伊勢神宮が三重に建てられた理由が地元のアワビに!? 海から知る三重の歴史“みえのうみ通信社”を開催しました!
海と日本プロジェクトin三重県実行委員会は、三重県の海女文化をこども記者が取材することで、三重県の海が日本の歴史に果たしてきた役割を、地元の子供たちが深く理解し情報発信するイベント、みえのうみ通信社~アワビから知る三重の海~を2021年8月11日、12日に開催しました。
2022.02.18
海と日本プロジェクトin三重県実行委員会は、三重県の海女文化をこども記者が取材することで、三重県の海が日本の歴史に果たしてきた役割を、地元の子供たちが深く理解し情報発信するイベント、みえのうみ通信社~アワビから知る三重の海~を2021年8月11日、12日に開催しました。なお、イベント開催に当たっては新型コロナウイルス感染対策を行って上で実施しました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
日本一、現役の海女が多い三重県は、海女文化を3000年以上も受け継いできました。それがなければ、伊勢神宮も三重県には存在せず、さらには日本全体の歴史や文化が大きく違っていた可能性すらあります。しかし、現在、海水温の上昇や経済的な理由から、三重県の海女文化が衰退していると言わざるを得ない状況です。そこで、本イベントは、子どもたちが三重の歴史と文化を知り、発信することを狙いとして行いました。
開催概要
アワビをテーマに三重県水産研究所や伊勢神宮内宮にて三重の「歴史」「環境」「食文化」をテーマに2日間の取材を行い、後日こども記者とオンライン編集会議を実施しました。
開催日程
2021年8月11日(水)~12日(木)
開催場所
三重県伊勢市、鳥羽市、志摩市
参加人数
三重県内小学5,6年生 20名
協力団体
三重県水産研究所、神宮司庁 他
三重県水産研究所で知った、三重の海とアワビの生態
三重県水産研究所では、古代より朝廷や神宮に奉納されてきた、三重の海女文化の象徴とも言える海産物「アワビ」について話を聞きました。現状、三重県の海水温は上昇傾向にあります。そのため、低い海水温を好むアワビは大きく減少しています。また、アワビの天敵である伊勢海老やタコなどは、海水温の高い海を好むので増えています。こども記者は、漁獲量が減少するアワビの置かれた状況が、大変厳しいことを知り、地元の海の「環境」について強い関心を持っていました。その上で、こども記者は、水産研究所がアワビの個体数増加のために取り組んでいる人工孵化させた稚貝の放流に向けて必要な、個体識別のためのタグ付けを体験しました。自分がタグ付けしたアワビの5%ほどしか大人になれないと知って、子供たちはたいへん驚いていました。
伊勢神宮誕生に欠かせない三重のアワビ
伊勢神宮が、なぜ伊勢の地にあるかというと、約2,000年前、”おべん”という名前の海女が神宮に祀られている神さまにアワビを献上した際、大変おいしかったからという言い伝えがあります。そこで、子供記者は水産研究所でアワビの生態や現在の状況を学んだ後、現役の海女への取材を実施。。歴史的に海女が、どのように個体数を減らさないように工夫しながらアワビ漁を行ってきたのかなど、数千年前から連綿と続く海女文化を取材しました。その後、伊勢神宮に取材に行き、海女が捕獲したアワビを、どのように奉納してきたのかを取材しました。
こども記者が一様に関心を持ったのが、彼らの多くが毎年もらうお年玉の袋についていることもある「のし」が、伊勢神宮に奉納されているアワビがルーツになっていたことです。アワビは神宮へ「のしアワビ」という、紐状に乾燥させて加工された状態で奉納されます。その奉納品である「のしアワビ」を、大昔の人がお祝い事の時に贈っていた習慣が変形して、現在の「のし」になったそうです。それを始めて知った こども記者は、三重県の海が日本文化に大きな影響を与えていることを知り、地元の海への関心や誇りをより強くしたようでした。
取材内容を記事にまとめ
2日間の取材を終えたこども記者はそれぞれ自宅で記事を作成し、みえのうみ通信社デスクに原稿を提出し、オンライン編集会議に臨みました。会議ではそれぞれの記者が書いた記事を出席者で共有しながら理解を深めました。その後、9月11日の中日新聞三重版に「みえのうみ通信」が掲載されました。
参加した子ども・保護者からの声
【こども記者からの声】
・三重の海の現状と生き物の大切さが分かりました。
・海女になりたい!と改めて思った。
・私は5年生だから来年も参加したいです
【保護者からの声】
・行きは不安そうな顔で出かけて行ったのですが、帰ってきたらずっとどんな事をして友達と話したかを聞 かせてくれ、少し大きく成長したかなと思いました。
・2回目の参加でしたが、今年も大変楽しかったと喜んでいました。ぜひ中学生向けのイベントも企画して いただきたいです。
・完成した記事が新聞に掲載され、学校の先生からも連絡があり照れていました。大変な時期にこのような 企画運営をして頂き感謝しかありません。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:20人