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すずきの水揚げ量日本一の船橋で、今の海の生態系や干潟の役割について学びを深める「【おいしい流域】すずき:船橋 すずきさんは海と川のあいだで暮らす」を開催しました!

一般社団法人おいしい未来研究所は、人々の暮らしと川の結びつきと当時の川魚食文化の変遷について学ぶ「【おいしい流域】すずき:千葉県船橋」を開催。最終回となる第6回目は東京湾にくらすすずきについて「おさかな小学校」校長の鈴木允さんとすずき漁師の大野和彦さんをナビゲーターに迎え学びました。

2024.11.01

一般社団法人 おいしい未来研究所は、「おさかな小学校」校長の鈴木允さんとすずきの漁師大野和彦さんをナビゲーターとしてお招きし、人々の暮らしと川の結びつきと当時の川魚食文化の変遷について学ぶ、「【おいしい流域】すずき:千葉県船橋」を2024年10月20日(日)に開催いたしました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。


【おいしい流域】すずき:船橋 すずきさんは海と川のあいだで暮らす
開催概要

山から海までのつながりを「食べること」を通して学ぶ「おいしい流域」プロジェクト、最終回となる第6回目。水の循環システムの仕組みや、山が水に与える影響、多摩川流域の住宅化・工業化に伴う生態系の変化を学んだこれまで5回の講義に続き、第6回では東京湾で暮らす「すずき」という魚について学びます。イベントで学んだことを体験を通して実感し、日常生活に戻った際に川が自分の生活にどのように接続しているのか考えるきっかけにすることを目的としています。
日程
2024年10月20日(日)
開催場所
千葉県 船橋
参加人数
24人

大傳丸 大野さんレクチャー「すずきの水揚げ・神経締めを間近で見学」

おいしい流域最終回となる今回は、今まで辿ってきた多摩川流域の終着地点東京湾に住むすずきについて学びます。本日の講師の1人鈴木充さんと一緒に船橋駅前でマイクロバスに乗り込み向かった先は、船橋漁港にある大傳丸。すずき漁師の大野和彦さんが出迎えてくれました。

天候の関係で漁に出られないかもと心配されていましたが、明朝無事に出航したと連絡が。すずきの水揚げを無事に見学させていただくことができました。底引き網で釣り上げられたすずきは、少しずつ網ですくい、陸上の水槽に移され、待ち構えていた漁師さんによって瞬時に血抜きがなされます。魚が網で持ち上がった時の迫力、漁師さん達の連携された無駄のない動きにみんな釘付け。

血抜きのあとは神経締めをします。血抜きをすることで臭みがとれ、鮮度が保たれるのですが、神経抜きをすることでさらに鮮度が保たれ、より美味しく食べることができるようになるそうです。また、血液が抜け切ってから神経を抜くことも美味しさを保つコツなのだそう。神経抜きは専用の機器を使って尾の方から空気圧をかけて処理されます。神経締めをした後、魚が一気に脱力する様が一目でわかります。神経抜きをし死後硬直が始まる前のすずきと、死後硬直したすずきとを触り比べさせてもらいました。見た目にも触った時にも全く異なる感触に驚きの声が上がっていました。

今回は大野さんの計らいで、血抜きが完全に終わるまでの間、特別に漁船を近くで見させていただきました。嬉しいサプライズに子供も大人も大興奮!

漁に出る時は、釣った魚を運ぶための運搬船、網を乗せて運ぶための網船2隻、合計3隻で漁にでます。網を上げる合図の音を聞いたり、網を持ち上げる漁師さんの姿から、網の大きさや重さを間近にみることで毎日の漁はかなり重労働であることを学びました。漁港での体験は、この機会でないと味わえない体験が詰め込まれていました。

干潟の役割と海の生態系にもたらす役割

次に向かうのはふなばし三番瀬海浜公園。お話いただくのは清積さん。三番瀬は東京湾の最奥部に位置し、船橋市をはじめ、習志野市、市川市、浦安市、各市の東京湾沿いに広がる約1,800haの干潟・浅海域です。干潟には多くの生物が住み、海の生態系を豊かにするという重要な役割を果たしています。三番瀬は1911年〜1949年にかけて4度の災害に見舞われたり、工業の発展などさまざまな要因が重なり干潟は埋め立てられ三番瀬の姿は変化していきました。結果として三番瀬では貝類とノリ養殖を中心とする漁業形態とならざるを得なくなり、青潮などのリスクを負いながらも、東京湾漁業の代表的な都市近郊漁場として存在していました。何十年もの間漁業関係者や市民からの声が上がり、何度も協議を続けられていましたが、2001年にようやく干潟再生への道が開かれることになり、そこから清積さん達の取り組みにより、少しずつ昔の姿に戻ってきつつあります。

