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北海道と長崎の小学生が五島の海を守る最先端の科学技術にせまる! 第3回「長崎・五島 東シナ海調査隊/るもい・日本海調査隊!2022」 を開催しました!

海と日本プロジェクトin北海道実行委員会と海と日本プロジェクトin長崎県実行委員会は、2022年10月8日(土)、10月9日(日)、10月10日(月・祝)に第3回「長崎・五島 東シナ海調査隊︕2022」「るもい・日本海調査隊!2022」を合同で開催いたしました。

2022.10.24

海と日本プロジェクトin北海道実行委員会と海と日本プロジェクトin長崎県実行委員会は、2022年10月8日(土)、10月9日(日)、10月10日(月・祝)に第3回「長崎・五島 東シナ海調査隊︕2022」「るもい・日本海調査隊!2022」を合同で開催いたしました。

このイベントは、海と日本プロジェクト全国44の実行委員会の中で、長崎県・東シナ海と北海道・日本海を協力して調査する、初めての交流事業です。北海道、長崎それぞれの地域で7月から8月にかけて行った第1回「るもい・日本海調査隊!2022」「長崎・五島 東シナ海調査隊︕2022」、長崎の子ども10人、北海道の子ども10人の計20人が9月17~19日の第2回「るもい・日本海調査隊!2022」を経て、集大成として行ったイベントが、今回の第3回「長崎・五島 東シナ海調査隊︕2022」「るもい・日本海調査隊!2022」です。

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とが繋がる”日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で実施しました。

イベント概要
北海道、長崎の子どもたちがそれぞれの地域の海のことについて学ぶ第1回のイベント、そして、長崎の子ども10名、北海道の子ども10名が北海道の海について学ぶ第2回のイベントを経て、集大成として行う第3回目のイベント。日本で初めて商用運転を開始した浮体式洋上風力発電”はえんかぜ”や、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近大マグロを養殖する”ツナドリーム五島”等を見学し、北海道、長崎の海の特徴、文化の違い、それぞれの地域で用いられている科学技術について学び、考えるイベント。
日程
2022年10月8日(土)~10月10日(月)
開催場所
長崎県長崎市、五島市
参加人数
20名(北海道10名、長崎10名)
協力団体
長崎市、五島市、五島市観光協会、ツナドリーム五島、長崎総合科学大学、さんさん富江キャンプ村、東海大学

長崎の海の特徴とは!?

初めに、長崎市伊王島総合開発センターで「長崎の海の特徴」について学びます。講師は長崎大学海洋未来イノベーション機構の瓜生先生。「長崎の海は田んぼのように豊かである」。こんな言葉から始まった講義。長崎に西洋式ドッグを持ち込み、造船の街として発展していくきっかけを作ったグラバーが住んだ家、今は観光名所にもなっているグラバー邸に飾ってある「大海是田」の意味です。長崎の海は、対馬海流や複雑な潮流が入り乱れ、数多くの島々や天然の入り江に恵まれていることから、数多くの種類の魚が獲れる豊かな海です。さらに、その豊かな海では、実は世界でも珍しい最新の技術が使われている養殖や、日本でも長崎にしかない風力発電があることを学びます。長崎の海は豊かなだけではなく、その海を有効活用し、未来の海を守っていく取り組みが行われていることを子どもたちは知りました。長崎の”熱源人材”としての一面をもつ瓜生先生らしく、熱く海の事を語っていただきました。瓜生先生の魅力いっぱいの語り口に、子どもたちは目をキラキラさせていました!

 

水中探査ロボで海中調査&魚、ガンガゼウニの調査

座学で長崎の海について興味関心を高めた長崎・北海道の子どもたちは、続いて西彼南部漁協へ移動し、実際に海の中を調査します。ここでは、3班にわかれそれぞれローテーションで、「①水中探査ロボ調査」「②魚の観察&ガンガゼウニの解剖」「③サンゴ礁観察」を行います。講師は、長崎総合科学大学松岡先生、西彼南部漁協の漁師さんです。

①水中探査ロボ(ROV)について教えてくれるのは、長崎総合科学大学の松岡先生。カメラ付きのロボットを海中に入れ、陸上からロボを操作して海中の様子を観察します。ロボを海に入れた場所はスロープで繋がった浮島。浮島の下をロボで覗いてみるとたくさんの魚が!魚は影に身を隠す習性があるので、たくさん集まっていると話す松岡先生。さらに、「スロープで繋がっている船着き場(浮島)は、干満差が大きい長崎ならではの港の特徴」と東海大学大橋先生は話します。北海道にはあまり無い、スロープ付きの港。よく見る光景にも、”長崎ならでは”があることに驚いた長崎の子どもたちでした。

