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県民になじみの深い食材「昆布」に注目 昆布がとれないのに消費金額は日本一の富山県のヒミツを学ぶ 学習体験イベント「富山こんぶ学校」を開催。2021年8月21日(土)22日(日)28日(土)

海と日本プロジェクトin富山実行委員会は、全国消費金額トップを誇る「こんぶ」を起点に、海を学ぶ学習体験イベント「富山こんぶ学校」を実施しました。

2021.10.13

海と日本プロジェクトin富山実行委員会は、全国消費金額トップを誇る「こんぶ」を起点に、海を学ぶ学習体験イベント「富山こんぶ学校」を実施しました。イベントでは、富山の定置網漁師や水産研究者が、海を守るために行う「昆布養殖」への取組みや、北前船が全国に運んだ昆布ロードとその歴史、さらに、富山とゆかりの深い北海道羅臼町のこんぶ漁師とオンラインを結び、こんぶ漁について学ぶイベントを2021年8月21日(土)・22日(日)・28日(土)に開催いたしました。

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

「昆布」消費量全国一位の富山。昆布を使った郷土料理も多数存在し、独自の昆布文化が根付いています。(『2017年~2019年 総務省統計局 家計調査』)
「昆布」などの海藻は、悪い物質を吸収したり、魚が卵を産む場所になったりと、海の環境・生態系を守るのに必要不可欠な存在です。かつて、富山県射水市の漁業関係者が発起人となり海の環境を守るため、「昆布」 を富山湾で養殖する活動も行われてきました。今回、富山の 食文化を代表する「昆布」をテーマに、なぜ、富山に昆布文化が根づいたのか?そして「昆布」に関わる様々な活動から、海と自分たちの生活がより身近なものであることを子供達に実感してもらい、次世代へと海を大切にする心を広げることを目的に事業を展開いたします。

日程
2021年8月21日(土)22日(日)28日(土)
開催場所
富山県
参加人数
16人
協力団体
富山県農林水産総合センター水産研究所、滑川高校、北日本新聞社、羅臼漁業協同組合、四十物昆布、とやま駅弁研究部、総合カレッジSEO
※十分な新型コロナウィルス対策を講じた上で、イベントを実施いたしました。

海では、ほとんど昆布がとれない富山県・・・でも消費金額は全国1位。
そんな富山に「こんぶ文化」をもたらした北前船と昆布ロードについて

富山県には、独自の「こんぶ文化」が根付いており、その代表格がおにぎりをこんぶで巻いた「とろろこんぶおにぎり」や刺身をこんぶで挟み、こんぶの旨みを加えた「昆布締め」などの食文化。しかし、私たちの食卓に並ぶ、約9割は北海道で採れた昆布であり、富山湾では、海の環境と生息条件からほとんど採取できません。ではなぜ、富山にこれほどまで昆布の文化が根付いているのか?富山県黒部市にある老舗昆布店「四十物(あいもの)昆布」の四十物直之会長に、富山に「こんぶ文化」をもたらした「北前船」と「昆布ロード」について教えていただきました。危険と隣り合わせの過酷な航海で、莫大な利益を得た「北前船」と日本の発展をもたらした「昆布ロード」の偉大さに、子ども達からは「すごい…!」という声と終始圧倒された様子がみえました。
さらに授業では、北海道各地(羅臼・利尻・日高など)の海で採れた昆布を持ち込み、味や特徴についての解説や子どもたちと一緒に、約4mもある昆布の長さを計測する調査も実施しました。昆布店ならではの授業が続き、「とろろ昆布削り」にも挑戦。悪戦苦闘しながら、包丁片手に黙々と昆布を削る子ども達の様子が印象的でした。

富山と北海道のつながり
昆布漁が盛んな北海道羅臼町の昆布漁師とオンラインをつないでの特別授業

北海道羅臼町。実は人口の約7割の方が富山にルーツがあり、今回縁あって、オンラインを繋いで、昆布漁や加工法、北海道の海の特徴について学ぶ特別授業を行いました。講師に、昆布漁歴50年の大ベテラン・天然昆布漁業部会部会長 井田一昭さんをお招きしました。
-なぜ、北海道羅臼町のこんぶは美味しいのか?-
羅臼の海は日本の漁場の中でも、深く複雑な地形の海であること。豊富なミネラル分が山から流れてくること。そして、オホーツク海に面した知床半島とその沿岸海域で、流氷が沢山のプランクトンを運び、昆布をより美味しくさせてくれます。北海道に行ったことがない子ども達も多く、羅臼の大自然と豊かさに想いをはせながら、画面を食い入るように見つめ、沢山の質問が挙がりました。
-「昆布」「海」「富山」への想い-
昆布漁の最盛期となる7月~8月中旬の期間は、ほとんど休みがなく早朝から夜遅くまで、総出で漁や加工作業を行う映像を見て、子ども達はみんな圧倒された様子でした。さらに海の環境変化(温暖化の影響)などで、昆布の収穫量も昔に比べて減ってきている現状もお話いただきました。授業の最後に「海」や「自然」を大切にする気持ち、富山と羅臼のつながりや絆、富山への感謝の想いが井田さんから子ども達に伝えられ、私たちスタッフにとっても大変印象深い授業となりました。