実際に干潟に行ってみると、波で砂がかき混ぜられて、風紋と呼ばれる波模様が広がり、ちょっと探すだけでヤドカリやカニ、アミなどさまざまな生き物を見つけることができます。これらの生き物は泥を綺麗にしたり、食物連鎖を生み出し、多様性のある環境を作り出しています。今でも干潟に生息する種の数は増えており、さまざまな発見があるそうです。

子供たちは生き物探しに夢中。大人たちは清積さんのお話に夢中で聞き入り、あっという間に時間が過ぎていきました。

大野さんが取り組む持続可能な漁業

動画やスライドを通して、今日の振り返りをしながら、これからもずっとおいしい魚を食べていくために、漁師という立場から取り組んでいること、大切にしていることを教えていただきました。船橋漁港での漁獲量は平成16年よりも1/3の170トンに減っています。すずきの生息数が減っていることももちろん影響はしていますが、種を守り減らさないために無駄に取りすぎないことを徹底していることも理由のひとつだそうです。小さい魚や産卵の時期は漁はせず、網漁でかかってしまった際も生きたまま海に返します。

無駄に取りすぎないこと・生物の多様性を育む環境があること・漁師の生計を担保すること。

また、魚のおいしさを伝えていくのも漁師の仕事のひとつと考え、船橋市の学校給食で船橋でとれた魚を食べてもらおうという取り組みにも力を入れておられ、2024年10月からは市内7校の給食でコノシロの使用が始まるそうです。

残念なことに今でも密猟など不当な漁業で獲られた海の幸も出回っているようです。海のため、魚のため、精力的に活動する漁師さんへの敬意もこめ、顔の見える漁師がとった魚を食べることも持続可能な漁業を支える消費者である私たちが実践できる活動の一つです。

すずきの実食

講義を終え、次はいよいよすずきの実食です。みんな朝から活動していたので、お腹はぺこぺこ。

昨日釣り上げられたお魚を海鮮丼でいただきます。すずきをはじめ、大ぶりのネタが乗った豪華な海鮮丼。主役のすずきは程よい弾力がありました。人気のネタが出揃う中、すずきが1番美味しかったという声が聞こえてきました。

小学生の女の子は今までどうしても食べられなかった生魚を初めて食べることができました。

今日1日の体験して、現場やそこで活動する人たちと触れ合うことの大切さをまたひとつ教えて貰えた瞬間でした。

次に出てきたのは、すずきの天ぷら。シンプルにお塩でいただきましたが、ふわふわで甘みとコクがあり、とっても美味しい。今までは積極的にすずきを食べようと思ったことがなかったという参加者がほとんどでしたが、大野さんたち大傳丸の皆さんが釣り上げたすずきにすっかり魅了されてしまいました。

鈴木さんと魚クイズ

マイクロバスでの移動中は鈴木さんからすずきや出生魚のことを教えていただいたり、競りで使われる取引符牒(符丁)でのクイズが行われたりと大盛り上がり。クイズに答えられた先着5名の子どもたちには大野さんからいただいたお魚バックのプレゼントもいただきました。


※イラストは車両停車時にお見せしています。

参加した子ども・保護者からの声

子どもたちから「漁船を間近で見れて楽しかった!」「水揚げ漁は迫力があった!」「スズキの神経抜きが印象的だった」「干潟でたくさんの生き物を見つけられた」といった声が聞かれました。また、大人からは「干潟の成り立ちや役割がとても勉強になった」という学びの声もありました。さらに、「初めて生魚が食べられた!美味しかったし、嬉しかった」と、好奇心旺盛に挑戦する子どもたちの姿も印象的でした。

今回の講義では、貴重な体験の連続。最終回にふさわしい学びの時間となりました。そこで生きる生物たち、そこで生きる人たちを通して、多摩川流域の終着点東京湾のことを学ぶことができました。学びと体験が一緒になることで、好奇心を掻き立てさせられ、より深い学びにつながっていくことを改めて感じる回となりました。

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:24人