ウニの受精実験や幼生飼育をしながら全国の仲間とつながるイベント 全国一斉ウニの発生体験2023年秋を開催しました
お茶の水女子大学湾岸生物教育研究所は、オンラインイベント「全国一斉ウニの発生体験2023年秋」を開催。全国の参加者がオンラインで繋がりながら、ウニの発生実験や幼生飼育を行うことで海を学びました。
2024.02.07
お茶の水女子大学湾岸生物教育研究所は、全国の参加者がオンラインイベントで繋がりながらウニの発生実験や幼生飼育を行うことで海を学ぶイベント、「全国一斉ウニの発生体験2023年秋」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
送付する教材キットを用いたウニの発生実験、ウニ幼生飼育、オンライン相談会、オンライン報告会、作品コンテスト
日程
2023年10月~11月にかけて全4日程で教材キットを送付
・キタムラサキウニ教材
オンライン相談会 10月26日
オンライン報告会 11月2日
・アカウニ教材
オンライン相談会 11月23日
オンライン報告会 11月30日
作品コンテストは全日程合同で2023年12月28日から2024年1月10日まで開催
開催場所
学校、市民サークルの拠点、一般家庭
参加人数
学校67校(参加生徒5,159名)一般と拠点21件(参加105名)
発送した教材について
このイベントでは、ウニの受精実験の教材を宅配便で全国の学校やご家庭、サークルなどにお届けして、それぞれの場所で実験を行ってもらいました。教材は初心者でも簡単に実験ができるようなキットになっており、海水に未受精卵と薄めた精子を一滴ずつ入れることで受精の観察ができます。ウニの卵は直径が0.1mmと小さいものなので、受精の観察は顕微鏡で行います。
教材は2種類で、受精実験用の「未受精卵と精子」教材(全員が利用)と、餌の珪藻を自分で培養しながらウニの幼生を育てる「植物プランクトンと動物プランクトン」教材(希望者が追加利用)です。受精卵から孵化した胚は浮遊生活するプルテウス幼生(動物プランクトン)となって餌の珪藻(植物プランクトン)を食べて成長し、やがて固着生活の稚ウニへと変態します。学校では受精実験を授業で行い、その後の幼生飼育を科学部が部活動で行うところも多いです。
実験は必ずしも毎回成功するとは限らず、ちょっとしたことで成功率が下がります。秋のイベントでは気温が高かったり低かったりして実験がうまくいかないこともありました。失敗した場合でも、海の中と自分たちの実験環境の違いを考えることで、海の環境を知り、海の偉大さを理解するという学びへと繋げることが出来ました。
オンライン相談会、オンライン報告会について
10月26日と11月23日に、一般枠での参加者を対象とした、参加者間の交流と簡単な研修を行うオンライン相談会を開催しました。この会の特徴は、先輩参加者が講師となって初心者の参加者に研修やアドバイスを行うところです。特にご家庭にあるものをうまく利用した実験の工夫などは、先輩参加者でないと出来ないアドバイスです。お茶大スタッフの自己紹介(大学時代に研究していたことや、現在行っている海洋教育関係の仕事紹介)も行いました。10月の会では最初は保護者に促されて発言していていた参加者が、会の後半には自分から挙手して質問してくれるようになりました。
オンライン報告会は11月2日(キタムラサキウニ)と11月30日(アカウニ)に開催しました。報告会は学校の利用者と一般の利用者が一緒に発表する会で、学校からは部活動の生徒が学外の聴衆相手に活動報告を行う場ともなっています。11月30日の報告会では、自作の温度制御システム付き恒温装置についての中学教員の報告を、プログラミングについて学習中の小学生たちが食い入るように見つめていたのが印象的でした。
相談会、報告会ともスケジュールが合わない人のために録画視聴による参加も受付けており、録画視聴者から後日寄せられた質問も事後連絡の形で参加者内で回答を共有するようにしました。
オンライン表現作品コンテストについて
秋のイベント集大成として、参加者たちが今回のウニ実験で学んだことを表現した作品をつくり、それをオンライン展示してお互いに投票したり特別賞の送りあいをしながら交流する「表現作品コンテスト」を開催しました。10月、11月の実験をもとに作品を制作して、12月に作品募集をし、展示と投票は冬休み期間(2023年12月28日から2024年1月10日まで)に行いました。観察記録の写真やスケッチ、レポートなどの「観察レポート部門」、絵画や置きもの、加工した写真などの「アート部門」、調べものや応用実験などをまとめた作品の「ウニと環境部門」の3つのカテゴリーで作品の募集と展示を行い、今回も力作ぞろいでした。
参加した子ども・保護者・学校教員や拠点スタッフからの声
オンライン相談会
(一般枠保護者)
顔合わせで先生方や他の参加者の皆さまと交流できることは、実験を家庭内で進める上で非常に有益だと思います。また先生方のバックグラウンドや研究内容を紹介頂き、小1の娘は興味を抱いているようでした。
オンライン報告会の声
(学校教員)
報告プレゼンをしていただきありがとうございました。どのプレゼンテーションもよく準備されていて、とても分かりやすかったです。特に天候とウニの成長の関係については興味深く、私自身今後の飼育の際に温度管理をより意識していきたいと思うようになりました。
(一般枠家族)
ウニの繁殖についていろいろな視点から情報交換でき、大変興味深い時間でした。(一般枠家族)
表現作品コンテスト
(学校教員)
各作品を拝見していると勉強になることが多々ありました。今後のウニを用いた授業等に活かしていきたいと思います。
(拠点スタッフ)
レベルの高い作品を見ることができ児童館の実験参加者とこのような作品を作り発表できるようにがんばりたいと思いました。
(一般枠保護者)
コンテストの作品を見るのをいつも楽しみにしています。今回は理科教育支援について学ぶことができました。ありがとうございました。
(学校教員)
各団体の取組の様子が簡単に分かりやすく見ることができ、今後の実習指導に役立った。環境問題にも触れるなど、ウニの発生の多面的な考察ができる良い機会となった。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:5,264人