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「サバ」をテーマにした体験学習型プログラム房総の海洋環境を学ぶ【千葉の海っ子調査隊】を開催しました!

一般社団法人海と日本プロジェクトin千葉県は、2023年8月19日(土)、20日(日)、26日(土)に千葉県内の小学生20名を集め、「千葉の海っ子調査隊」を結成し、サバ及び房総の海を徹底調査しました。

2023.09.06

一般社団法人海と日本プロジェクトin千葉県は、2023年8月19日(土)、20日(日)、26日(土)に千葉県内の小学生20名を集め、「千葉の海っ子調査隊」を結成し、サバ及び房総の海を徹底調査しました。本調査は、房総の海の現状や課題、海の変化に伴うサバへの影響、海のお仕事をする漁師の生活、海を守る取り組みを学ぶほか、サバ節の削り体験やサバをさばく体験など、「サバ」をテーマにした体験型学習プログラムです。また、体験後には体験したことを新聞記事にまとめると共に、サバ節商品のオリジナルデザインを制作しました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
「千葉県房総半島」南部に位置する「館山市」。館山は、34.3キロの海岸線を持ち、マリンスポーツや夏の海水浴の適地として、さらには、サンゴやウミホタルの生息域として、多様性に満ちた貴重な海洋資源を有する「海のまち」です。温暖な気候に恵まれた館山に棲んでいる多種多様な魚を学びながら、全国有数の水揚げ高となっているサバに焦点を当てます。近年は海水温の上昇・黒潮の大蛇行等の要因により、水温が例年より2度以上高くなり、2022年は前年のサバ漁獲量の約3割となりました。現在、千葉の海で何が起きているのか。そこに住む人々やお魚にどんな及ぼしているのか。豊かな海を守る取り組みにも触れながら、房総の海を調査します。
日程
2023年8月19日(土)、20日(日)、26日(土)  計3日間
開催場所
千葉市、館山市
参加人数
千葉県内の小学生20名
協力団体
千葉県水産総合研究センター、株式会社東光、吉田商店、やまと丸漁業、千葉県下水道公社、NPO法人たてやま海辺の鑑定団、千葉日報、千葉大学 デザイン文化計画研究室

千葉県でサバの漁獲量が減少!?房総の海で何が起きているのか学ぼう

初日は館山中央公民館にて、近年の房総の海の変化について学びました。2017年の黒潮大蛇行の発生以来、冬の水温定低下が遅かったり、低下しづらい状況にあります。その影響で、東京湾のノリの養殖では、ノリが成長しづらくなったり、ノリを食べるクロダイが増えるなどの状況にあり、これまで黒潮にのってやってきていた生き物が房総半島の海でも冬を越せるようになり、いつもは獲れない時期の魚が多く獲れ、時期はずれの魚たちが増えてきました。その反面、岸近くが温暖になり、元々多く獲れたサバやサンマが近寄れなくなり、漁獲量が激減していることを学習しました。

子どもたちは水温の変化が魚の生態系にどう影響するか等、積極的に挙手して考えを発表していました。

サバをさばく!?海のごちそうを味わおう

館山中央公民館の調理室では調理専門スタッフによるサバのさばき方のレクチャーを受け、実際に子どもたちでサバをさばいてみました。サバを三枚おろしにした後は、館山の伝統料理である「さんが焼き」に調理して味わいました。初めて魚をさばくという子が多くいましたが、スタッフのサポートもあり全員が三枚おろしを達成出来ました。

サバをさばいて調理した子どもたちからは、「家でも魚をさばいてみたい」、「これからはなるべく食べ残しを出さないようにする」との感想がありました。

サバ節を削ろう!

サバ・カツオ節の加工業者「吉田商店」に場所を移し、千葉の名物水産加工物であるサバ節の削り体験を行いました。すべて手作業で江戸時代から続く伝統のサバ節作りとして、燻製している工程などを見学しました。サバ節作りでは最初に切り落とす頭や内臓、節にする際に出る骨なども全て飼料になるため、捨てるところが一切ありません。資源を無駄にせず、海の恵みをすべて活用している点を学びました。

