海なし県山梨ならではの海文化を知る! 県内各所で「甲州握りふしぎ探検隊」を開催しました! 2021年11月13日、14日
海と日本プロジェクトnやまなし実行委員会は、江戸時代からつたわるとされる山梨県ならではの寿司文化「甲州握り」を軸に流通や山梨県で開発されたブランド魚「富士の介」など山梨にまつわる海や水産の歴史や今の状況を学ぶ<甲州すし文化ふしぎ探検隊>を11月13日、14日に開催いたしました。
2021.12.02
海と日本プロジェクトinやまなし実行委員会は、江戸時代からつたわるとされる山梨県ならではの寿司文化「甲州握り」を軸に流通や山梨県で開発されたブランド魚「富士の介」など山梨にまつわる海や水産の歴史や今の状況を学ぶ<甲州すし文化ふしぎ探検隊>を2021年11月13日、14日に開催いたしました。
「山梨と海との繋がりを考える」をテーマに、昔から続く山梨と海との深いかかわりを調査しました。江戸時代から受け継がれ、今も山梨県内において独自の進化を遂げている甲州寿司。シャリに酢がきいていて、甘めの醤油だれとの相性抜群。このお寿司が誕生した背景には、一体どんな出来事があったのか。海がないため海の幸への憧れが非常に強く、海の幸をこよなく愛する独自の県民性を、歴史や文化、そして食などの様々な角度から調査隊が深堀りし、山梨の謎を紐解きました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。(記念撮影の際のみ、マスクを外しました。)
開催概要
山梨県在住の小学5,6年生14名を対象に豊かで健全な海を未来に引き継ぐアクションの輪を広げる取り組みとして、海なし県山梨ならではの食や流通といった各分野の施設見学や体験を実施。ツアーには山梨県立博物館学芸幹の森原明廣氏にアドバイザーとして参画頂き、児童の学びのフォローを行いました。
日程
2021年11月13日、14日
開催場所
山梨県内各所
参加人数
県内在住小学5,6年生14名
協力
山梨県立博物館、魚保、いちやま鮮魚センター、信玄食品、NNS日本ネットワークサービス、山梨県水産技術センター、海洋連盟
魚の流通や山梨の食文化を学ぶ!
初日、参加者は甲府市のいちやま鮮魚センターに向かいました。いちやま鮮魚センターでは、県内15店舗あるスーパーマーケット いちやまマートに運ばれる魚の見学し、担当した下田純二さんより食卓に並ぶ魚がどこから来て、どういう流れで流通しているかなどについて説明がありました。また、実際に県外から運ばれてきたマグロを保管するマイナス40度の冷凍庫を見学すると子どもたちからは驚きの声があがりました。このあと、江戸時代に静岡県から甲府市に歩いて魚が運ばれていたとされる魚尻線を訪れました。ここでは、海と日本プロジェクト推進パートナーである信玄食品から提供されたアワビの煮貝を実際に持ち、山梨県立博物学芸幹の森原明廣さんから江戸時代に海産物がどのようにして運ばれてきたのかや、なぜ魚尻線と呼ばれているかなど解説を聞きながら歩いたことで、先ほど学んだ現代の流通と昔の流通を対比しながら海産物の流れを体験し、昔の流通の難しさについても理解を深めました。
山梨県立博物館では、学芸幹の森原明廣さんから歩いた魚尻線や江戸時代の流通についてより詳細な説明がされたほか、流通が難しかったことから誕生した山梨ならではのお寿司「甲州握り」についての解説があり、甲州握りに塗られている甘タレは静岡県から山梨県に運ばれてくる際に出てしまう生臭さを消すものだったという解説には、子どもたちも興味深そうに話しを聞いていました。また、山日YBS本社では気象予報士による海と天気の関係についての解説があったほか、ペットボトルを使って雲を作る実験をすると、子どもたちははじめて知る雲ができる仕組みに興味津々でした。このほか、2014年に山梨県で発生した大規模雪害についてなぜ山梨で大雪が降ったのかや山梨県独特の気候は実は海風の影響を大きく受けているということなど、海と山梨の関わりを天気という視点から解説されました。
富士の介を知り、甲州握りを体験!
2日目には、まず山梨県のブランド魚「富士の介」を見学するために児童は県水産技術センターを訪れました。「富士の介」は山梨県が開発したブランド魚でニジマスとキングサーモンを掛け合わせた世界でも珍しい魚です。担当者の平塚匡さんから「富士の介」が誕生した経緯や、きれいな富士の湧水でなければ育てることが難しいといった特徴について解説があったほか、現状の課題として認知度がなかなか上がらないということ、大量生産までまだ行えず食卓に並ぶことが少ないことなど課題についても説明がありました。また、実際に生け簀を見学し、「富士の介」に触れたほか餌やり体験を通して、山梨ならではの「富士の介」について学びを深めていました。子どもたちは、はじめて見る「富士の介」に当初は怖がりながらも触ってみると富士の湧水で育ったからこそ魚特有の生臭さがないと知り、とても驚いた様子でした。
その後、甲府市のすし店「魚保」を訪れると甲州握りを体験。マグロと先ほど見学した「富士の介」の甲州握りを作りました。甲州握り体験では、店舗で用意されたシャリ玉にマグロ、「富士の介」を乗せ、成型する行程で行われましたが、はじめてお寿司を握る子どもも多く、魚保の解説を真剣に聞きながら、見よう見まねでオリジナルのお寿司を作っていました。このあと、成型したお寿司に甲州握り特有の甘タレを塗る作業では、刷毛をうまく使いながら甲州握りを完成させ、思い思いに味わっていました。子どもからは、タレの作り方を知りたいという質問も飛びましたが、魚保の志村哲也会長から、「店舗でも自分と板前しか知らないことだから絶対に教えられない」と説明があると非常に驚いた様子でした。他にも信玄食品の煮貝と昔ならではの醤油でのみ漬けられた煮貝の食べ比べをし、昔と今でどれくらい味が変わったのかを体感しました。
そして、最後には、2日間で学んだことをうみぽすに落とし込み、学びを振り返りました。
参加した子ども・保護者からの声
【子ども】
・山梨と海に色々な関わりがあることを初めて知った。
・甲州握りという文化を知れてよかった。
・お寿司をはじめて握る体験ができてよかった。
・山梨から海を守るために何ができるか考えていきたい。
・煮貝をはじめて食べてみて山梨発ということに驚いた。
【保護者】
・子どもが自分で考えて色々なことを知ってもらえてよかった。
・山梨が色々なところと繋がっていると知ってもらう貴重な機会となった。
・様々な参加者と交流する機会ができてよかった。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:14人