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陸奥湾ホタテの生態と、養殖に関する様々な問題を学んだ2日間【あおもりむつ湾ホタテ調査団】を開催しました!

一般社団法人海と日本プロジェクトin青森県は、青森県が誇る特産品「陸奥湾ホタテ」について地元の小学生に理解を深めてもらう体験学習イベント「あおもりむつ湾ホタテ調査団」を、2024年6月29日(土)~6月30日(日)の2日間、開催いたしました。

2024.07.09

一般社団法人海と日本プロジェクトin青森県は、青森県が誇る特産品「陸奥湾ホタテ」について地元の小学生に理解を深めてもらう体験学習イベント「あおもりむつ湾ホタテ調査団」を、2024年6月29日(土)~6月30日(日)の2日間、開催いたしました。

このイベントは、次世代に豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
青森県を代表する特産品「ホタテ」は、生育の条件が整っている陸奥湾では養殖業が盛んに行われ、北海道に次ぐ生産量を誇ります。しかし、近年の気候変動の影響により陸奥湾の海水温が上昇し、多くのホタテの稚貝が死んでしまっているといいます。このままでは、長期的にみて青森県が誇るホタテの生産に大きな影響が生じるおそれがあります。また、残渣(養殖かごに付着している貝類など)の処理にも課題があります。自治体の焼却処分にも限界があり、悪臭や環境破壊などの問題を及ぼしています。
今回のイベントでは、青森県が誇る「陸奥湾ホタテ」について、「高水温」と「残渣」の2つの課題をテーマとして、子どもたちにホタテ養殖における「解決しなければならない課題」を知ってもらい、解決策を考え、地域の宝であるホタテを自分事として認識してもらうことを目標としています。
日程
2024年6月29日(土)~30日(日)
開催場所
青森県(青森市・平内町・蓬田村)
参加人数
小学5・6年生計20名
主催
一般社団法人海と日本プロジェクト in 青森県
共催
青森県営浅虫水族館
後援
青森県教育委員会・平内町漁業協同組合・青森県産業技術センター水産総合研究所

なぜ陸奥湾はホタテ養殖が盛んなの?

調査団が最初に向かったのは青森港北防波堤西灯台、通称「アスパム灯台」。

アスパム灯台からは陸奥湾を一望することができます。

浅虫水族館の久保さんから、陸奥湾がホタテ養殖に適している理由を教わりました。

その理由は3つあり、1つ目は低い水温が適していること、2つ目は八甲田山系からの水が湾に注ぎこみエサとなる植物プランクトンが豊富なこと、3つ目は湾のため波が穏やかなことがあげられるそうです。子どもたちも湾を見渡しながら、灯台から見える陸奥湾の景色を自分の目で見て確かめていました。

その後は浅虫水族館へ移動し、ホタテの基礎的な生態をクイズ形式で学びました。

生徒たちは活発に挙手をして、活気のある講義となりました。

また、ふれあい水槽では生きているホタテの上にヒトデを乗せるとどのような反応を示すのかなどを、実際に生きたホタテを触って体験しました。近年は陸奥湾の高水温が続きホタテの稚貝の大半が斃死してしまい、陸奥湾のホタテ養殖が苦境に立たされていることも知りました。

ホタテ漁にでてみよう!

1日目の午後は、ホタテ漁師さんの船に乗せてもらい、実際のホタテ漁の様子を見学しました。

漁師さんから採れたてのホタテを船上で振舞っていただき、身が柔らかくてとってもおいしい!参加者は皆舌鼓を打っていました!

漁具を海から引き上げる時、様々な付着物がありましたが、海水温が上がったことによって付着量も多く、これまで見られなかった種類も多いとのこと。陸奥湾で起きている課題や、漁師さんたちの苦労を目の当たりにしました。実際に漁をしているところを見学しないと分からないことがたくさんあり、子どもたちも興味津々でした。

1日目の最後は、青森県産業技術センター 水産総合研究所を見学しました。

水産総合研究所では、陸奥湾の生態系を調査したり、ホタテの生態を研究することで、漁業者に有益な情報を発信しています。

その一環として、陸奥湾に複数のブイを設置しており、海水温をリアルタイムで計測しています。高水温に弱いホタテの斃死を防ぐためには海水温の予測の精度を上げて、高水温が予想される場合は事前に水深の深い場所にホタテを移動させることが重要です。水産総合研究所では海水温の予測データを公表しホタテ漁師に高水温の注意を促すほかに、ホタテや効果的な養殖方法を研究してホタテ漁の安定化に貢献しています。

