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「海苔」と「カキ」をテーマにした体験型学習プログラム「千葉の海っ子調査隊!」を開催しました!

一般社団法人海と日本プロジェクトin千葉県は、2024年8月17日(土)、18日(日)、24日(土)に千葉県内の小学生19名を集め、「千葉の海っ子調査隊」を結成し、千葉県の海苔養殖とカキ養殖について調査し学習するイベントを開催しました。

2024.09.09

一般社団法人海と日本プロジェクトin千葉県は、2024年8月17日(土)、18日(日)、24日(土)に千葉県内の小学生19名を集め、「千葉の海っ子調査隊」を結成し、千葉県の海苔養殖とカキ養殖について調査し学習するイベントを開催しました。当プログラムは、千葉の海洋環境の変化とそれに伴う漁業の変化について、海苔つけ体験やカキ養殖の見学、水質浄化実験、アマモ場観察&メガサップ体験などを通して学ぶ、体験型学習プログラムです。また、体験後には体験したことを新聞記事にまとめると共に、当プログラムのテーマである「海苔」や「カキ」を使ったオリジナルコラボメニューを考案しました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
千葉県は伝統の海苔養殖が盛んですが、現在は海水温の上昇や食害の影響などで海苔の生産量が減少してきています。苦境に立つ千葉の漁師と豊かな海を守るため、新たにカキ養殖が始まりました。そうして養殖されたカキは「江戸前オイスター」として県のブランド水産物として認定され、全国にも広まりつつあります。このような事例を通して、海洋環境の変化に対して千葉の漁業はどう変わっていっているかを学びます。また、アマモの生息地の観測などを通して、子どもたちが「海の豊かさを守る重要性」を自分ごととして認識し、海の課題を解決するために自分たちに何が出来るか考える力を養います。
日程
2024年8月17日(土)~18日(日)1泊2日、24日(土) 計3日間
開催場所
富津市・君津市・千葉市
参加人数
千葉県内の小学生5・6年生 19名
協力団体
君津市漁業資料館、千葉県水産総合研究センター、新富津漁業協同組合、富津市富津公民館、千葉県下水道公社、富津漁業協同組合、静かな海辺のSUP家さん kūpono、千葉日報社、すしめん処 大京

東京湾の海洋変化について学ぼう!

初日のスタートは、君津市漁業資料館にて、東京湾の海洋変化について学びました。

東京湾では、200年以上に渡り海苔養殖が盛んです。海苔の生育には、適度の海面の昇降と、遠浅で波静かな海面、栄養豊かな川が注ぎ込む河口の汽水域が適しているため、「江戸前」と呼ばれる東京湾は、海苔養殖には最適です。東京湾の海苔は、「色よし・味よし・香りよし」と言われるほど品質が高く、「江戸前海苔」と呼ばれています。そのような長い歴史がある千葉の海苔漁業ですが、近年は地球温暖化による海水面の上昇や、鳥や魚の食害などで不作が続いており、この20年間の生産量は、4分の1も減少しています。また、海苔漁師の数も、この10年間で3分の1まで減少しています。

座学の後は資料館を回り、千葉の海苔漁業の歴史や昔の海苔漁業に使用していた道具などを見学しました。

子どもたちは、「地球温暖化防止のために、二酸化炭素を出さないように、自転車や徒歩、公共交通機関を使って移動するようにする」「海苔を買い続け、最後まで食べ切ることが私たちにできることだと思う」など自分たちに何ができるかを考えました。

昔ながらの海苔つけ体験!

「海苔つけ」はかつて行われていた方法で、水に浮かんでいる生海苔を板海苔に加工する作業です。均等な厚みに仕上げるのが難しいので、子どもたちは先生のレクチャーを受けながら、初めての体験に苦戦しつつも、出来上がった板海苔に満足した表情を見せていました。美味しい海苔を作るためには手間と時間が掛かることを知った子どもたちからは、地元の伝統的な海産物である海苔について、「これからは感謝しながらいただくようにする」「買ったら最後まで食べきるようにしたい」という感想が出ました。

江戸前オイスターってなんだろう?

1日目の午後は、新富津漁業協同組合で、「江戸前オイスター」について学びました。

海水温の上昇や食害の影響などで海苔の生産量が減少してきている中で、苦境に立つ漁師と豊かな海を守るため、新富津漁業協同組合では、新たにカキの養殖を始めました。

講義では、カキの養殖を始めた背景、江戸前オイスターの養殖方法とその特徴などを説明してもらいました。

台風一過の好天にも恵まれたので、漁船に乗って実際の養殖現場を見せてもらったり、カキを洗浄・殺菌処理する過程を見学させてもらいました。

実際に養殖現場を見学した子どもたちからは、「養殖のカゴについてしまってカキの成長の妨げになるフジツボを、何かに活用できないか考えたい」と、課題解決に向き合う姿勢が見られました。

水質浄化実験!汚れた水をきれいにしてみよう!

