高知の宝、『土佐節』から海の課題を学ぶ!黒潮冒険団2022 高知の海から生まれる「おいしい!」~高知の海を学び隊!守り隊!~を開催しました!
海と日本プロジェクトin高知県実行委員会は、12月3日(土)・4日(日)に黒潮冒険団2022「高知の海から生まれる「おいしい!」~高知の海を学び隊!守り隊!~」を開催いたしました。
2022.12.16
海と日本プロジェクトin高知県実行委員会は、12月3日(土)・4日(日)に黒潮冒険団2022「高知の海から生まれる「おいしい!」~高知の海を学び隊!守り隊!~」を開催いたしました。
テーマは、「海を守ることは、自分たちの高知の宝を守る」こと。高知の海と食を未来へ繋げていくために、自分にできることは何か?高知の宝である「土佐節」に興味を持つことで、そこから見える海の課題を自分ごと化し、さらにはその課題解決に向けた意識を高めるため「周囲の人に海の課題に興味を持ってもらうにはどうすればいいか」を考えました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
かつて日本中を席巻した高知生まれのカツオ節「土佐節」をフックに、カツオの漁獲量減少など、高知の海の課題を2日間にわたって学ぶイベント。
日程
2022年12月3日(土)・12月4日(日)
開催場所
高知県土佐市宇佐町
参加人数
高知県内の小学5・6年生10人(男子4人・女子6人)
協力団体
土佐市教育委員会、NPO法人黒潮実感センター、高知県漁協協同組合宇佐統括支所、竹内商店、上岡企画編集室
高知の海の生態系が生んだ土佐節!
江戸時代にカツオ漁で栄えた土佐市宇佐町。この地で生まれた「土佐節」は、カビ付けと呼ばれるあえてカビをつけて作ることで、カツオ節の風味や保存期間を大幅に増加させました。児童たちは、この高知が誇る「土佐節」の歴史を学んだあと、実際に自分で「土佐節」を削って食べました。カツオ節はパック詰めの物しか見たことなかった児童たちにとって初めての体験で、最初はなかなかうまく削れませんでしたが、生産者の方のサポートもあり、だんだんスムーズに削れるようになっていました。炊きたてのご飯に乗せて食べると各テーブルから「おいしい!」「めっちゃうまい!」と歓声が上がりました。今まで知らなかった「土佐節」という高知の宝を児童たちは知ることができました。
土佐節づくりをのぞいてみよう!
「土佐節」の歴史と魅力を知った後は、実際に「土佐節」を作っている竹内商店さんを訪れました。そこで児童たちは実際の工場で、生切り⇒煮熟⇒骨抜き⇒焙乾⇒表面削り⇒カビ付け⇒天日干しと、様々な行程を経てカツオ節が完成していくことを学びました。特に、カビ付けと天日干しを繰り返す本枯節は、6か月以上かかることを知り、児童たちはその大変さに驚いていました。それは、土佐節発祥の時から長年大切に受け継がれてきた高知生まれの技術があります。一方、かつてはカツオ節の町として知られた土佐市宇佐町ですが、今カビ付けを行う本枯節を作っているのは高知県内でもこの竹内商店さんだけです。後継者不足やカツオの漁獲量の減少など、要因は様々ですが、カツオの県として知られる高知のカツオ文化が存続の危機にあることは間違いありません。
県魚カツオについての課題を学ぶ
「土佐節」の原料であるカツオ。高知県民はカツオのたたきを始め、カツオに関わる食文化が多く受け継がれていて、消費量も断トツの日本一であることは児童たちもイベント前から知っていました。しかし、そのカツオの漁獲量は年々減少していて、講師を務めていただいたカツオの専門家・受田浩之さん(高知大学副学長)によると、信号で言えば黄色から赤色といった段階のようです。 その主な要因は、世界的な和食ブームなどによりカツオの需要が増えたことから、カツオの主な生息地・南太平洋で小さい魚も一気に取ってしまうまき網による乱獲が増え、日本の沿岸までやってくるカツオが減っていると言われています。一方で南太平洋の国々にとってカツオ漁は生命線のため、簡単に獲るなとも言えない、非常に難しい国際的な問題ということがわかりました。
多くの人が興味を持つような『土佐節料理』を考えよう!
様々な課題があることを知った児童たち。その課題を自分たちだけでなく、周囲の人たちそして高知県の人たちに知ってほしいと考えるようになりました。その方法の1つとして、まずは「土佐節を食べてもらってそのおいしさを知ってもらうこと」が重要だという結論に至りました。ここからは料理研究家の方にも協力してもらって、多くの人が興味を持つような『土佐節料理』を考えることになりました。まずは、実際に存在するカツオ節料理を実食してみます。カツオ節ソフトクリームや、カツオ節フライドポテトなどを食べてヒントを探しました。カツオ節はうま味が強い食べ物なので意外と組み合わせやすいこともわかりました。児童たちからは餃子やケーキなど自由な組み合わせが次々と提案されました。最終的にはこの候補たちから料理研究家の方がレシピ化し、特設WEBページで公開され、多くの人に「土佐節」のおいしさと、高知の海が抱える課題を発信する予定です。
漁港でカツオの水揚げや一本釣り漁船を見てみよう!
最後に訪れたのは宇佐漁港です。こちらではかつて30隻以上のカツオ漁船が稼働していましたが、現在は3隻のみ。要因は午前中の授業で学んだ、乱獲や海水温・海流の変化による漁獲量の減少だけでなく、人口減少などによる後継者不足の影響も大きいと、漁協の方が児童たちに教えてくれました。それでも高知の漁師さんたちは、1本釣りや引き縄という環境にやさしい、稚魚などを根こそぎ獲ることのない漁法を使って、高知の魚を大切に守り続けています。実際に水揚げされる現場に立ち会った児童たちは、その様子を見ながら、あらためてカツオを普通に食べられていることが決して当たり前ではないこと、これまで以上に大切に食べなくてはならないことを実感していました。
参加した子どもからの声
・カツオ節も高知が一番食べていると思ったけど、1位は沖縄で高知は19位で驚いた。(小5・男子)
・もっと日ごろから、土佐節を食べようと思った。(小6・男子)
・自分なりの土佐節レシピを開発して家族と作ったり、周りの人に食べてもらいたい。(小6・女子)
・宇佐は地元なので、観光客に土佐節を食べてもらえる仕組みを作りたい。(小6・女子)
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:10人