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函館の中高生が磯での生き物観察と釣りで「近くて遠い海」にふれる1日かぎりの部活「はこだてOceans」を開催しました!

一般社団法人 Blue Commons Japanは、2023年8月3日(木)、函館市ならびに近郊の中学生と高校生を対象に、磯での生き物観察と釣り、海洋の専門家による講話を1日に凝縮して体験する海洋教育プログラム「はこだてOceans(オーシャンズ)」を開催いたしました。

2023.08.15

一般社団法人 Blue Commons Japanは、2023年8月3日(木)、函館市ならびに近郊の中学生と高校生を対象に、磯での生き物観察と釣り、海洋の専門家による講話を1日に凝縮して体験する海洋教育プログラム「はこだてOceans(オーシャンズ)」を開催いたしました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要 

日時

2023年8月3日(木)9:30~17:30

会場

住吉海岸(函館市住吉町)、緑の島(函館市大町)
函館市地域交流まちづくりセンター(函館市末広町4-19)

内容

1.はこだて磯活コレクション(10:00~10:45、住吉海岸)
潮だまりや岩の下にいる海の生き物観察とカニ釣り

2.はこだて釣活チャレンジ(13:10~14:20、緑の島)
釣り経験がある人とない人がチームを組み、協力し合って海釣りを体験

3.はこだて海活ワーク(15:30~16:40、函館市地域交流まちづくりセンター)
環境学博士の水井涼太さんから、海の魅力や課題について学ぶ講習

参加者

函館市と近郊在住の中学生・高校生計19人

講師

◎おさかな専門シンガーソングライター 齊藤いゆさん

函館の魚屋で働きながら魚の曲を歌い、魚介類と漁業の魅力、環境問題を伝える活動に取り組む「お魚博士」。未利用・低利用の地域資源を活用して新たな価値を生み出す団体「ローカルレボリューション」監事。海洋ごみアートデザイナー。

◎環境学博士 水井涼太さん

いつまでも美しく豊かな海と暮らしていける社会の構築を目指して活動するNPO法人ディスカバーブルー代表理事。海を活かした地域振興や海の環境保全・社会教育などに精力的に取り組む。横浜国立大学非常勤講師。総務省「地域力創造アドバイザー」。

「はこだてOceans」は、三方を海に囲まれていながら水族館や大きな海水浴場がなく、海に親しんだり海について学んだりする機会がごく限られている函館において、海を「自分ごと化」する若者を育成するための1日体験プログラムです。これまで当法人は、小学生を主対象とした講座を開き、さまざまな切り口から海に親しむ機会を提供してきましたが、今年度は函館エリアにおける「人と海との接点」をさらに広げるため、中高生を対象とした本プログラムを初めて企画・実施しました。

磯に入って生き物を観察「はこだて磯活コレクション」

朝、漁港近くの海に集合した中高生たち。顔合わせの最初に、最近海に行ったかを尋ねてみると、夏休み真っただ中にもかかわらず「この夏海に行った」と答えたのは数人。「3年以内に海に行った人」と尋ねてみても、手が上がったのは参加者の半数程度。函館で暮らす子どもたちにとって、身近なはずの海が意外と遠い存在であることが浮き彫りになりました。

その原因のひとつは、安全に遊べる海水浴場が函館市内にほとんどないこと。そこで今回は特別に許可を得て、磯場と砂浜が隣り合う函館市の住吉海岸に足まで入り、磯遊びと磯の生き物観察を行いました。

班に分かれ、思い思いに海の中をのぞき込んだり、石をひっくり返したりしながら磯の生き物探索を始めた中高生たち。まず驚いたのは、磯場を歩く小さいヤドカリの数の多さ。足首を覆うか覆わないか程度の浅瀬にもたくさんの小魚が泳いでいることも実感しました。徐々に目が慣れてくると、磯に住んでいるさまざまな生き物の姿がはっきりと見えてくるようになります。鋭い目つきでカニがいそうな場所を見極め、右手と左手で同時に別のカニを捕まえる「カニ専門ハンター」と化した子もいました。岩のすき間でひっそり育っていたカメノテを見つけて観察したり、石にぴったりと貼り付いているヒザラガイを手ではがして「取れたー!」と歓声を上げたり、それぞれに興味のあることを見つけながら磯観察を満喫しました。

ひと通り磯観察したところでいったん集合し、魚と海の生き物に詳しい「おさかな専門シンガーソングライター」の齊藤いゆさんに、集めた海の生き物を実際に掲げながら、その名前や生態を解説していただきました。北海道では食材として身近で、お祭りでは焼き貝としてよく販売されている巻貝「青つぶ」の正式名称が「ヒメエゾボラ」であること。「ヒメ」は小さいという意味で、単に「エゾボラ」と言えば刺身用として流通している「真つぶ」を指すこと。青つぶや真つぶを食べる際は、テトラミンという毒素を含む唾液腺を取り除くことなど、海の生き物に関する意外と知らない情報が次々に飛び出し、中高生たちも身を乗り出しながら耳を傾けていました。

