来で、私たちにとって重要なたんぱく源であることがわかります。しかし、日本の漁獲量は年々減ってきています。海水温の上昇や海洋環境の変化なども原因の1つです。他方、私たち日本人は以前より魚を食べる量が減っているというデータもあります。海と食をめぐる変化の中で、私たちが魚を食べ続けるためにできることは何でしょうか。

いつまでも魚を食べ続けるためにできること MSC「海のエコラベル」

次に、一般社団法人MSCジャパン漁業担当マネージャーの髙橋さんにお話いただきました。

いま、実は世界では年々、魚の食べる量が増え、魚のとりすぎが問題になっています。「海のエコラベル」は海の魚や環境を守るためのラベルで、持続可能な漁業によって捕られた魚である証です。持続可能な漁業とは、魚が減らない量を捕り、他の魚や生き物をできるだけ捕らないように工夫したり管理された漁業のことです。具体的には、海にどれくらいの量の魚がいるかを調査して目標の量と比べて多いか少ないかを調べ、決まった量をこえないように捕り、その後、捕った量を報告します。今回のテーマであるウニにも成長や産卵の特徴がありますが、この方法は生き物ごとの特徴に合わせて行われます。

私たちが海のエコラベルの付いた商品を選ぶということは、このような持続可能な漁業を応援し、いつまでも魚を食べ続けることができる海の環境を守ることにつながるのです。

続いて、なとりの「チーズかまぼこ」(MSC「海のエコラベル」付き)の企画の裏側や、工場でどのようにして作られているのかを、商品企画担当の山崎さんよりお話いただきました。チーズかまぼこの製造の過程では、認証を受けた魚とそうでない魚が混ざらないよう努力していることを教えていただき、実際に工場でどのように作られるかを詳しくご紹介していただきました。イベント初日の2月23日はなんと「チーズ鱈の日」。製造開始した記念の日だそうで、今回はお土産として「チーズかまぼこ」(MSC「海のエコラベル」付き)だけでなく「チーズ鱈」もいただきました。他にもボールペンや他のグッズもいただきました。

そろそろ、受精卵の変化の様子を観察してみましょう。

お話前に観察していた受精卵はどのような変化をしているでしょうか。受精卵は卵割の準備が進んで、2つに割れかけていました。さらに、事前に準備しておいた、さらに卵割の進んだものや、変化が進み自ら動き始めたかわいらしい幼生や稚ウニの様子も観察できました。自分たちで受精した卵は、幼生になった後のエサや海水、飼育容器と共にお土産として持って帰り、お家で「ポケット飼育」を続けることができます。がんばって育ててください。

認定証をお渡ししました

今日は、ウニの受精実験を行ったり、受精卵やその後の変化の様子の観察したりしながら、生命について深く学ぶことができました。さらにMSC職員による持続可能な漁業のお話や、なとりによる水産加工品の製造についてのお話を通して、私たちと海とのかかわり、海と食の未来について改めて考えることができました。最後に、参加者に認定証をお渡ししました。お茶大海のジュニアティーチャーとして認定された皆さんが、今日のイベントをきっかけに、今後、海洋教育の担い手として、今回のようなイベントに関わったり、さまざまな活動に積極的に取り組むことを期待しています。

番外編 ジュニアティーチャーたちは事前準備も頑張りました!

当日の活動にあたり、ジュニアティーチャーたちは事前の準備もたくさん頑張りました。

開始時間より前に会場に来て、採卵・採精の予備実験(練習)をしたり、ほかのジュニアティーチャーを参加者に見立てて、発表練習をしたりしました。その後は参加者のための配布物の準備を皆で手分けして行ったりもしました。ジュニアティーチャーたちにとって、普段なかなか経験できない貴重な体験となりました。

参加者・保護者の声

■参加者のコメント
・たまごがらんかつしておどろきました(7才)
・ウニの上がこう門で下が口なのがびっくりした(8才)
・思ったよりもまるかった。家に帰ってそだてたい(8才)
・ジュニアティーチャーの皆さんの力を借りながら実験するのが楽しかった。(11才)・ウニの受精てもっと簡単そうと思っていたが、意外と手順が多くてびっくりしたけど、ウニのころをいろいろ知れてとてもうれしかったです。(12才)
・皆で楽しく実験をして学ぶことがたくさんありました。自分の知らないことやわからなくぎ門に思っていることについてよく分かりました。これからも大切に海を守っていくことがとっても大切だと思いました(10才)
・私が思ってたよりも、ウニの生命力が強いと感じました。家に帰った後もウニを育てていきたいと思います。また私は企業や団体のサスティナビリティに興味があったので直接話が伺えて良かったです。(17才)

■保護者のコメント
・ウニの受精実験を通して、ウニの知識が深まりました。帰宅してからは、残りの未受精卵を受精させて、卵割を観察しました。明日からお世話を頑張りたいと思います。また、同時に講演頂いた内容は、帰宅してからも子どもが覚え ており、家族に海のエコラベルの話や、なとりのチーズかまぼこを食べながら、どうやって作られているのかななど、楽しそうに話していました。先日、別のイベントで、海ごみのことを学びました。いくつかのイベントで色々な 海に関する問題を知り、子どもの中で少しずつパズルのように繋がっている感じがします。とても良い機会をありがとうございました。
・ウニの実験だけではなく、環境や漁業での取り組み、食品メーカーの方からのお話も聞けて勉強になりました。色んな角度から海を知るきっかけになったと思います。
・ウニの放卵、放精についてだけでなく、何気なく見ていたMSCマークについての意味やその後ろ側、また食品に関係する企業の意識やはたらきかけについても学ぶことができ、とても勉強になりました。

■ジュニアティーチャーとして参加した人のコメント
・2日目、前でみんなに説明したとき、「どれだけ簡単に教えれば良いか」ということの調整がむずかしかったです。全体を通して楽しかったです!!(16才)
・実験のサポートをするのは大変だったけど、実験がうまくいくと、楽しい気持ちになった。(12才)
・私はウニの受精に関する知識が全くなかったので、子供たちに様々な質問を投げかけられたときに何と返答すれば良 いのか困る時がありました。自分の勉強不足を感じたので、ジュニアティーチャーとして活動する際はある程度専門 的な知識が必要だと感じました。でも限られた時間の中で「実験」を通して科学にふれつつ、「サスティナビリティ」の話をまじえて環境教育の要素を取り入れたワークショップを行うことができていたと思いました。とても楽 しかったです!ありがとうございました!(17才)
・自分も教えられてあこがれなような人がジュニアティーチャーだったので、私も近いそんざいになれたと思う。楽しかった。(10才)

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:31人