子どもたちのアイデアで海の未来を守れ! 小学生が鹿児島の「錦江湾」の水産資源と環境の変化を学ぶ 「われはうみの子探検隊」を開催しました!
一般社団法人海と日本PROJECT in 鹿児島は、2024年8月24日(土)と25(日)の2日間に小学4・5・6年生20名を対象として、鹿児島県垂水市・鹿児島市にて錦江湾の水産資源と環境の変化について、マリンアクティビティや食の体験を通じて学ぶことを目的としたイベント「われはうみの子探検隊~錦江湾の宝物を守れ!」を開催いたしました。
2024.09.10
一般社団法人海と日本PROJECT in 鹿児島は、2024年8月24日(土)と25(日)の2日間に小学4・5・6年生20名を対象として、鹿児島県垂水市・鹿児島市にて錦江湾の水産資源と環境の変化について、マリンアクティビティや食の体験を通じて学ぶことを目的としたイベント「われはうみの子探検隊~錦江湾の宝物を守れ!」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
錦江湾は、中央に活火山の桜島がある鹿児島のシンボルで、内湾に関わらず水深230mの深海湾で世界的にも珍しく、その特徴から水産資源が豊かです。イケスは深い水深帯に設置することができ、カンパチの養殖が日本屈指、また、深海魚が種類多く豊富に獲れます。
しかし、課題は多く、深海魚は水揚げしても儲からないため、未利用魚として海上廃棄され、また、内湾であるがゆえに、生活排水が流れ込み、水質の悪化を招き、赤潮が発生、水産業に大きな被害を与えています。そこで今回、子どもたちが「錦江湾の水産資源を守る」をテーマとし、マリンアクティビティや食の体験を通じて、カンパチや深海魚、環境の変化と改善への取り組みを学び、深海魚を利用した商品開発を行い、海の未来を救う新商品の開発に繋げます。
日程
2024年8月24日(土)・25日(日
開催場所
鹿児島県垂水市・鹿児島市
参加人数
20名
協力団体
鹿児島大学水産学部、垂水漁協、マリンパークたるみず、鹿児島県漁連、Table of Smile
錦江湾の宝物 日本屈指のカンパチ養殖体験
1日目、垂水市の垂水漁港に向かいました。まずは、垂水漁協の川畑さんから日本屈指のカンパチ養殖について、歴史や工夫、そして温暖化による環境の悪化など、養殖の現状と課題を学びました。以前は水温が30度を越えることは年に数日程度だったのが、去年は40日程度になり、カンパチにストレスがかかったり、北上してきたサメが網を食い破るなどの被害が出ていたりするそうです。
講義のあと、餌を保存しているマイナス20度の冷凍庫を案内していただいた後は、錦江湾の養殖場の生け簀で餌やり体験を行いました。スコップで餌を投げ込むと、2000匹ものカンパチが一斉に餌を食べ、その姿に子どもたちは大興奮でした。また、生け簀に向かう最中に、イルカの群れが船を追走する一幕もあり、子どもたちの記憶に残る体験になりました。
錦江湾の食文化を知る!日本屈指のカンパチを堪能!
餌やり体験のあとは、漁協の方に朝獲れたカンパチの解体を目の前で見せていただき、獲れたて捌きたてのカンパチの刺身を味わいました。間近で見る解体は迫力満点で、あっという間に裁かれていく様子に子供たちは驚いていました。カンパチの刺身を食べたことが無い子はもちろん、食べたことがある子も、「歯ごたえが全然違う」「背中とお腹の部分で味が違った」と感激した声が聞こえ、たくさんあった刺身はすぐに無くなってしまいました。そのあと、漁港が運営する食堂「桜勘食堂」でカンパチの漬け丼を堪能しました。「脂の乗りが違う」「さっきの刺身とは違った美味しさがある」など、大人顔負けのコメントが出てきました。
昼食後は、鹿児島大学水産学部 鳥居教授の講義で、錦江湾が世界でも珍しい内湾で深海があるという地形的な特徴や、その錦江湾ならではの養殖に適した環境、深海魚も取れて魚種が豊富などの水産資源のこと、そして、環境悪化による獲れる魚種が変わって漁師が苦労していること、赤潮被害等で養殖に被害が出ていることなどを学びました 。子どもたちは、カンパチを含む錦江湾の水産資源を守るために自分ができることを考え、豊かな海を守りたいという気持ちを再確認しました。
SUPに乗って錦江湾のおだやかな海を体験!
