バイオロギングで知る魚の行動〜海と日本PROJECT〜
2018.09.26
バイオロギングで知る魚の行動は、日本財団が推進する「海と日本プロジェクト」のサポートプログラムです。自然下での行動や生態等の動物の知られざる行動を探る「バイオロギング」研究の最前線を体験しました。
「バイオロギング」研究を体験することで、海洋生物や海洋環境等「海」への興味や理解をより深める機会とすることを目的としています。
日程
8月27日(月)、28日(火)
開催場所
かごしま水族館 1階 レクチャールーム
参加人数
講演会31名、体験教室12名
主催
かごしま水族館
研究の最前線を学ぶ!バイオロギングに関する講演会
市民、高校生大学生等を対象とした、「バイオロギングで知る魚の行動」を鹿児島市本港新町のかごしま水族館において実施しました。
イベントでは、講演会とバイオロギング体験教室の2つのプログラムを行いました。
① 講演会
開催日時 8月27日 12:00~13:20
市民の方を対象に近年野生動物等で行われる「バイオロギング」研究について理解を深めてもらおうと、第一線で活躍するバイオロギング研究者による講演会を実施しました。最初に「バイオロギングって何だろう」との河邊先生から問いかけがあり、研究の意義や魅力について紹介いただき、講師の先生が取り組む研究についてお話しいただきました。
1.海の動物は実際に海の中でどんなふうに過ごしているかわからないのでその生態を知るための研究
「マンボウはなぜ海面で昼寝をするのか?」
長崎大学海洋未来イノベーション機構 環東シナ海環境資源研究センター 助教 中村 乙水 博士
2.個体の行動を詳細に追いかけて水産養殖における魚の管理に役立てる研究
「クロマグロの養殖生簀内の遊泳行動を詳細に計測する」
北海道大学大学院水産科学研究院 助教 米山 和良 博士
3.学問を発展させる研究
「水産重要魚種ヒラメの泳ぎ方(卵の産み方)を調べる」
長崎大学海洋未来イノベーション機構 環東シナ海環境資源研究センター 教授 河邊 玲 博士
調査の行動記録計から得られたデータをもとに、海中を泳ぐ生物の姿勢や行動、遊泳速度、水深や水温などの生息環境について解説していただきました。それぞれの生物の水槽とは違った自然界でのダイナミックな行動に参加者も驚いていました。動物の行動や生息環境を詳細に知ることができる「バイオロギング」研究の面白さを知る良い機会になったようです。
バイオロギングを体験!
② バイオロギング体験教室
開催日時 8月27日 14:00~17:00 、28日 9:00~12:00
体験教室では、3班に分かれ、バイオロギングの手法でウミガメの行動を探る実験を行いました。各班にウミガメ1匹と調査機材(映像記録計、行動記録計、装着資材)が配布されました。水族館の職員から、ウミガメの形態や生態の解説を聞いた後、班ごとにウミガメの行動を予想し何を調べるかを検討しました。講師の先生の指導を受け、参加者が記録計の設定や容器内を動きまわるウミガメに機器を取り付けました。
直径2m水深1mの円形水槽にウミガメを泳がせて餌やりや行動観察を行い、1日目を終了しました。
2日目(28日)は、ウミガメに取り付けた記録計を回収し、データの取り出しを行いました。
映像記録計にはウミガメ目線の映像で、記録計を取り付ける参加者の顔や餌を食べる様子などがきれいに映し出され普段見ることのない映像に参加者は見入っていました。記録計の行動データと映像を合わせることでウミガメの行動を記録したことで、普段からまわりをよく見ていることや個体ごとに個性ある動きすることがわかりバイオロギングならではの結果に感動をされていました。また、良い体験ができたことに喜んでいらっしゃいました。
■バイオロギングとは■
「バイオ=生物」「ロギング=記録する」の2つの言葉を組み合わせた造語。人間が行動を記録するのが難しい動物にカメラやセンサーを付けて生態を記録する研究手法のことで、世界中の研究機関や大学の研究室などで取り入れられています。「バイオロギング」により、今まで推測でしかなかった動物の生態について、詳しくわかるようになりました。
参加者の声
・幼い頃から魚が好きで魚のことに関して共感できた部分や初めて知ったこともあり良い経験になりました。今後、経験をさらに活かし進路や将来の仕事で活躍したいです。
・ウミガメも普段まわりをよく見ていて、動き方もカメごとに個性があることが動画でよく分かりました。
・どのような行動をしているかがよくわかり面白かったです。人に反応することとか、個体によって行動に違いが出ることがよく分かりました。
・データを使って研究するところにとても感動しました。たくさんのデータの中でふつうの所もたくさんあったけど、珍しいところを見ることができて、体験できてよかったです。
メディア掲出
8/28 南日本新聞
<チラシ>
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています