宗像の中学生が海の環境改善に挑む!探究学習プログラム「むなかたSDGs探究in中央中学校」を開催しました!
海を守ろうむなかた実行委員会は、探究学習プログラム「むなかたSDGs探究」を宗像市内の中学校で実施。市立中央中学校の1年生は海や地域の課題を学んで中間プレゼンを開催し、宗像国際環境会議分科会や大学生などと連携してブラッシュアップを行いました。
2024.11.01
海を守ろうむなかた実行委員会は、社会課題を自ら発掘し課題解決に取り組む探究学習プログラム「むなかたSDGs探究」を宗像市の各中学校で実施しています。
宗像市立中央中学校の1年生は、海の問題や地域課題について学び、どのような取り組みで自分たちの地域をよりよくしていくことができるのかを考えてきました。その中間プレゼンを2024年10月11日(金)に中央中学校で開催しました。中間プレゼンは、宗像国際環境会議分科会とも連携し、環境活動学生団体の一般社団法人maiPLAの大学生も加わり、企画内容の意見を交わし、ブラッシュアップを行いました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
むなかたSDGs探究in中央中学校
開催概要
世界文化遺産「神宿る島」沖ノ島を有する宗像市。宗像市の海洋環境は、地域社会の生活と経済活動において重要な役割を果たしています。しかし、漁業資源の減少や海洋ゴミの増加、観光と環境保全のバランスの必要性など、多くの課題に直面しています。本プログラムは、次世代を担う中学生と大学生がこれらの課題を学び、具体的な解決策を模索することを目的としています。中学生は10月11日の中間プレゼンまでに、未利用魚活用のベンチャー「ベンナーズ」井口剛志社長や宗像市鐘崎漁港の活性に取り組む馬込賢太郎氏の講義、熊本県水俣市のフィールドワークを経て、課題解決策の立案に取り組んできました。11日の中間プレゼンでは、中学生の発表と大学生のフィードバックを通じて、企画を練り上げました。
日程
2024年10月11日(金)13:50~15:30
開催場所
宗像市立中央中学校 体育館
参加人数
中央中学校1年生152名、大学生21名、学校教員20名、宗像市職員5名
協力団体
一般社団法人maiPLA、一般社団法人アースプロジェクト福岡、株式会社ミエタ
誰かの課題を解決すること —9月6日、株式会社ベンナーズ井口剛志氏の講義
9月6日、中央中学校1年生の生徒たちは、未利用魚を商品化するサービスを提供しているベンチャー企業ベンナーズの井口剛志社長から、地域資源の活用について話を聞きました。
井口さんが創業したベンナーズは、廃棄されてしまう魚を有効活用する事業を行っています。井口さんは「起業で一番大事なことは誰かの課題を解決すること」と話し、海を取り巻く4つの課題を紹介しました。課題とは、▽魚の消費量の減少▽漁業従事者の減少▽未利用魚の増加▽海洋汚染—で、これらの解決に挑むことをベンナーズのミッションに掲げています。
未利用魚は、形の悪さや調理が難しいといった理由から、市場に流通する前に廃棄されてしまう魚で、漁獲量の約30%にもなるそうです。ベンナーズは、福岡市東区の自社工場で未利用魚を手軽に美味しく食べられるように加工し、食卓に届けています。これにより、課題解決を目指しているのです。井口さんは、「食べられるのに食べられていない魚はまだまだたくさんいる。自分自身もたくさん食べて、みなさんに食べてもらえるようにチャレンジしたい」と話しました。
宗像にはどんな課題がある? ー9月26日、ランドスケープデザイナー馬込賢太郎氏の講義
9月26日、宗像市鐘崎漁港の活性化に取り組む馬込賢太郎講師が来校。馬込さんは鐘崎漁港や漁業に関する課題を紹介。漁業従事者が年々減少し、平均年齢は上がっていることをグラフで示しました。一方で、鐘崎漁港の活性化に向けた動きもあるといいます。「宗像市高度衛生管理型荷さばき所」が新設され、近海で獲れた魚の鮮度を落とさず全国各地に届けることを目指しています。さらに、漁港エリアを人が集まる場所にしていく計画も進められているそうです。
講義を聞いた生徒たちは教室に戻り、ミエタの島川竜也さん、酒井舞さんの進行で探究活動にとりかかりました。まずは、今までの講師の話や熊本県水俣市でのフィールドワークを振り返り、どのような課題があったかを整理。さらに、宗像市の地理的環境や特徴などを踏まえて、ほかにもどんな課題があるのか調べました。
個人で考えた内容を各グループで共有。同じグループの生徒からもらった意見や共感できる部分を理由と合わせてメモをするなどし、多様な考えを取り入れていきました。
次に、書き出した課題の中から最も興味のあるものについて詳しく調べていきました。「海にプラスチックゴミが増えている」という課題には、それは誰がどのように困るのかを資料やインターネットの情報などを使い、掘り下げていくことにしました。「少子高齢化による地域の衰退」という課題に着目した生徒は、資料の難しい用語に苦戦しながらも、自身の考えをまとめていきました。馬込さんは、「どうやったら困っている人が喜んでくれるのかという観点で考えることが大事」と助言し、生徒たちの頑張りを後押ししていました。
中学生の発表を大学生がフィードバック ー10月11日、宗像国際環境会議学生分科会
10月11日午後、生徒たちはいよいよ中間プレゼンを迎えました。会場には、環境活動学生団体の一般社団法人maiPLAの大学生と宗像市職員も集まりました。大学生は、その日の午前中に宗像大社清明殿にて、宗像市の海洋環境を知り、豊かな海を残すためのアクションを考えるワークショップに参加してから、この座談会に臨みました。
中学生で作る25グループに、大学生と市職員が加わり座談会がスタート。生徒のプレゼンを聞き、大学生がフィードバックしていく形式で、時間の許す限りグルグルと大学生がグループを回っていきます。「海洋ごみ」の削減をテーマとしたグループでは、海洋ごみでアクセサリーを作る中学生の案について、大学生が「オブジェを作って漁港に設置すれば注目が集まる」と助言していました。生徒たちはグループごとに課題の解決案を再考し、後日予定の最終発表会で説明をします。
参加者からの声
・<中学生>自分たちが持っていない色々なアイデアや課題解決の方法が聞けて参考になった。
・<中学生>自分たちのアイデアにはもっと具体性が必要。実現に向けてもっと詳しく考えたい。
・<大学生>自分たちが中学生の頃では考えられないほど、発表スライドのクオリティが高くてびっくりした。宗像は海とは切っても切れない地域。私たちもできることをやっていくので、地元の中学生とも一緒にチャレンジをしていきたい。
・<学校教員>1か月前と比べて、学ぶ姿勢やアイデアを考えて表現する力など見違えるように変わっている。生徒たちにもその実感があると思う。どんなアイデアが実現するのか、期待したい。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:198人