午後からは道の駅たるみずはまびらの浜平海岸に移動、マリンパークたるみずの田屋敷代表や、SUP世界選手権に出場されたことのある芝原叶妃さんに乗り方を教わりました。天気も良く、波も穏やかな中、SUPとBIG SUPを体験しました。初めてSUPを体験する子が多かったですが、インストラクターの方々から乗り方のコツを教えてもらい、すぐに上手に乗りこなしていました。海流や水温の変化で藻場が減少していることも課題となっている錦江湾。SUP体験を通じて、錦江湾が内湾で波が穏やかなことを体感しつつ、海の上から見てみると藻場が少ないという現状を実際に確認してもらいました。子どもたちは、海の生態系に大きな影響を与える藻場の減少を目の当たりにし、豊かな海を守りたいという気持ちを再確認しました。
深海魚メニューの飲食店を開き、バズった大学生の深海魚メニューを堪能
夕ご飯ではホテルの食事のほかに、鹿児島大学水産学部の大学生でありながら、鹿児島市内に深海魚メニューの飲食店を開いた西海晴さんの深海魚メニュー、ユメカサゴとギンザメを使用した「深海魚餃子」が振舞われました。多めに作られていた餃子ですが、子どもたちのおかわりであっという間になくなり、「メチャメチャ美味しい、深海魚とは思えない」「餃子は大好きなので食べやすい」などの声が聞かれました。
その後、西さんの魚、深海魚好きになった経緯や、考え方、お店を運営するにあたっての苦労や楽しいことなどを語っていただき、子どもたちからも質問が多数あがり、「家族でお店に行きたい」と話す子どもたちがたくさんいました。物心ついた時から魚が大好きだったという西さんの話を聞き、子どもたちは魚の面白さ・魚を食べる楽しさを感じました。
海の未来を守る、深海魚を使ったオリジナル商品開発
2日目は鹿児島市の鹿児島中央魚類市場に移動し、鹿児島県漁業協同組合の宮内和一郎代表理事専務より鹿児島県内各地で水揚げされる魚類と、主に温暖化による影響などを学びました。子どもたちは、深海魚を使ったオリジナル商品の開発に向けて、錦江湾は静穏な水域を有するものの地理的特性により、他湾と比べ台風の影響を多く受け、海水が深層から表層に沸き上がり深海魚が打ち上げられることが多くあることを認識することができました。
その後、Table of Smileの杉水流直子代表より、まずは本物の深海魚を持ってきてもらいました。なかなか見ることのできない深海魚に、子どもたちは興味津々、次々と触り、実際に目で見て、触って、臭いを嗅いだりしました。グロテスクと言われる深海魚ですが、子どもたちからは「可愛い、かっこいい」「ぷにぷにして気持ちいい」など、ポジティブな意見が多く出てきました。
その後、魚を使った昼食づくりを行い、タイの手巻き寿司と、深海魚のみそ汁を作りました。深海魚のみそ汁に関しては、「味は良いけれど骨が多くて食べずらい」という声があり、深海魚を五感で体感しました。
その後、杉水流さんより、商品開発について、どう考えていくか、コツなどを学んだあとは、班に分かれて深海魚を使った商品開発のブレインストーミングを実施しました。
2日間で学んだ海の恵みや、自然の大切さについて、各班のメンバーで学びのノートを活用しながら、ディスカッションを行い、「深い海からこんにちは おかずパフェ」「シン・アイスクリーム」「深海魚に栄光あれ★進化づくしラーメンセット」など、子どもたちから様々な面白いアイデアがたくさん。杉水流さんは、子どもたちのアイデアを導き、様々な角度、目線から見ること、アイデア同士を合体させることなどをアドバイスをいただき、子どもたちも大変盛り上がりで商品開発アイデアを発表しました。
最後は、鹿児島水産大学鳥居教授より、2日間学んだことの振り返りと、これから錦江湾をはじめとした海を守っていくために、子どもたち自身でできることがあることに気づき、考えることができました。
参加した子ども・保護者からの声
・錦江湾にはカンパチや深海魚の他にもたくさんの魚がいて、とても美味しいことが分かった。この美味しい魚たちを将来も食べられるように、できることを頑張りたい。
・新しい商品を考えることは初めて、みんなと考えるのは楽しかった。他の班の発表もわくわくした。
・ほかの学校の子とも仲良くなれて楽しかった。もっと海に遊び行こうと思った。
・子どもが刺身を食べたことが無かったので、食べられるか不安だったが、おいしかったようで良かった。いろいろと好き嫌いせずに食べてくれるようになれば嬉しい。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:20人