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和歌山の小学生が海の現状や生態系を考え感じるイベント「紀南の海が未来を変える〜わかやま海守り隊2024~」を開催しました!

一般社団法人海と日本プロジェクトin和歌山県は、次世代を担う子ども達に「和歌山の海」の美しさや海を守ることの大切さを再認識してもらうことを目的に、9月21日(土)~9月22日(日)の2日間、和歌山県串本町で体験型学習イベント「紀南の海が未来を変える~わかやま海守り隊2024~」を開催しました。

2024.10.03

一般社団法人海と日本プロジェクトin和歌山県(テレビ和歌山内)は、次世代を担う子ども達に「和歌山の海」の美しさや海を守ることの大切さを再認識してもらうことを目的に、9月21日(土)~9月22日(日)の2日間、和歌山県串本町で体験型学習イベント「紀南の海が未来を変える~わかやま海守り隊2024~」を開催しました。

参加者は和歌山県内の小学校5・6年生19名で、子ども達は「わかやま海守り隊」として、1日目は和歌山県(串本町)の海が抱える危機や持続的な水産資源確保の課題について、近畿大学水産研究所大島実験場で「サンゴの保全活動や県の水産業の現状、水産資源を守る一つの方法である養殖業の課題や役割」を学びました。その後、串本港内にある「クロマグロの養殖生簀」で見学・餌やり体験、潮岬青少年の家で「串本の海水から塩づくり」を実体験して、海の恵みの大切さを学習しました。2日目は串本海中公園での「ケンケン量の漁具(ルアー)づくり体験」、串本海中公園でのバックヤード体験・海中展望塔見学で、近海の生き物に実際に触れて観察を行い、串本の海の生き物の特徴や生態系のバランスについて学び、串本の海で起こっている危機について学習しました。そして、最後にこのイベントを通して、感じたことや学んだことから、これから海のために自分たちには何ができるのかをチームで話し合い、海を守るための宣言に仕上げました。

このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

開催概要
和歌山県内の小学校5・6年生20名を「わかやま海守り隊」に任命。2日間のイベントを通して、子どもたちが和歌山の海を守り、海の大切さを未来に伝えるのに必要なことを学び、感じたことをチームで話し合い、海を守るための宣言で表現する体験型学習イベント。
開催日程
2024年9月21日(土)~22日(日)1泊2日
開催場所
串本町(串本海中公園・近畿大学水産研究所大島実験場・潮岬青少年の家・串本港)
参加人数
和歌山県内の小学校5・6年生19名
協力団体
近畿大学水産研究所大島実験場/南紀串本観光協会/潮岬青少年の家/串本海中公園

串本には2つの海がある⁉海で起こっている危機や課題について、サンゴの保全活動・最新の養殖技術・和歌山県の水産業の現状を学習。

はじめに、南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長より串本の海について、説明を受けました。串本の海は温帯域にありながら海の中は亜熱帯の海になっていること、黒潮の影響で串本の海は潮岬を挟んで東西で海の中の温度や生き物に違いがあること、西の海(串本~白浜)は暖かな黒潮の影響でサンゴが群生し、東の海はやや冷たい海であるため海藻が茂っていることなどを学習しました。海の中が熱くなりすぎると、サンゴも死んでしまい、海藻も取れなくなってしまうという地元の海の課題を聞いた子ども達は、串本の海の現状を真剣に受け止めていたのが印象的でした。宇井事務局長は子ども達に「この素晴らしい海を守るために、海のことをもっと知ってもらい、もっと海で遊んで欲しい」と話しました。

続いて、近畿大学水産研究所の升間主計所長から、和歌山県の水産業の現状や持続的な水産資源を確保するための1つの方法である養殖業の大切さを教えていただきました。升間所長は、水産資源は環境バランスの良い海で適切な漁獲量を守っていれば再生産が可能な資源だが、近年は水温や海流の変化など環境の悪化により魚の数が減り漁獲量が消費量を下回っており、その不足した分を補うために増殖技術や最先端な養殖技術を研究し、天然の水産資源に依存しない完全養殖に力を入れていると話します。中でもクロマグロの完全養殖は難しく、マグロは稲光でパニックを起こしてしまったり、台風の影響で海の中が濁ってしまうと、生け簀の網に体をぶつけてしまったりして死んでしまうことがあるそうです。

その後、実際に養殖生け簀を見学し、餌やりを体験しました。子ども達からは「クロマグロを完全養殖するにあたって、苦労したことは?」、「クロマグロが成長するのに大切なことは?」などの質問が出て、養殖の仕事について興味を持って学ぶ姿勢が見られました。升間所長のお話や養殖生け簀見学、また水産研究所が現在取り組んでいることの一つ「アイゴの廃棄野菜を餌にした養殖」の意義などのお話を通して、「なぜ、海を汚してはいけないのか?」、「なぜ、養殖が研究されているのか?」を知り、子ども達一人ひとりに何ができるのかを考えるきっかけになりました。

しょっぱい⁉辛い⁉まろやか⁉串本の海水を使った塩づくり体験!実体験することで海の恵みのありがたさを感じる。

宿泊先でもある潮岬青少年の家で後藤歩指導員より串本の海水から塩づくりの指導を受けて体験しました。2人1組の班に分かれて、海水(500cc)をろ過して、小さな海藻・マイクロプラスチックといったごみ等を取り除く→煮詰める→再度ろ過→フライパンで更に煮詰める→塩とにがりに分ける→乾かすといった工程で塩(約12g)に仕上げていきます。子ども達のほとんどが塩づくりは初めての体験で、目を輝かせながら取り組んでいる姿が印象的でした。出来上がった塩の味見をして、「辛い」、「まろやか」など各々の感想を述べていました。中には他の班が作った塩と自分たちが作った塩の味を比べ、「こっちの塩は味が尖っている」といった大人顔負けの食レポをする子どももいました。

