小学生が自然豊かな柏島の海でサンゴについて学び、その保護に向けた取り組みを考える体験学習「それゆけ★サンゴレンジャー」開催しました!
一般社団法人海と日本プロジェクト in高知 は、7月24日(月)・25日(火)に「それゆけ★サンゴレンジャー ~サンゴはじまりの地・大月町でサンゴを学ぶ~」を開催いたしました。
2023.08.07
一般社団法人海と日本プロジェクト in高知 は、7月24日(月)・25日(火)に「それゆけ★サンゴレンジャー ~サンゴはじまりの地・大月町でサンゴを学ぶ~」を開催いたしました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
高知県の沖合には、世界最大の暖流「黒潮」が流れ、高水温、高塩分、貧栄養な海水は、造礁サンゴの成育に適しています。特に、高知県南西部の海域には140種近い造礁サンゴ類が成育し、サンゴ礁性の生物が織りなす美しい海中景観が広がっています。
しかし近年、気候変動の影響で、そのサンゴの「白化現象」が起きています。夏の高水温による白化現象は全国の海で起きていることですが、高知県内では、黒潮の蛇行と低水温による冬の白化も確認されています。この2回の白化現象は高知県独自のもので、その白化現象は海の異常事態を知らせてくれる「指標」でもあるため、海で遊ぶことが少なくなった子どもたちに、様々な海での体験を通じて、「今、高知の海で起きている変化」を実感し、未来の海を守り育てるために何をするべきかを学んでもらいました。
日時 |
2023年7月24日(月)・25日(火) |
会場 |
大月町柏島 |
参加人数 |
県内の小学5年生・6年生19人 |
協力団体 |
NPO法人 黒潮実感センター あにめのいろは 国際海洋環境情報センター(GODAC) |
地球温暖化やサンゴの白化現象について学ぶ
1日目、柏島に到着した子どもたちはまず、地元でサンゴや海藻などの保護活動に取り組むNPO法人黒潮実感センターの神田優さんからお話を聞きました。
日本有数の魚種の多様性を誇る、自然豊かな大月町柏島ですが、サンゴが白くなって死滅する恐れが高くなる「白化現象」が確認されています。この白化現象は、地球温暖化の気候変動による海水温の上昇のほか、急激な淡水の流入といった水質の変化が原因といわれています。海の生き物の約25%はサンゴ礁を棲み家にしていて、サンゴの白化、さらには死滅が進んでしまうと、そこで暮らす海洋生物の多くが失われる可能性があります。こうした海の環境の変化について、子どもたちは熱心に耳を傾けていました。
また、テレビ高知で夕方放送中のニュース番組「からふる」に出演中の東杜和(ひがし・とわ)気象予報士が、子どもたちに地球温暖化の現状や気候変動と海の関係について、特別授業を行いました。
「人間の活動が温暖化に密接に関わっていること」「これ以上温暖化を進行させないために、私たちができることは何か」などについて、子どもたちは熱心にメモをとりながら、学びを深めていました。
大月町柏島の海で海中パトロール
柏島の海の現状について話を聞いた後、子どもたちはシュノーケリングを体験。サンゴ礁や海の生き物を観察しました。昼だけでなく、夜の海にも繰り出し、夜に活動が活発になる生き物についても学びを深めました。初めて、サンゴや海の生き物に触れたという子どもたちもいて、大月町の海の豊かな環境を肌で感じたようでした。
沖縄の国際海洋環境情報センターとつなぎ、沖縄の海についても学ぶ
2日目は、沖縄の国際海洋環境情報センター(GODAC)とオンラインでつなぎ、沖縄の海で起きている環境の変化について学びを深めました。沖縄の海では、世界の約800種類のサンゴのうち、300種類以上のサンゴが確認されていて、高知にはない「サンゴ礁」が多く見られます。ただ、沖縄本島は南北に細長く狭いため、川の長さが短く、急勾配になっていることから、大雨などで大地が削られた赤土が浄化される間もなく、海に流出し、海洋汚染につながっています。また、近年二酸化炭素が海水に溶け込み、酸性化が深刻化しているそうです。
オンラインでの講義を通じて、子どもたちは、高知と沖縄の海には違いはあるものの、環境の変化による問題を同じように抱えていて、対策が必要だということを学んでいました。
サンゴを守るために自分にできることはなんだろう?
シュノーケリングや夜の生き物観察など、柏島の豊かな海でのさまざまな体験を通じて、これからの日本の未来を担う小学生たちに、「今、高知の海で起きている変化」を実感し、美しい海を守るために何をするべきかを学び、考えてもらった2日間。自分の五感で感じた海の美しさや大切さを学習シートにまとめ、発表し合うことによって自らの考えを共有し合い、さらに学びを深めることができました。
後日、「高知の海」をテーマにパッケージデザインを製作し、見た目ががサンゴの枝に似ていることから、黄金色の芋けんぴにいちごチョコをコーティングして「コーラルピンクの芋けんぴ」を県内老舗菓子店(予定)と連携して開発予定です。
イベントの最後には、参加者一人一人に「高知サンゴレンジャー」認定証が手渡されました。
参加した子どもの声
子どもたちからは、「大月町の海に入って、自然の豊かさを学んだ」「自分たちの生活が海の環境の変化、さらには地球温暖化につながっていることを学んだ」「ごみを出さない、節電・節水を心がけるなど、日頃からできることをやっていきたい」という意見や感想が出されていました。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:19人