2日目は富津市富津公民館にて、水質浄化実験を行いました。

水質浄化実験は、生活排水などの汚水がどのように浄化され、海や河川が保全されているのか学ぶため、汚れた水を生成して、ろ過や凝集剤を使用することで綺麗にする実験です。濁った水がろ過や凝集剤の使用など工程を経るにつれて段々と透き通っていく様子に驚きつつも、実験後の水をパックテストしてみると、まだ魚が住める水質ではないことが分かり、汚れた水を浄化するには大変な時間と労力が必要となることを学びました。

子どもたちは、「汚すのは簡単だけど、きれいにするのは大変だということがわかった」「私たちの暮らしと海の環境を守るために、油や調理くずを排水口に流さないようにしたり、洗剤を使い過ぎないようにするなど、水道水をきれいに保っていくことが大切だと思った」と、自分たちの生活が海や河川に影響を与えていることを実感したようでした。

海を守るために出来ることを考えよう!

水質浄化実験に続き、東京湾の環境と漁業、アマモ場の役割についての講義を受けました。

東京湾に水が流れ込む範囲についてや、東京湾の栄養・透明度・水温の変化、東京湾の漁業など、クイズを交えて学習しました。

また、「海のゆりかご」と呼ばれるアマモ場には、稚魚の隠れ場や魚の産卵場として海の生態系を守る機能や、光合成を行い水質を守る機能、二酸化炭素を取り込んで海水温の上昇を防ぐ機能があることを学びました。

子どもたちからは、「自分たちが住んでいる千葉県にある東京湾を守るために、自分たちに出来ることを考えていきたい」などの感想が出ました。

アマモ場観察&メガサップ体験!

2日目の午後は、富津海岸に移動して、8人乗りのメガサップに乗って、沖に出てアマモ場を観察しました。

残念ながら直前の台風7号の影響で、海の中に生えているアマモは見ることはできませんでしたが、海面に浮いているアマモを見つけ、手に取り、かじってみると、アマモの名前の由来となっている”甘さ”を実感できました。直前に講義で学んだアマモや海の生き物を実際に見て海の色や温度を感じた子どもたちは、海への親近感をより強めていました。

メガサップの先生から出されたアマモの知識についてのクイズには、午前中に教えてもらったアマモの役割やアマモの長い別名(リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ)も答えられていて、学習した内容をしっかりとインプットできている様子でした。

体験したことをまとめて新聞記事にしよう!

3日目はチバテレ本社で、今回の体験プログラムで学んだことを、班ごとにテーマを設定し、新聞記事にしました。

まず千葉日報の記者に記事作成のコツやレイアウト、写真の選び方などを学びました。その後は、班ごとに与えられたテーマに対し、これまでの学習を振り返り、班員同士で意見を交わしながら記事や見出しを作成し、各班ともパートごとに役割分担をして発表しました。今回作成した記事は、タブロイド記事として、後日、千葉日報に掲載され、多くの人に千葉の海の魅力や現状を発信する予定です。

オリジナルコラボメニューを開発しよう!

新聞記事にまとめた後は、今回の学びのテーマである「海苔」や「カキ」を使ったオリジナルメニューのアイデアを考えました。

千葉県内にチェーン展開している和食レストラン「すしめん処 大京」のみなさんにアドバイスをいただきながら、思い思いのオリジナルメニューを考えました。中には考えたメニューを実際に自宅で調理し、写真に撮ってきた子もいました。全員のメニューが揃ったところで、千葉の海っ子調査隊としての”推しメニュー”をみんなの投票で決めました。完成度の高いメニューばかりで一つに絞るのは難しい様子でしたが、最終的には3つのメニューが最多得票を獲得しました。

”推しメニュー”に限らず、今回考案された全てのメニューは、「すしめん処 大京」で試作し、今後実際にメニュー化される予定です。

参加した子ども・保護者からの声

参加した子どもたちからは、

・海についてよく知らなかったので、知識を深めることができてよかった。
・メガサップや水質浄化実験など、楽しめる体験が多くて満足した。
・船に乗ってカキの養殖を見たのが楽しかった。
・講義の内容がわかりやすかった。
・普段できないことができて楽しかった。

などの声がありました。また、今後の海との関わり方については、

・ちょっとでも地球に恩返しがしたい。
・海の環境問題を世界に発信していきたい。
・海苔が好きだから、これからも食べられるように考えたい。
・海の課題を知ったので、海のことをもっと知りたい。
・海の環境についてさらに詳しく学び、自分ごととして捉えていきたい。
・海の温暖化を止めたい。

などの声がありました。また、保護者からは、

・1泊2日の合宿形式で内容も濃く、子どもが興味を持つイベントだった。
・少し時間をおいて振り返りの新聞作成・メニュー考案という形で日程的にもバランスが良かった。
・短い期間だったが、体験と共に身についた知識があるように感じる。
・ただ海に行って遊ぶだけではなく、いろいろなことを教えていただき、たくさん勉強になった。
・気候変動により、身近な地域の海にも変化があり、漁業にも影響が出ていることを知り、家庭から出る水をできるだけ汚さないように私も気を付けようと思った。
・これから海にさらに関心を持ち、知るように努め、できることをしてきたい。
・子どもが学んできたということで、大人もお手本にしなければいけないと思う。
・子どもが今回教わったことを教えてもらい、一緒に会話しながら意識するきっかけになった。

などの声がありました。

 

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:19人