子どもたちも実験器具を触って、ラーバと呼ばれるホタテの赤ちゃんを観察したりと、普段見ることができない世界に驚いていました。

ホタテ残渣のゆくえ

2日目は、ホタテの身以外の部分、貝殻や養殖かごに付着している異物、いわゆる残渣(ざんさ)のゆくえを調査しました。

残渣は焼却処分や埋め立てが追い付かず、悪臭を放つため問題になっています。その厄介な残渣を再利用する取り組みがあることを知り、2つの施設を調査しました。

最初に伺った株式会社山神の残渣保管所では、自社で養殖したホタテから発生した貝殻が山積みになっており、その多さに唖然としていました。山神の本社では、先程見たホタテの貝殻が洗剤やマニキュアなど想像もつかない商品に変わっていることを知り、子どもたちも驚きを隠せません。実際にマニキュアを体験しましたが、発色もよく一般的なマニキュアと全く遜色がありませんでした。

質疑応答の時間では、他にも加工できるものがないか子どもたちに考えてもらったところ、カメのエサや食器など柔軟な発想で様々なアイデアが飛び出しました。

午後は残渣のもう一つの活用方法として、蓬田村ホタテガイ養殖残渣堆肥化処理施設を見学しました。

この施設では従来の堆肥に細かく砕いた残渣を混ぜ合わせて発酵させることで、悪臭のする残渣を分解し、

最終的には臭いのほとんどしない堆肥に加工しています。

施設ではちょうど砕いた残渣と堆肥を混ぜ合わせて発酵させている最中を見学したため臭いがしましたが、子どもたちはこの2日間で学びが深まり、重要性を理解しながら興味をもって見学しました。

陸奥湾ホタテをこれから先も残していきたい! 2日間の学びをイラストにして商品化!

2日間のイベントでは、子どもたちが大好きな陸奥湾ホタテの生態を学びましたが、高水温問題で稚貝が死滅したり、残渣の処理が追い付いていないという危機に直面していることに気づきました。しかし、山神や蓬田村ホタテガイ養殖残渣堆肥化処理施設を見学することで、大量に発生して厄介者扱いされていた残渣も資源として活用する方法があることも知りました。

ホタテは資源であることを学んだので、たくさんの人に陸奥湾ホタテに興味を持ってもらいたいという気持ちから、イベントの集大成として一人ひとりがイラストを描きました。

なんとこのイラスト、ホタテの貝殻をリサイクルして製造したチョークのパッケージに採用されるとあって、皆真剣なまなざしで描きます。

子どもたちのイラストがパッケージになったチョークは、今年9月頃に青森県内全域の5・6年生のクラスにプレゼントされる予定です。見た人が陸奥湾ホタテについて興味を持つこと間違いなしの力作揃いです!

参加した子ども・保護者からの声

Q.満足した点について

A.全部満足したが、その中でホタテの貝殻の場所へ行ってホタテの殻をどのように処理するか生で見ることができたり、普段絶対見られない所を見ることができたりしたことと、船に乗ってホタテのさばき方や網を引き上げて出荷前の生のホタテを見れたり食べたりしたこと、ホタテの赤ちゃんを顕微鏡で見たり、ホタテの殻ので作ったネイルがとても綺麗でもらえたことも嬉しかった。

ホタテの殻が様々なものにリサイクルできることがわかって良かった。(参加者)

Q.特に印象に残ったこと

A.ホタテを捌いたこととホタテの殻で出来たきれいなネイルを塗ったこと。

ホタテを捌いたことがなかったのでスーパーでも殻付きのホタテを買ってお母さんと一緒に捌きたいと思った。ホタテの殻がこんなに役に立ってこんなにきれいな物になることに感動したので、皆に広めたいと思った。(参加者)

子供が参加したことで知れたことがあった。

身近な海を守っていくために「ごみをポイ捨てしない」「落ちてるごみを放置しない」など自分が気づける範囲で行なっていきたいと思った。(保護者)

飲食店を経営していてホタテ料理も出しているが、養殖から残渣処理までの流れはぼんやりとしか知らなかった。自分たちもホタテ産業の中にいるんだなという意識が出たのは今までになかったことです。(保護者)

行く前は不安がっていた子供が帰ってきてから「ずっごく楽しかった!」と今まで見たことがないほど興奮していた。(保護者)

子どもが、帰宅後に今回学んだことを自主的に一人で勉強ノートへまとめていました。

ホタテの貝殻の活用法について皆で話し合ったのが楽しかったと振り返っていました。

子どもの視点でのアイデアは、自分には考えつかないものだったので驚きました。(保護者)

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:20人