こうして作られた海の恵みである塩が自分たちの生活をどう支えているのか、例えば、「海と日本プロジェクトin和歌山県」とのコラボ商品である梅干し(カツオ・昆布)の製造にも塩が欠かせないこと、食品以外でも工業の分野ではアルミ製品や石鹸やパルプの製造に欠かせないことなどを学習しました。後藤指導員は「みんなとても上手に出来ました。食卓に並んでいる塩がこうやって何段階もの工程を経て苦労して作られているのだということ、塩づくりには新鮮できれいな海水が必要であることを覚えていてください」と締めくくりました。子ども達も塩づくりからきれいな海を守ることの大切さを感じていたようでした。

紀南地方で行われているケンケン漁の漁具(ルアー)づくり体験を通じて、串本の漁業や海の課題について考える。

和歌山県串本地方には1500~2000もの多種多様の魚が住んでおり、沿岸地域は日本初の海中公園になっています。その地で行われている「ケンケン漁」の漁具作り体験を南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長の指導のもと、ケンケン漁の歴史や現状の漁獲高が減少し漁業者が減少している現状を学習したうえで体験しました。ケンケン漁は「土佐の一本釣り」の漁師が1本の竿で次々と釣り上げる豪快な漁法とは違い、小型漁船を走らせながら長い竿の先についた擬餌針で1本づつ釣り上げる漁法で魚に傷がつきにくいのが特徴です。狙う魚にマグロ・ブリ・カジキなどがあり、種類によって漁具(ルアー)があることを学習し、今回は、串本がカツオの町でもあることからカツオ用の漁具作りを体験しました。子ども達は、各自オリジナルな漁具を作りストラップにしていきます。胴体を作る作業に悪戦苦闘しながらも完成した時の笑顔が印象的でした。

最後に宇井事務局長は子ども達に向けて、「魚はとても温度の変化に弱い生き物であり、1℃や2℃の差で死んでしまう。みんなが大人になった時も美しい海であるために何ができるかを考えてほしい」と語ります。子ども達からは、「ケンケン漁でいろんな魚が獲れることが分かった」、「串本の海を守るためごみを出さない」などの感想が挙がっており、海を身近に感じ、海の未来について考えるきっかけとなりました。

うみがめの赤ちゃんに触れてみた!串本海中公園でバックヤードツアー!串本の海の中は生き物でいっぱいだった!

串本の海に住んでいる生き物の展示にこだわった串本海中公園で森美枝館長から串本の海の特徴やそこに住む生き物について教えていただきました。黒潮の影響を受けている串本の海は、抜群の透明度と冬でも15℃を下回ることがない温かい水温を誇り、そこでは、色とりどりの熱帯魚や世界の北限と言われる本州最大のテーブルサンゴの群落など美しい海中景観が1年中楽しめます。そんな串本の海を再現した水族館や水深6mの自然の海の中を観察できる海中展望塔を見学し、子ども達は食い入るように生き物を観察していました。中でも、水族館でのサンゴの飼育年数日本一を誇る「ウミバラ」の大きさにはとても驚いていました。

バックヤードツアーではムラサキヒトデ・マンジュウヒトデといった近海の生き物のほか、ウミガメの赤ちゃんに直接触れて、生態や飼育状況について学習しました。子ども達は「ウミガメはどのくらい生きるのか?」、「ウミガメは何を食べるのか?」など、積極的に質問していました。森館長は「串本の海は世界的に見ても珍しい、生き物がたくさんいる海。串本海中公園では50年もの間、海の中を見続けてきたが、その間にも水温の上昇、熱帯の生き物の増加、サンゴの減少などといったことが起こっている。これからもずっと、海の中を見続けていかなければならない。みんなも海の中に入ってみて、どこか変化している所はないだろうかと考えていって欲しい」と話しました。子ども達も実際に生き物を見て触れて、こんなにたくさんの生き物がいる豊かな海を大切にしていかなければと改めて感じてくれました。

「和歌山の海を守る!」子ども達の想いを込めた【宣言】を作成。JR和歌山駅などに掲出して拡散していく予定。

2日間を通して、子ども達1人ひとりが学んだこと・感じたことをもとに自分たちはこれから海のために何ができるのだろうかということをグループのみんなで話し合い、1つの「宣言」を作成し、みんなの前で発表しました。「ごみを減らすだけでなく再利用することが大切」、「きれいな海を守るために、山・川をきれいに!限られた資源を守る!」、「生き物が豊かな海を残すため電気を使いすぎて海水の温度上げない」、といった3つのグループそれぞれ、想いがこもった「宣言」が出来上がりました。2日間で勉強したことや体験したことを、自分が和歌山の海を守っていくという想いに変えて、他の参加者と共有することで、海を守っていくことの大切さを改めて考える機会となりました。

なお、今回、子ども達が発表した「宣言」を一枚にまとめたポスターを作成し、JR和歌山駅、串本駅に掲出、わかやま新報・紀伊民報へ掲載されるほか、推進パートナーとのコラボ商品(梅干し)等で活用し、拡散していきます。

参加した子ども・保護者からの声

・海の大切さを友達にも伝えたい。
・サンゴの種類が変わってきていることに驚いた
・今の和歌山の漁業の現状を知れて良かった。
・たくさんの「人生初」のことがあって、楽しかった。
・クロマグロの養殖生け簀を見れて良かった。
・海水から塩が出来るのに驚いた。
・漁師になって和歌山の海を守る。
・子どもにとって非常に素晴らしい経験をさせることが出来感謝です。(保護者)
・SNSで模様がわかって安心した。(保護者)

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:19人