”海なし県”滋賀県の小学5年生がうみと森のつながりを学ぶ環境学習「食卓から未来のうみを守り隊!」を開催しました
海と日本プロジェクトin滋賀県実行委員会は、子どもたちが環境保全について考える体験学習イベント「食卓から未来のうみを守り隊!」を開催しました。
2021.09.10
海と日本プロジェクトin滋賀県実行委員会は、子どもたちが環境保全について考える体験学習イベント「食卓から未来のうみを守り隊!」を開催しました。参加者は、滋賀県内の小学5年生20名で、夏休み期間中の2021年7月25日(日)、7月31日(土)、8月11日(水)の3日間、「守り隊」として、森とうみ(びわ湖・大阪湾)での体験を通して「環境を守るための取り組み」を学び、オンライン講義で「エシカルなお買い物」について学ぶことで、「豊かな海を未来に残すために」に自分たちができることを考えました。
イベントでは、海なし県の滋賀県の子どもたちが、海を身近に感じることができる「食卓」を導入に用い、「将来、食卓から魚が消えてしまうかも!?」という衝撃の事実から、美味しい魚をずっと食べ続けるために「海を守る大切さ」を考えました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で実施しました。
開催概要
滋賀県内の小学5年生20名を「守り隊」に任命。海なし県・滋賀県の人々が海を身近に感じることができる「食卓」から思い馳せて、3日間かけて「森」「びわ湖」「海」での環境保全の取り組みや、「お買い物」について学ぶことで自分たちにできることを考える環境学習イベントです。
日程
2021年7月25日(日)・7月31日(土)・8月11日(水)
開催場所
【1日目】奥びわ湖・山門水源の森(滋賀県長浜市)
【2日目】(午前)三和漁業協同組合(滋賀県高島市)
(午後)大阪府漁業協同組合連合会(大阪府岸和田市)からリモート
【3日目】生活協同組合コープしが(滋賀県野州市)からリモート
参加人数
滋賀県内の小学5年生20名(応募者から抽選で決定)
協力団体
山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会/三和漁業協同組合/滋賀県漁業協同組合連合青壮年会/滋賀県 農政水産部 水産課/大阪府漁業協同組合連合会/大阪府資源管理船びき委員会/生活協同組合コープしが
【1日目】「森を守ることが、海を守ることにつながる」ことを学ぼう!
初日の7月25日は、長浜市西浅井町山門にある「奥びわ湖・山門水源の森」で自然観察を行いました。
案内してくださったのは、普段からこの森の保全活動をされている「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の皆さんです。滋賀県の最北端に位置し、4万年の歴史をもつ県内最大級の湿原を有するびわ湖源流の森では、貴重な動植物をたくさん見つけることができました。子どもたちは、森にたくわえられた水が地表に染み出した「川のはじまり」を見たり、森の中で寝転がり、「森を感じる体験」などを通して、森の役割や森を守るためには人が関わり手入れをすることが必要なことを学びました。また、森からの水がびわ湖や海の生き物を育むことを学び、海を守るためには、豊かな森を守り育てて行くことが大切だということを学びました。
【2日目】びわ湖と大阪湾の持続可能な漁業について学ぼう!
<びわ湖の漁業を学ぼう!>
2日目の7月31日は、高島市安曇川町四津川にある「三和漁業協同組合」から漁船に乗せて頂き、びわ湖の伝統漁業「エリ漁」の仕掛けを見学しました。案内してくださったのは、滋賀県漁業協同組合連合青壮年会の若手漁師さんたちです。エリ漁は、魚の習性をうまく利用した待ち伏せ型の漁で、魚をとり過ぎない持続可能な漁だと言われています。エリの見学後、漁師さんたちの粋な計らいで沖の白石までのクルージングを楽しみました。漁港に戻ってからは、滋賀県水産課の竹上健太郎さんから、びわ湖とびわ湖の漁業について教えて頂きました。びわ湖では昔に比べて漁獲量が減少しており、漁師さん達がびわ湖を守るために、稚魚の放流や外来魚駆除や湖岸の清掃活動などをされていることを学びました。そして昼ごはんには、びわ湖でとれたアユを自分たちで天ぷらにして食べました。揚げたての天ぷらは子どもたちに大好評でした。
<大阪湾の漁業を学ぼう!>
午後からは、大阪府岸和田市にある「大阪府漁業協同組合連合会」と中継をつないで、大阪湾と大阪湾の漁業について学びました。
まずは、大阪市立自然史博物館友の会会長の鍋島靖信さんから、大阪湾について教えてもらいました。大阪湾でも地球温暖化の影響で、アナゴやマゴガレイなどの漁獲量が減少しているそうです。また、マイクロプラスチックの問題についても教えて頂き、大阪湾の上流にある滋賀県に住む私たちの生活も海に影響を与えていることを学びました。
次に大阪湾でシラス漁をされている大阪府資源管理船びき委員会の漁師、中武司さんと音揃政啓さんに、大阪湾の持続可能な漁業について教えて頂きました。大阪湾では、シラス・イカナゴ漁でMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)漁業認証を取得しています。MEL認証とは、海の恵みと生き物が未来に続くように、環境や生態系の保全に配慮した管理のもとで仕事をしている生産者(漁業・養殖業)や加工・流通業者を認証する水産エコラベルです。大阪湾では、産卵状況などを科学的に調査しながら、全漁協が協力し漁に出る日時を決め、みんなでルールを守ることで徹底した資源管理を行っているそうです。また、大阪湾の漁師さんたちも、海を守るために川の源となる森(里山)を守る活動をされていることも学びました。
この日、子どもたちの自宅には大阪湾でとれたシラスが届きました。家族でシラスを食べてもらい、大阪湾の漁師さん達に教えてもらったことを「食卓」で振り返ってもらいました。
【3日目】「エシカルなお買い物」について学び、自分たちにできることを考えよう!