 

②魚の観察&ガンガゼウニの解剖について教えてくれるのは、西彼南部漁協の漁師さん。この日、長崎の海で獲れた魚を紹介。いろんな種類の魚やエビ、カニ等を生で見て、触って子どもたちも大興奮!長年漁師を営んでいる漁師さんは、「獲れる魚の種類は数十年前から変わっていて、獲れる漁の量もどんどん減っている」と話します。北海道の子どもからは「こんなカラフルな魚見たことない!」という声も。これも海の問題を象徴するサインのひとつ。南国でしか見られなかったカラフルな魚が、地球温暖化の影響でどんどん北上しているそう。漁師さんが話す、魚の住環境の問題はこれだけではなく、いま海中では”磯焼け”の問題が深刻化していて、魚の住む場所、産卵場所が減っているとのこと。これは、地球温暖化以外にも、藻食生物が原因のひとつとされています。その代表的生物が”ガンガゼウニ”。藻を食べてどんどん成長するガンガゼウニは、大きな殻を持つにも関わらず、身の入りは少なく、味にも癖があるため市場価値はほとんどありません。そのため漁師さんたちは、このガンガゼウニが網にかかったら潰して駆除します。しかし、それだけでは駆除が追いつかず、定期的に海に潜るなどしてガンガゼウニの駆除を行っているそうです。ガンガゼウニを潰して駆除する体験をした子どもたちからは「潰したウニは魚の餌になるから、釣りの時に使えるようになったらよさそう!」というような、アイデアもあがっていました。市場価値の無い、駆除対象の生物に価値を与えられるようなアイデアが実現したらいいね!と講師陣は話しました。

③サンゴ礁観察は、残念ながらこの日波が高くて船を出せなかったため断念。後で、事前に撮った長崎の海のサンゴ礁の映像を見ました。数年前までこの海では全く見られなかったサンゴ礁。これも地球温暖化の影響で生息地域が北上しているためです。地球温暖化の現状を、目で見て、肌で感じた子どもたち。普段の暮らしのなかの行動ひとつひとつが、地球環境に影響を与えているということについても教わり、日々の行動を見つめなおそうと考えた子どもたちでした。

長崎の食文化について調査!

長崎の海の調査でお腹ペコペコになった子どもたち。長崎の魚でお腹を満たしましょう!料理をするのは子どもたち。ここでは先ほどの西彼南部漁協で獲れた魚を使った海鮮丼と、アジの南蛮漬けを作ります。南蛮漬けは、当時貿易の窓口だった長崎から生まれた郷土料理。長崎で大量に獲れるアジを長期保存するために、油で揚げて酢漬けするものです。似たような調理法を北海道の”ニシン漬け”体験で学んでいた子どもたち。地域、使う魚は違えど獲れた魚を美味しく、長持ちさせる知恵があったことを学びました。

魚を捌くのも、揚げるのも初めてだった子どもたちがたくさんいましたが、シェ・デジマ坂本シェフの丁寧な指導で、楽しく調理をしていました!捌いた魚は、バイキング形式でこども達が選び取り、”マイ海鮮丼”にして美味しく頂きました。

五島・東シナ海の新たな挑戦!日本初の洋上風力発電とは?

イベント2日目!早朝のジェットフォイルで五島に到着した子どもたちは、初めに日本で初めて商用運転を開始した浮体式洋上風力発電「はえんかぜ」 について学びます!講師は五島市未来創造課の川口先生。台風の通り道でもあり、比較的強い風が得られること、そして地元の漁師さんの理解が得られたことなどが理由で五島市沖が日本初の浮体式洋上風力発電の土地として選ばれました。浮体式洋上風力発電は、海に沈んでいる部分が「漁礁」となり、魚の住みかになっていることで漁師さんにも迷惑がかからないということや、国土の狭い日本において今後益々重要となる、再生可能エネルギーのひとつです。洋上風力発電の仕組みやメリットについては、第1回のイベントで学んでいた北海道の子どもたちも生で見るのはもちろん初めて!全長172m、羽の部分は直径40メートルもある風力発電を生で見た子どもたちはその迫力に圧倒されていました!稼働中のはえんかぜに向かう船では、陸で製作途中のはえんかぜ、海上輸送中のはえんかぜも見ることができました。五島市では近いうちにさらに8基のはえんかぜが設置される予定。そうなると五島市の約8割の電気がはえんかぜでまかなわれるそう。海・自然の広大さ、そして海の無限大の可能性に胸躍らせる子どもたちでした。

伝統漁法「灰ダコ漁」を体験!

