瀬戸内海と日本海の違いって?兵庫の海で学ぶ「豊かな海の秘宝を探せ!ひょうごシーレンジャー【瀬戸内海編】」を開催しました!
海と日本PROJECT inひょうご実行委員会は、森、川、海の繋がりを通して、豊かな海を実現するために何が必要なのかを学ぶイベントを2021年10月2日、3日に開催いたしました。
2021.11.12
海と日本PROJECT inひょうご実行委員会は、森、川、海の繋がりを通して、豊かな海を実現するために何が必要なのかを学ぶイベントを2021年10月2日、3日に開催いたしました。このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
瀬戸内海は水質改善が進んだ半面、魚介の栄養素となる窒素などの「栄養塩」が減り、“漁獲量の減少”や”海苔の色落ち”が頻発するなど、海の豊かさの問題について問われています。そんな危機的状況の中、兵庫県は2019年6月に全国で初めて、一定の窒素濃度を保つ海水の環境基準を設定しました。
このような背景をもとに「ひょうごシーレンジャー」では、魚の棚の町 明石市(海苔・タコの産地)を舞台として”豊かな海”を作るために、どんな取り組みを行っているのか、また、何をすることで”豊かな海”を実現できるのかを、イベントを通して子ども達(小学生)に学んでもらいました。今回は海だけではなく、豊かな海に必要な「森づくり」にも着目。森と海の関係を通して豊かな海を学ぶイベントとして「ひょうごシーレンジャー」を実施しました。瀬戸内海と日本海へ注ぐ川が分かれる場所「水分かれ公園(丹波市)」を軸に、”瀬戸内海編”と”日本海編”の2つのイベントを開催。最後に3つ目のイベントとして、それぞれのシーレンジャーが学んだことを発表する合同イベントを行います。今回は瀬戸内海編を10月2日~3日に実施しました。
日程
2021年10月2日~3日
開催場所
丹波市、明石市など
参加人数
20名(小学生)
協力
兵庫県立人と自然の博物館、兵庫県水大気課、兵庫県立水産技術センター、兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会、豊岡市教育委員会、神戸大学内海域環境教育研究センター、氷上回廊水分れフィールドミュージアム 等
水分れ公園について学ぼう
20人の子ども達が本州一低い分水嶺である水分れ公園を起点に、山に降った雨が、瀬戸内海と日本海に流れていく事を学びました。丹波市氷上町は瀬戸内海に流れ込む加古川水系と日本海に流れ込む由良川水系を分ける中央分水界になっています。中央分水界は日本列島に降った雨水が日本海側か瀬戸内海を含む太平洋側か、どちらに流れていくのかという分水を決める高まりです。子ども達は初めて見る中央分水界に「こんな場所があるんだ!」という感想を述べていました。
瀬戸内海と日本海のちがいって?兵庫の海の現状を学ぼう
兵庫県の海の現状について、水産技術センターの中桐さんより瀬戸内海と日本海の違いに着目しながら解説頂きました。日本海は、陸地にできた割れ目に水が溜まり、沈み込んで海になったこと。入口が浅くせまいため、他の海からの深海生物が入り込んでこず、ちょっと冷えたお風呂のようになっていて、水温1℃前後の日本海固有水といわれる冷たく重い水が300mより深いところにあり、かたまりとなっていること。いっぽう、瀬戸内海は川や里(人の暮らし)の栄養が流れ込み、いろいろな生き物のエサのもとになっていることなど、身近な海でありながら普段なかなか気づけない点を知り、参加者は興味深々でしっかりノートをとっていました。
青垣いきものふれあいの里で川の調査学習
今回のイベントでは、山、川、海の繋がりを学ぶことがテーマで、参加者は川でも活動を行いました。山から流れた栄養が川を伝って流れ川にすむ生き物にも影響を与える。この学びを実際に川の生き物を採取し、実体験をとおして学びました。参加者は「川に虫(水生昆虫)がいるなんて知らなかった!」等の初めて知る事に興奮を隠せない様子でした。
漁業者の森で間伐活動を行う
神戸市西区には「漁業者の森」という漁業者が森づくりを行っている森があります。豊かな海を実現する為に、漁業者が森づくりを行っています。間伐を行うことで、地面に太陽の光が降り注ぎ、地面の動植物にもしっかり太陽の光が行き届くようになり、葉っぱ等も分解され、栄養になります。この栄養が雨によって川に流れ、最終的に海に繋がります。
このような背景を元に今回は、参加者も漁業者の森で間伐作業を行い、豊かな海を実現する為になぜ豊かな森を守る事が大切なのかを実践を通して学びました。
水産技術センターと神戸大研究船で生物多様性についてまなぼう!
水産技術センターのタッチプールでタコ等の地魚と触れ合い、食物連鎖や生物多様性について学び、豊かな海に欠かせない、プランクトンを採取し観察しました。森から流れた栄養は川を伝い海に流れます。そしてその栄養の恩恵を受けるのが、まずプランクトン。そのプランクトンを小魚等が食べ、食物連鎖へと繋がります。このようにプランクトンがどう豊かな海に係わっているのかを意識することで、日頃から海のことについて興味関心を醸成することができました。
神戸大学の調査船にのりプランクトンネットで自分で採取したプランクトンを顕微鏡で観察するという中々普段では体験できない活動に、子供達は多くの学びがありました。参加者の一人は「プランクトンなどを含む生き物がバランスよく住んでいるのが豊かな海だとわかった」と話していました。
(株)淡路屋の「ひっぱりだこ飯」作り体験出前授業
駅弁「ひっぱりだこ飯」で有名な淡路屋とのコラボレーションにより参加者自らが駅弁を作るワークショップを実施しました。豊かな海の象徴である明石だこを使ったお弁当を作る事で、豊かな海を守っていかないとこの明石だこも居なくなってしまうという事を食を通じて子ども達は実感。日光の降り注ぐ豊かな森があり、そこで生み出された栄養を川が海まで運び、栄養塩としてプランクトンの養分となり、最終的に明石だこに繋がるという食物連鎖を学び、参加者は「森の豊かさが明石だこまで繋がるなんて!」と驚いていました。今回、参加者が作った淡路屋「ひっぱりだこ飯」はオリジナル商品として子ども達が描いた絵をデザインし、各種駅にて販売されます。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:20人