「意外に知らないイカのはなし」に山口県内小学生が釘付け『ぶち海体験隊Ⅲ イカす海を未来に!(DAY1)』を開催
海と日本プロジェクトinやまぐち実行委員会は、県内の小学5・6年生20人と「ぶち海体験隊」を結成し、特産のケンサキイカを通して海の現状を学び、海の未来を考えることを目的に、イベント「ぶち海体験隊Ⅲ イカす海を未来に!」(DAY1)を7月3日(日)に開催いたしました。
2022.07.12
海と日本プロジェクトinやまぐち実行委員会は、県内の小学5・6年生20人と「ぶち海体験隊」を結成し、特産のケンサキイカを通して海の現状を学び、海の未来を考えることを目的に、イベント「ぶち海体験隊Ⅲ イカす海を未来に!」(DAY1)を7月3日(日)に開催いたしました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
※ぶち海とは 海の中でもとてもきれいで豊かな海のことを指す。「very」を表す山口弁「ぶち」を元にした造語。ぶち海体験隊は、一昨年度の下関市、昨年度の大島郡周防大島町の体験学習に続き3度目の開催です。
開催概要
講義聴講、クルージング・踏査、調理・実食
日程
2022年7月3日(日)9:00~17:00
開催場所
山口県萩市 萩・明倫学舎および須佐地区
参加人数
山口県内の小学5・6年生 20名
「意外に知らないイカのはなし」を通してイカに関する見識を深める子どもたち
山口県内各地から萩市・明倫学舎に集結した小学5・6年生20名は、ここで「ぶち海体験隊」を結成。
まずは水産大学校・若林敏江教授から、今年のテーマのひとつであるイカについて身体の構造やとれる時期などを学びました。イカの種類は実は450~500種類もいること、日頃私達が食べているイカは、世界中から来たものであること、イカは寿命が1年であることなど、小学生の子どもたちは初めて知ることがいっぱい。隊員たちは若林教授のお話を聞きながら、それぞれが熱心にメモを取っていました。隊員たちからは「人間と同じくらいの大きさのイカがいるなんてびっくりした」「イカの吸盤には歯があることは知らなかった。知らないことがたくさんあった」といった声が聞かれ、日頃食卓にのぼるイカの生体がより身近に感じられたようでした。
イカ釣り漁船でクルージング&ホルンフェルスを踏査
イカのことを学んだ体験隊は、場所を移動して、イカが住む萩地区の海に向かいました。須佐湾に降り立った体験隊は、二手に分かれ、陸からと海の上からそれぞれ海岸を観察します。須佐湾は、北長門国定公園の北側に位置し、断崖・奇岩などが点在しています。イカ釣り漁船に乗ったチームは、約1億年前の火山活動でできた「屏風岩」や「ホルンフェルス」を見学。隊員たちは、普段見ることのできない場所から見る自然の造形美に感嘆の声を上げていました。
また、マグマが冷えて固まった部分は海の中にも繋がっていて、海底部分は魚介類の住処や産卵場所となり、山口県萩市の特産品・ケンサキイカの好漁場となっていることを教えてもらいました。
一方、陸上からのチームは、海底からくっきりと浮かび上がる白と黒の縞模様を間近で観察しました。
この地形は約1400万年前から、海底に堆積した砂と泥が地震や洪水、台風などの振動で海底地すべりを起こし、粒の大きな砂が先に、小さな泥が後から沈むという現象が繰り返されてできた何層もの縞模様の地層が海底火山の活動により地表に現れたもの。隊員たちは実際に地層を触り、「こっちはザラザラ、こっちはつるつるだー」と言いながら、白と黒の地質の違いを体験しました。
海と陸から同じ地形を見て、萩の地形が約1億年の時間をかけて作られたかけがえのないものであることを実感したぶち海体験隊の隊員たち。「この海がいつまでもあればいいなと思う」「マグマがあるところに魚とか海の生物がいることをもっと勉強したい」と、それぞれが見たり触ったりして得た実体験を元に、きれいな海を未来に引き継いでいかなければならないという思いを強めたようです。
イカ漁を知り、自分の手でイカをさばいてみる子どもたち
火山活動によって出来た萩の海が、とても豊かな海だと理解した体験隊。次に学ぶのは豊かな海が恵んでくれるもののうち、当地の特産となっているケンサキイカ。体験場所を山口県漁協須佐支店に移し、ケンサキイカについてより深く学びました。
まずは須佐一本釣漁船の佐々木寛船団長から、イカの漁法や、平成18年に商標登録した「須佐男命(みこと)いか」誕生までのお話を聞いた後、大きないけすに移動。
いけすに泳ぐたくさんのイカを目の前で観察し、特別に生きているイカを触らせていただきました。最初は戸惑っていましたが徐々に慣れてきたのか「ヌルヌルする―」と言いながらも触れる隊員も多くいました。
観察の後は、いよいよイカをさばきます。漁協女性部の皆さんの手ほどきを受け、隊員は1人につきイカ1杯をさばいていきます。イカをさばくのが初めての隊員が殆ど。ヌルヌルするイカと格闘し、何とかみんなさばききりました。
そのさばいたイカはどうなるかというと…隊員たちのお昼ご飯になりました!
昼食は、漁協女性部特製地元食材尽くしのお弁当と、自分たちでさばいたイカの刺身。イカと格闘して少し遅くなった昼食時間でしたが、「美味しい!自分がさばいたイカの刺身だと思うともっと美味しい!!」「きれいな海だから魚もおいしいんだと思う」といった感想が聞かれました。
今日の活動を終えた隊員からは「イカを次世代に繋ぐためには、環境問題とかもあるけど、ポイ捨てを無くして(海を)守っていくことが大切と思いました」といった意見を聞くことが出来、見て、聞いて、触って、自分の五感を通して感じた海の豊かさと地元の美しい海を未来に引き継ぐ大切さを実感する体験ができたようです。
今後も商品化企画や県知事訪問などイベント盛り沢山!
次回(7月29日)は、実際に海に入って海藻や藻場の観察、イカを使用した”イカすお取り寄せ”製作に向けてのワークショップ、手作り新聞の作成、そして「うみぽす」の製作を行う予定です。更に8月以降でオンラインによる学びの共有を行い、体験隊で得た体験の成果を手に県知事に報告訪問、”イカすお取り寄せ案”をもとに地元の業者による商品化、読売新聞タブロイド判特別号を発行し、県内の小学5・6年生全員に配布する予定です。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:20人