続いては「灰ダコ漁」体験です!岩場に隠れているイイダコに塩を吹きかけて、たまらず出てきたところを手で捕まえる原始的で伝統的な漁法です。昔は、暮らしの中で使用して使わなくなった”灰”を吹きかけていたことから”灰ダコ漁”という名前がつきました。イイダコがいる穴を見つけるコツは”中身の無くなった比較的新しい貝”が近くに落ちている場所を見つけること。貝をエサとするイイダコが食事を終えた後、近くの穴に身をひそめる為です。コツを聞いた子どもたちははやく見つけたくてソワソワしている様子。タコを見つけた子どもからは歓声があがり、初めて手掴みするタコに大興奮!一見子どもに見えるイイダコですが、成長しても大きさは15センチ程度。ミニサイズのタコに「可愛い!」という声があがっていました。

海と科学技術!世界初、クロマグロの完全養殖!

伝統的な漁法を体験した後は、五島の海で用いられている最新の技術について学びます!長崎は養殖クロマグロの生産量が日本一!全国の養殖クロマグロのうち、約31%が長崎県から出荷され、そのうち約37%はここ五島から出荷されています。五島は入り組んだ地形が多いため台風などの被害を受けにくくマグロの養殖に適していることから島全体でマグロ養殖に取り組んでいます。ツナドリーム五島は世界で初めて成功した完全養殖の近大マグロを育てていて、子供達は長崎のクロマグロ事情や、卵から育てる完全養殖で限られた資源を守ることなどを、ツナドリーム五島の志田所長、五島市水産課の川村さんから学びました。そして、マグロを見るため船に乗り養殖場へ!養殖場は船で約15分程の場所にあり、ひとつのいけすの大きさは直径約30メートル!エサの長崎県産サバがいけすに投入されると、大きなクロマグロが勢いよく食いつきます!しぶきを上げるクロマグロの迫力満点な様子にみんな大興奮!ひとつのいけすには約600匹のマグロが泳ぎ、1日に消費されるエサの量は約1~1.5トンというところにも子供達は驚いていました。ツナドリーム五島では、クロマグロの成長を管理するために水中カメラ、AIを使って、一匹ごとの体重や大きさを管理しています。健康で美味しいクロマグロを育てるために、ここにも最先端の科学技術が使われています!第2回のイベントで、北海道の”ナマコの養殖について学んでいた子どもたちは、養殖が海の資源を守る手段の一つということを改めて感じました。

民泊体験!

2日目もたくさん学び、体験した子どもたちは、この日五島の漁師さんの家に宿泊する”民泊体験”をします!各家庭、五島で獲れる魚や野菜、お肉でおもてなしをしてくださりました。普段家では食べられないような新鮮な食材に子どもたちは大興奮!朝がはやい漁師さんたちの日々の暮らし、家庭でできる環境への配慮の取り組みなど、五島ならではの料理、方言、文化に触れ、五島のお父さん、お母さんが大好きになった様子でした。短い時間でしたが、濃密な時間を過ごした子どもたちは、それぞれお世話になったお父さんお母さんに感謝のあいさつをして、五島の地を離れました。またいつか会えますように!

  

まとめの発表!

長崎市内に戻ってきた子どもたちは、この三日間、そしてこれまでの第1回、第2回の調査で学んだこと、感じたことをまとめます!長崎、北海道の先生から総おさらいをしてもらい、それぞれの地域の違い、共通点、科学技術が海に与える影響、など振り返ります。そして、最後に発表をしてもらいます。発表の場はなんと、KTNテレビ長崎のスタジオ!それぞれが感じ、考え、まとめたことをキャスター風に発表してもらいます!時間が進むにつれ緊張が増していっていた子どもたちでしたが「海に浮いている洋上風力発電は、魚のすみかにもなるので漁師さんにとっても良い」「五島ではマグロの養殖は卵から育てていること、マグロの生態についても学ぶことができた」「地域によって食べるものや生活が違った」等、立派に発表しました!長期間に及ぶイベントで、調査隊メンバーは前よりもっと海について詳しくなり、そして海がもっと好きになりました。

参加したこども・保護者の声

・「学校で今の海のことを知ってもらいたい」(北海道11歳・女児)
・「今まで知らなかったこと、うっすらしか知らなかったことを知れて良かった」(長崎県12歳・男児)
・「長崎のことや科学技術についてたくさん知ることができました」(北海道11歳・男児)
・「普段体験できない体験をさせていただき成長に繋がりました」(長崎・保護者)
・「五島と北海道と全3回の貴重な体験をさせて頂き本当にありがたい事でした。イベント参加後子どもから体験した事を目をキラキラさせながらたくさん話をしてくれました。”百聞は一見にしかず”を実感できたのではないかと思います」(長崎・保護者)

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:20人