小学生が森と里と海、そして人との繋がりを紐解く!【西日本最高峰・石鎚から始まる森里海大冒険!瀬戸内海編】を開催しました!
一般社団法人海と日本プロジェクトinえひめは、2023年7月27日(木)、28(金)に、石鎚山系を起点とした森・里・海と人との繋がりを紐解き、瀬戸内海の未来を考えることを目的として、愛媛県西条市をフィールドに「西日本最高峰・石鎚から始まる森里海大冒険!~瀬戸内海編~」を開催いたしました。
2023.08.22
一般社団法人海と日本プロジェクトinえひめは、2023年7月27日(木)、28(金)に、石鎚山系を起点とした森・里・海と人との繋がりを紐解き、瀬戸内海の未来を考えることを目的として、愛媛県西条市をフィールドに「西日本最高峰・石鎚から始まる森里海大冒険!~瀬戸内海編~」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
西日本最高峰・石鎚から始まる森里海大冒険~瀬戸内海編~
日程
2023年7月27日(木)、28(金)
開催場所
愛媛県西条市各所
参加人数
小学5・6年生 19名
後援
愛媛県、愛媛県教育委員会、西条市、西条市教育委員会
協力
NPO法人西条自然学校、SAIJO OUTDOOR SERVICE、愛媛県立西条農業高等学校、愛媛県漁業協同組合西条支所、ソラヤマいしづち
【森の学習】石鎚山系を散策し森と海の繋がりについて学ぶ!
森里海を巡る大冒険は石鎚山系の森林学習からスタートしました。まずは石鎚ロープウェイに乗車し山頂成就駅へ。NPO法人西条自然学校の山本貴仁理事長を講師に迎え、標高約1,400mの涼しい山の中を歩きながら森の役割や森と海の繋がりを学びました。海に流れている水の始まりは山に降った雨で、森があることで雨を受け止めて土壌の中をゆっくりと流れることで山の養分が混じり合い栄養豊かな水が生まれることや、また愛媛県の山林には保水率の高い自然林が人工林と比べて少ない現状が森の課題であることを知りました。参加者は実際に苔についている水滴を見て、「この水滴が始まりになりやがて川になっていくのが素敵」と、山と海の繋がりを学びました。
下山した後は、石鎚山系に源流がある加茂川中流域でSUP体験を行いました。西条アウトドアサービス インストラクターの上田公彦さんを講師に迎え、それぞれの川の水温や透明度、川に生息する生物を観察しながら、森の栄養分を海に届ける川の役割について理解を深めました。子供たちは初心者とは思えないほど上達が早く、10分もするとしっかり乗りこなしていました。水面をスイスイ進むSUPに子どもたちからは満足そうな笑顔が見られました。
【里の学習】農業と環境について学ぶ! 西条市ならではの”うちぬき”について知る!
西条農業高校食農科学課の生徒さんを講師に迎え、石鎚山系の中腹、加茂川の中流域の耕作放棄地を利用した農園で、里山の機能について学びました。青パパイヤの生育には加茂川の河川水を活用しており、子どもたちは青パパイヤの葉を摘み、パパイヤ茶を試飲しました。パパイヤの葉は苦く、「葉は苦いけど、お茶にすると美味しい!」と、鳥獣害・害虫を寄せ付けないという特徴を体感し、農業と自然環境との共生について考えました。
また、西条市ならではの”うちぬき”についても学習しました。西条市にはパイプを地面に打ち込むだけで地下水が湧き出る”うちぬき”という全国でも稀な自噴地帯が広がっていることを学び、隣が海でも、湧き出ている水は真水であることに皆びっくり!水環境が豊かな一方で、森の人工林による水の吸い上げや農業用水、工業用水の利用が過多になると「うちぬき」の噴出量が減ってしまう状況が起こり得ることを学び、西条市特有の水環境について、講師の先生にたくさんの質問をしていました。
【海の学習】全国有数の面積を誇る加茂川河口干潟で生物調査!
NPO法人西条自然学校 光澤 安衣子さんを講師に迎え、加茂川河口干潟の生物調査を行いました。潮汐と川の流れの影響を受け、海からのプランクトンや河川からの栄養塩、有機物などが混ざり合うフィールドであることや、また1日のうち干出する時間があるなど干潟の特徴を押さえてから生物調査を開始。干潟でしか見られない貴重な生物など、多様な種類の生物を観察しました。調査に夢中になるあまり、干潟で泥まみれになりながら、海の環境にとっても重要な干潟の役割を学びました。
また、愛媛県漁業協同組合西条支所 杉本 真吾さんからは、瀬戸内海の貧栄養化が進む現状を学びました。貧栄養化が進むその原因は様々ありますが、その原因一つとして上げられるのが陸域からの栄養供給が減少していることです。初日の森林学習で学んだ「愛媛県には保水率の高い自然林が人工林と比較して少ないこと」と瀬戸内海の課題が繋がり、森里海の繋がりについての理解をさらに深めることができました!
【まとめ学習】2日間の学びを「森里海マップ」で表現!
2日間のまとめとして、森・里・海それぞれの学びとそれがどう海の豊かさと繋がるのかを表現する「森里海マップ」の作成を行いました。各班ごとにマップに落とし込み、発表することで、この2日間で体験したこと、学んだこと、感じたことを整理しました。
今回開催した「瀬戸内海編」に続いて、8月19日(土)・20日(日)には、石鎚山系から太平洋側の繋がりを学ぶイベントを仁淀川流域で開催します。また、9月10日(土)には瀬戸内海編・太平洋編の計40名が集まる交流学習会を開催し、お互いが学んだことを発表し合い瀬戸内海側と太平洋側の違いを学び、企業と連携し西条市で獲れた海苔のパッケージデザインの開発を行う予定です。
参加した子ども・保護者からの声
【参加者の感想】
・水の循環について、理科や社会ではただ単にサイクルを学んだけど、この2日間で実際に森・里・海を全て体験することで理解を深めることが出来た。森に降った一滴の雨が、山の栄養を含み河川を通って海に流れ出ることを身をもって感じた。
・干潟は海でも川でもない独特な場所で、そこにしか生息できない生物がたくさんいることが分かった。海の豊かさに繋がる干潟の環境を大切にしたい。絶滅危惧種のハクセンシオマネキも観察出来たことが嬉しかった。
・生物にあまり関心がなかったが、干潟の学習を通して「トビハゼ」が好きになった!
・西条市内で見られる「うちぬき」は水の環境が豊かである象徴だけど、将来もずっと使えるように森の手入れをしたり、使い過ぎないように「里」に暮らす人間がバランスを取ることが重要だと初めて知った。
【保護者の感想】
・家に帰ってからも子どもからの話が止まらず、他では出来ない貴重な体験が出来たことに感謝しています。
・森、里、海を2日間かけて学ぶ機会は普段は体験できない内容で、それぞれの繋がりと人との関わり方を学ぶ貴重な機会になりました。参加させて頂きありがとうございました。
・目には見えにくいそれぞれの繋がりを広い視点で学ぶ機会を作って頂きありがとうございました。子どもから色々と教えてもらいましたが、知らないことばかりでした。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:19人