一般社団法人マナティー研究所は、3月7日（金）にオンラインイベント「ジュゴンってどんな動物？ – 沖縄の海とジュゴン -」を開催いたしました。本イベントは無料開催で、子供から大人までどなたでも参加でき、ジュゴンの基本情報から沖縄のジュゴン情報、そして沖縄の海の今と昔について紹介しました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
宮古島のICTセンターに講師陣が集まり、参加費無料のYoutube配信を実施しました。ジュゴンの基本情報から沖縄のジュゴン情報、そして沖縄の海の今と昔の変化を紹介しました。
日程
2025年3月7日（金）19:00 – 20:30
開催場所
Youtube配信（宮古島ICTセンターより配信）
参加人数
82名
講師
菊池　夢美（マナティー研究所 / 京大野生研）
吉浜　崇裕（株式会社蟹蔵）
大林領（ハレルヤ 宮古島 Photo&Tours）
データ提供、監修
市川　光太郎（マナティー研究所 / 京大フィールド科学教育研）

日本の海にジュゴンがいること、知っていますか？

沖縄周辺の海には、海牛類のジュゴンが暮らしています。かつて青く透き通る海では、ジュゴンの姿をよく見かけることができたそうです。しかし、現在ではその姿を目にする機会はほとんどなく、最後に映像や写真で確認されたのも10年以上前のこと。日本に生息しているにもかかわらず、ジュゴンはあまり知られていない絶滅危惧種となっています。

今回のイベントでは、ジュゴンやマナティーの研究者が集まる「一般社団法人マナティー研究所」がその専門性を生かして、ジュゴンに関する基本情報をご紹介しました。そして、2024年にスタートした宮古島ジュゴン調査ツアーの内容を交えながら、以下のテーマについてお話ししました。

ジュゴンってどんな動物？
ジュゴンの生態や特徴についてのご紹介

ジュゴン調査ツアー 〜ツアーの内容や参加者の声をお届け〜
宮古島でのジュゴン調査ツアーの様子や、参加者の感想をご紹介（＊ツアー情報はこちら）

宮古島の海の今と昔　〜ジュゴンのいた海〜
かつてジュゴンが頻繁に見られた沖縄の海の変化について解説

左）東南アジアの野生ジュゴン（提供 市川光太郎）
右）ジュゴン調査ツアーの様子

沖縄のジュゴンの歴史

イベントでは、沖縄のジュゴンに関する方言や地名、歴史、目撃情報などを地図を参照しながら紹介しました。宮古島、特に伊良部島には、ジュゴンに由来する地名が多くあります。たった50年ほど前には、多くのジュゴンが島のすぐ近くで暮らしていたことを知り、参加者は驚いていました。

今回、イベントの講師として登壇していただいた吉浜崇裕氏は、野生のジュゴンに数回遭遇しており、ジュゴンの糞の回収にも成功しています。さらに、ドローンで撮影した画像とともに、その糞のDNA解析結果が2024年の学術雑誌に掲載されました。イベントでは、こうしたジュゴン調査についてのお話も紹介されました。現在も伊良部島では、ジュゴンが海草を食べた跡（トレンチ）が多数確認されています。ジュゴンの姿は見られなくても、沖縄の海には今もジュゴンが生息していると予測されています。

伊良部島で確認されたジュゴンの摂餌跡（トレンチ）と思われるもの（提供 吉浜崇裕）

参加した子ども・保護者からの声

・ジュゴン調査ツアーに参加して、海草の観察をしたい。ジュゴンの食べた跡を見つけてみたい

・沖縄の海に行く時は、ジップロックを持っていって、うんちをみつけたら回収したい

・ジュゴンのことをもっと知りたくなりました

・自分達の事ばかり考えないで、環境や動物達の事を考えて行動しないといけないと思った。学校に行ったら「ジュゴンと言う、とても素敵な動物が沖縄にいるんだよ」と友達に伝えたいです。

・わかりやすいジュゴンやマナティーの入門的なお話に始まり、ジュゴンの調査ツアーや痕跡など実際の現地のお話、さらに地元で活動している方ならではのジュゴンに関わるあまり知られていない詳しいお話と、良く考えられた構成で、多少の時間オーバーをしてでも聴きたい大変興味深いお話でした。

・ジュゴンのことは、遠い海外の話だと思っていましたが、とても身近なことであると認識を改めました

・日本にもジュゴンが生息していたことは初めて知りました。縄文時代から長い歴史をジュゴンとともに歩んできたと思うとジュゴンへの愛着が深まりました。

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数：82人