子どもたちはサバ節体験を通じて地元千葉県で身近なサバに対して、親近感を高めている様子でした。

サバ漁師の話を聞いて、海のお仕事を学ぼう

2日目は館山市の渚の博物館で、毎日漁を行い海と向き合ってる漁師から海のお仕事の話や、サバを獲る漁法「定置網漁」の仕組みについて聞きました。栄養豊富な館山沖では一年中、色々な魚がよく獲れます。そんな館山の漁港で行われている代表的な漁法が、魚の通り道に網を仕掛けて、網に入ってきた魚を獲る「定置網漁」です。定置網漁は、魚を傷つけないようにしたり、網の目より小さい魚を獲らないようにするなどの工夫で他の漁法と比べて海に与える影響が少ないと言われていることを学びました。

子どもたちは定置網漁の仕組みや、朝が早く、その日の水揚げ量により変化する漁師さんの生活に驚き、漁師さんのお話に真剣に耳を傾けていました。

水質浄化実験!汚れた水を綺麗にしてみよう

続いて、渚の博物館では水質浄化実験を行いました。生活排水などの汚水がどのように浄化され海や河川が保全されているのか学ぶため、汚れた水を生成して、ろ過や凝集剤を使用することで綺麗にする実験です。濁った水がろ過や凝集剤の使用など工程を経るにつれて段々透き通っていく様子に驚きつつも、実験後の水をパックテストしてみると、まだ魚が住める水質ではないことが分かり、汚れた水を浄化するには大変な時間と労力が必要となることを学びました。

子どもたちからは「海にごみを捨てないようにする」、「生活排水を減らしたい」との声が上がりました。

海を守る取り組みを学習しよう

渚の博物館では海を守る取り組みとして、アマモ場の再生事業を学びました。アマモ場とは波の静かな内海・内湾域の砂泥域に繁茂する海草であるアマモやコアマモ等から構成される藻場のことです。魚やエビ、カニなどの産卵場所や子どもの魚の隠れ場、餌場となるが、それがなくなることで魚が減ってしまいます。アマモには光合成により水質を守ったり海水温の上昇を防ぐ機能もあります。館山湾の沖ノ島では大きな台風による砂の海への流出や、魚による食害、磯焼けなどが原因でアマモ場が減っています。アマモ場を守る、育てることが魚の獲れる豊かな海を作り、地球温暖化の防止に大きく貢献することを学びました。

子どもたちからは、「海を守るために自分でも出来る取り組みを考えたい」との声が上がりました。

シュノーケリング体験で海を守る取り組みを知る!

館山湾の沖ノ島でシュノーケリングをし、直前に講義で学んだアマモを自分たちの目で見て、海を守る取り組みを体験しました。実際にアマモ場や海の生き物を見て、海の色や温度を感じた子どもたちは、海への親近感をより強めていました。

子どもたちからは「実際に海でアマモ場を見たことで、講義を聞いた時よりもっとアマモ場を守らないといけないと思った」、「色々な魚がいることを知ることが出来て面白かった」との感想がありました。

体験したことを記事にしてみよう!

3日目は千葉テレビ本社で、今回の体験プログラムで学んだことを班ごとにテーマを設定し新聞記事にしました。まず千葉日報の記者に記事作成のコツやレイアウト、写真の選び方などを学びました。そのあとに「房総の海の変化」、「海を守る取り組み」など班ごとのテーマに対し、これまでの学習を振り返り、班員同士で意見を交わしながら記事や見出しを作成し、発表しました。今回作成した記事はタブロイド記事として千葉日報に掲載する予定です。

子どもたちからは、「勉強したことを文章にまとめるのは大変だったけど、記事として新聞に載るのは嬉しい」との感想がありました。

サバ節のオリジナルデザインを制作しよう!

新聞記事にまとめた後は、千葉県内の道の駅や「千葉湊大漁まつり」などのイベントで販売予定のサバ節商品のパッケージデザインを作成しました。これまでサバの漁獲量にも関わる房総の海の変化を学んだり、自身でサバをさばいたり、サバ節削りをしてきました。これらの体験で今まで以上にサバに親近感を持った子どもたちは、デザイン作りにも真剣に取り組みました。

子どもたちからは「サバの特徴を捉えたデザインが作れた」、「自分の作ったデザインが商品になるのが楽しみ」との感想がありました。

参加した子ども・保護者からの声

・サバをさばいたりシュノーケリングをしたり、海や魚を知るための色んな体験が出来て楽しかった。

・これからも家で魚をさばいたり、ごみを減らしたり、海のためになることをしたいと思いました。

・イベント参加後に子どもが今回学んだことを家でたくさん話してくれました。学びが多く、楽しいイベントだったようで、参加させてよかったと思いました。

 

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:20人