最終日の8月11日は、お店でのお買い物体験などを交えて実施する予定でしたが、滋賀県に「まん延防止等重点措置」が適用されたことを受け、リモートに切り替えて実施しました。
まずは、滋賀県全域での宅配事業に加え、県内に4店舗をかまえる「生活協同組合コープしが」組織広報部の岡野早苗さんから、「誰かの笑顔につながるお買い物」=「エシカル消費」について教えて頂きました。
そして、イベントのテーマである「食卓から海を守る」に合わせて、海のエシカルについてみんなで考えました。世界の水産資源の現状は、約30%が獲り過ぎ、約60%がこれ以上漁獲量を増やせない状況で、人口増加などの影響もあり、このままでは、未来の子ども達が魚を食べられなくなってしまうかもしれないそうです。そこで、水産資源を守るために「私たちにできること」として、持続可能で適正に管理された水産物につけられる「海のエコラベル」などがあることを教えて頂きました。
次に子ども達は、家の中にあるエコマークや森林を守ることにつながるマークなどを探しました。そして、ウェブカメラの前でどんなマークが何についていたかを発表しました。
最後は、滋賀グリーン活動ネットワーク事務局長の小川長利さんに、3日間の活動を振り返りながらまとめて頂きました。小川さんは、SDGsに触れながらSDGsのゴール14にある「海の豊かさを守る」ために、他のどんなゴール達成が必要で、「海の豊かさを守る」ことが他のどんなゴール達成につながっているのかを説明し、子どもたちに「私たちに何ができるのか」と問いかけました。子どもたちからは、「食べ残しを減らしたり、ごみをリサイクルする」「一人ひとりがごみを出さないようにして、ごみが落ちていたら一つでも拾うようにして、地球全体のごみを減らして海を守っていきたい」「自分たち一人ひとりが環境を守っていくという意識を持たないといけない」といった意見が述べられました。小川さんは、「意識のないものは行動にうつらない。まずは気付きがあって、意識をしっかりもって、それが行動にうつる。そして、環境への行動は、身近なところからはじめないとなかなか成り立たない。自分には何ができるかを考えることが大切だ」と締めくくりました。
子どもたちには、3日間の活動を通して学んだことを元に、守り隊からのメッセージ~未来のうみを守るために私たちができること~というテーマで、1人1枚ずつポスターを制作してもらいます。このポスターは、9月17日~10月3日の間、コープしがの4店舗で掲示される予定です。
3日間を終えて子どもたちの感想
・森やびわ湖と海は私たちにとってとても大切なものだと知りました。
・森林と、びわ湖や海との関係性が分かって、これからどんなことをしていったらびわ湖がきれいになったりする
のかということが分かりました。自分にもできることがあると思い、自分も参加できる活動などをしていきたいです。
・海を守るためには、食べ残しを減らしたり、ごみを出さなかったり、無駄なものを買わないようにたら良いことが分かりました。
・私たちがびわ湖を守ると大阪湾にもつながっているので、びわ湖をきれいにして、大阪湾で魚がたくさんとれるといいと思います。
・大阪湾にたくさん生き物がいることを知ってびっくりしました。
・この活動で、地球環境のことを考えるきっかけになったので良かったと思いました。
・知らなかったことがたくさんあって、そのことを生活に活かせたらいいなと思います。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:20人