地元漁師が富山湾を守るために長年取り組む、昆布養殖と海への想い

講師は、富山県射水市新湊の定置網漁師・塩谷卓之さん。射水市新湊地区では約20年前、生活排水や農業廃水が川を通じて海に流れ込み、富山湾が汚れ、魚の漁獲量が激減しました。そんな海の環境を改善しようと昆布養殖で海を再生するプロジェクトが立ち上がりました。昆布には、海をきれいにする力(窒素やリンなど、富栄養化の原因となる物質を食べて育つ)があり、当時の新湊漁協の組合長が発起人となり、今も昆布養殖は、行われています。昆布が育つ環境として水温が低くなる、冬の時期だけ昆布養殖を行っています。
「豊かな海の環境を次の世代に残したい」そんな想いを胸に今も昆布養殖に取り組む塩谷さんの活動について授業を実施し、子ども達への想いを伝えていただきました。

「昆布」が海の救世主!?深刻化する海の課題解決への取組み

授業で訪れたのは、富山県農林水産総合技術センター 水産研究所(滑川市)。この施設では、富山の水産資源を守り、育てる技術開発が行われています。講師は、副所長の辻本良先生と、富山のこんぶ博士こと、松村航先生。辻本先生からは、水産研究所が取り組む栽培漁業への取組みや、海の問題として深刻化する「海洋ごみ」「マイクロプラスチック」「海水温の上昇」などについて、講義いただきました。海の環境変化で、漁獲量や魚種に影響が起きていることを学んだ子ども達。講義後の感想からも「海を大切にしたい」「海や川などにごみを捨てないように呼びかけたい」などの声が沢山あがりました。
松村先生からは、富山湾での昆布養殖の取り組みや、魚など海の生き物達にとって住みよい藻場再生や「海の森づくり」について講義いただきました。実際に松村先生が、養殖で育てたガゴメ昆布を間近でみた子ども達は、その長さと独特な粘り気のある触り心地に驚いた様子でした。昆布や海藻には、海を守り、環境を維持する上で重要な役割を担っていることが分かり、改めて「こんぶ」の持つパワーと魅力を実感した授業となりました。

子ども達の学びの成果を基に、「こんぶ」を使ったオリジナル商品をみんなで開発

イベントのアウトプットとして、最後に挑戦したのは「こんぶ」を使った新商品開発。料理研究家やデザイナー・カメラマンで作るクリエーターチーム「とやま駅弁研究部」を講師にお招きしました。今回、みんなで開発したのは、ご飯にかけたり・おかずの隠し味など、どんな料理にも活用できる新しい万能調味料「こんぶパウダー(仮称)」のパッケージデザイン・ネーミング・オリジナルレシピなどを話し合いました。
3日間のイベントで学んだこと・体験したことをもとに、班に分かれ、それぞれのアイデアや意見を出し合いました。3日間学んだ「こんぶ」や「海」の魅力が詰まった、子ども達ならではの、自由な発想とアイデアが次々に生まれ、ヒット商品の予感が…。どんな商品が最終的にできあがるのか?完成は、10月頃を予定しています。

きれいな海やこんぶの魅力を未来に残すため、一人一人にできることとその想い

最終日は、班ごとにそれぞれ3日間学習・体験したことをまとめ・発表を行いました。子ども達からは、「昆布は美味しいだけでなく、海をきれいにする力があることを知り驚いた。」や「昆布や海のことを沢山知ることができ、これまで以上に海や昆布に興味を持つことが出来た。」「3日間のこんぶ学校での経験を活かし、今後自分でももっと昆布や富山湾について調べて、家族や友達・先生にも沢山教えてあげたい。」「海には、海水温の上昇や海洋ごみやマイクロプラスチックなどの問題が沢山あることを知った。今度、ごみ拾いに参加してみたい。」という感想が聞かれ、イベントの目的が達成できたのではないかと感じています。また今回、子ども達の学びのサポートとして、滑川高校の海洋科の高校生にも参加いただきました。彼ら自身も日頃から、水産資源や海の環境について学び・触れる機会が多く、子ども達にも彼らが普段、取り組んでいる「海」への熱い想いが伝わる場面が何度も見られました。


 
 
 
 
 
 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

 

参加人数:16人