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珠洲の子どもたちが「海のヒミツ調査隊」を結成 スルメイカの体のヒミツは地球温暖化問題への入り口だった!

海と日本プロジェクト in 石川県実行委員会は、2021年夏に国連の「世界農業遺産」への認定から10年目を迎えた奥能登で様々なイベントを開催しています。

2021.08.30

海と日本プロジェクト in 石川県実行委員会は、2021年夏に国連の「世界農業遺産」への認定から10年目を迎えた奥能登で様々なイベントを開催しています。

今回は隣接した漁業拠点である能登町と珠洲市に着目。2021年8月4日(水)に能登町の子どもたちが珠洲市へと訪れた【さいはての珠洲 海の恵みと漂着物】に続き、珠洲市の子どもたちを能登町に招待して、スルメイカの生態から地球温暖化が海に及ぼす影響を学ぶ【海のヒミツ調査隊】を8月18日(水)に開催致しました。

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
石川県珠洲市内にある小学校の5,6年生16人が、内浦の様々な海洋施設でサワラとイカの漁獲量の変化から地球温暖化が海に及ぼす影響を学ぶ。更に、その成果としてオリジナル弁当を開発する。

日程
2021年8月18日(水)8時50分~17時30分

開催場所
能登町周辺の海沿一体・海洋関連施設

参加人数
珠洲市立正院小学校 5,6年生 16人

協力団体
能登町、うみとさかなの科学館、JF能都支所、JF小木支所、奥能登食材流通機構、したひら鮮魚店、ふくべ鍛冶、能登里海教育研究所、コンセールのと、つくモールほか

能登伝統の”定置網漁”から見える”地球の変化”、そして里海の暮らし

開催当日は全国的にお天気が心配な中、時折晴れ間がのぞく見学日和になりました。珠洲の子どもたちが最初に訪れたのは能登町宇出津にある【うみとさかなの科学館】。職員の四方さんと奥野さんに、能登伝統の定置網漁の事、そしてスルメイカの生態や魚種の変化について教えて頂きました。なんと21世紀に入った頃から、サワラの漁獲量が激増し、イカは不漁になっているそうです!その背景には地球の温暖化による海水温度の上昇が…。

大きな地球の問題が自分たちの身近な海に影響していることを学んだ子どもたち。続いて、隣接している能登町冷蔵庫へ。ここは定置網で獲れた魚を無駄にしない為の施設です。季節や天候によって変化する漁獲量に影響されないように鮮度を保持したまま魚を保存し、商品に加工します。
更に、過疎地域への移動販売で地域を支える【したひら鮮魚店】の下平さんや石川県内で唯一の漁具・包丁職人の【ふくべ鍛冶】干場さんのお話から、地域の大切な産業である漁業と自分たちの暮らしのつながりを学びました。

全国屈指の水揚げ量を誇る”小木のイカ釣り漁業”のヒミツに迫る!

能登町小木は全国屈指のスルメイカの水揚げ量を誇ります。まずはそのヒミツを知る、JF小木の山本さんからイカ釣り漁の仕組みを教えて頂き、実際のイカ釣り船に乗船しました!なんと釣り上げたスルメイカは船内にある超低温の冷凍庫で急速冷凍され、船凍イカとなって港の冷凍庫に保管されます。全国屈指の水揚げ量には、こんなヒミツがあったのですね。
最初に見学した能登町冷蔵庫に続き、”鮮度を保ちながら漁獲量の変化に影響されない仕組み”を、ここ小木でも発見した子どもたち。今回は冷凍庫の中も見学しました。温度の差に驚きながら濡れたタオルをぐるぐる回すと…あっという間にカチンコチンに!皆で触って思わず歓声が!急速冷凍の力を実感した様子でした。続いてはスルメイカの体のヒミツに迫ります。

“スルメイカ”から見える世界、そして体のヒミツ

調理実習室がある複合施設コンセールのとでは、能登里海教育研究所の浦田さんからスルメイカ漁獲量の減少について更に深く教えて頂きました。海水温度の上昇はもちろん、なんと外国船の違法操業も大きな理由になっているそうです。
地域の海が世界とつながっていることを改めて学んだ子どもたちは、スルメイカの体のヒミツに迫るべく小木で頂いてきた船凍イカの解剖に挑戦!なんとスルメイカに3つの心臓を発見しました!
「何のために?そしてどんな働きが?」子どもたちの止まらぬ疑問への答えは「1つは全身に血を送り、残りの2つはエラを動かす」という事。このお話から、スルメイカの運動量には多くの酸素が必要なこと。更に、海水温の上昇によってより多くの酸素を必要になる為、スルメイカにとっては住みにくくなることを学びました。

スルメイカ料理にチャレンジ!能登町の子どもと共同でオリジナル弁当を開発!

解剖したスルメイカ、勿論無駄にはしません!フードコーディネーターの瀬川さん指導の下で、料理にチャレンジしました。今回のメニューはえんぺらとげそ、そしてかまどをたっぷりと使う「イカの具たくさんちらし寿司」と、胴を使う「イカのホイル焼きカレー風味」。お家でもしっかりお手伝いしているのか、皆積極的に調理を進めます。勿論、胴の表面には格子状の隠し包丁も!
料理が完成して、二品とも家族へのお土産にするためにパッキング。ほっと一息の子どもたちでしたが、そこで大きな宿題が発表されました。それは「オリジナル弁当」の開発!
「え!」突然のサプライズに驚く子どもたち。しかも、これは家族と楽しむためのお弁当では無いのです。珠洲の子どもたちは能登町のスルメイカを使って、そして4日に開催した能登町の子どもたちは珠洲市の海藻を使って、皆で能登の新たな名物になるようなお弁当を作ります。そして完成したお弁当は、イカの駅つくモールと能登丼事業組合のご協力により様々なイベントで販売!子どもたちの”海への想い”が、様々な方に届きます。

お隣のまち”能登町”のヒミツを知って気づいた”私たちの課題”

海岸線が変化に富んでいるため、隣接したまちでも漁の方法や文化が異なる奥能登。珠洲市の子どもたちは、自分たちがよく知っているお隣のまち能登町の”ヒミツ”を調査したことで新たな視点が生まれたようです。
イベント終了後の意見交換会では「イカは2本だけ足が長い!!」という素朴な驚きや「地球温暖化ということは聞いたことがあったが、そのことで海水の温度が上がって魚たちにいろんな影響が出ているということを知ってビックリした」という問題点への気づき、そして「スルメイカが減っていかないような工夫を自分で探していきたい」という課題の発見も。今回学んだ事を家族に伝えたり自分でも考えを深めていくなど、これまで遠くに感じていた【地球温暖化】を身近な問題としてとらえ始めた子どもたち。
更に「イカ釣り漁船が人工衛星からも明るく見えると聞いて、宇宙から私も見てみたいと思った」という感想も。子どもたちにとって「宇宙から見る」ことが”夢”ではなく”現実”になる日は近くなっています。その時、自分たちが目にする地球はどんな色をしているのでしょうか。未来へと想いを馳せるきっかけになる1日となりました。







イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています。

 

参加人数:16人