函館湾の人工島で釣り糸を垂れる「はこだて釣活チャレンジ」

昼食後、函館湾に浮かぶ人工島「緑の島」へ移動。ここは2013年と2018年に5万人規模のライブが開催されたこともある広々とした空間。橋で陸地とつながっており、普段は市民が芝生の広場で体を動かしたり、散歩したりしている憩いの場です。湾内を回遊する魚たちをねらえる絶好の釣り場としても人気があります。今回はこの「緑の島」を会場に、海釣りを体験しました。

参加者のうち半数が「釣り経験なし」とのことで、参加者を5グループに分け、釣りに慣れている5人に各グループのリーダーになってもらいました。グループごとに竿を2本持ち、1本はアジやイワシ・サバが釣れる「サビキ釣り」、もう1本はカレイやアイナメなどの海底近くにいる魚が釣れる「遊動式仕掛けの釣り」を体験することに。釣り具のテスターを務める腕前を持つ齊藤いゆさんから「釣ろうとする魚の生態を考え、魚へのおもてなしの気持ちを持って準備する」「あせらず、落ち着いて行動することが結果的に釣果を多くする」など釣りの心得を学び、さっそく湾内に向かって釣り糸を垂れました。すると、次の瞬間に早くも竿に手ごたえが。

どうやらこの日はマイワシの群れが函館湾を回遊していたようで、サビキ仕掛けを海に入れると瞬く間に2~3匹が針にかかる「爆釣」が続きました。次々に釣れるため参加者も大忙しで、各グループのリーダーが文字通りリーダーシップを発揮。釣り経験のない参加者に竿の持ち方を教えたり、釣り針から魚を外したりと大活躍してくれました。

この日のマイワシはサイズが比較的大きく、20センチを超えるものも。ほかに、マサバやマフグなどが釣れました。ここで、釣れた魚の特徴や生態について、再び齊藤いゆさんが解説。「青魚の背が青くて腹が銀色なのはなぜか」など意外と知らない魚の謎についても教えてもらい、魚をより身近に感じることができました。

海の魅力や課題について学ぶ「はこだて海活ワーク」

磯での生き物観察で実際に海に入り、海釣りでは直接入れない深さにいる魚たちと糸を介して向き合った中高生たち。さらに深く海について知るため、海を活かした地域振興や海の環境保全・社会教育などに精力的に取り組む環境学博士、水井涼太さんによるリモート講義に耳を傾けました。

美しく豊かな海と暮らしていける社会の構築を目指して活動するNPO法人ディスカバーブルーの代表理事も務める水井さん。海の多様性は、植物プランクトン、動物プランクトン、小魚、大型の魚という食物連鎖で成り立っており、さらには森林から川を通って海に流れ込む栄養素が重要な役割を果たしていること。海洋ごみが世界中で深刻な状態にあること。地球温暖化の影響で日本近海の様子が変わりつつあることなど、海の豊かさと課題、あきらめずに一歩ずつ解決に向けて取り組むことの大切さなどについて話しました。

紙にびっしりメモを取り、真剣な面持ちで聞いていた子どもたち。海で一日遊んだからこそ、「海を大切にしよう」との思いが強く刻まれた様子でした。

一日かけて海に親しんだ中高生19人による「わたしの海宣言」

朝から夕方まで一日かけて海を体験し、海について学んだ19人の中高生。最後に、この日の経験や気づき、海に対して思ったことなどを1枚の紙にまとめ、「わたしの海宣言」として発表してもらいました。

「普段の生活の中からプラスチックを減らしてみる」「ごみは持ち帰る」「砂浜はごみが多いので、ごみ拾いなどの活動に積極的に参加する」「食べられる魚を増やしていきたい」「磯での生き物探しと釣りで、待つことの大切さを学んだので、どんな時でもじっと待つようにしたい」など、素敵な「海宣言」の数々に、互いに拍手を送り合いました。

参加した中学生・高校生からの声

「海をどう扱うかによって、海以外の環境や地球全体が大きく変化してしまうことを知った」
「海の素晴らしさや、人と協力することの大切さを学んだ」
「こんなにやさしい先生たちはいないと思った。楽しかった」
「魚を釣って自分たちで調理して食べるイベントがあったら参加したい」
「環境を守るには大きすぎる目標を立てるのではなく、小さい目標を立てて実行していくことが大切だと学びました」
「一つ一つにたくさん内容が詰まっていて、学校ではできないこと、スマホでは分からないことがたくさんできた」
「中高生向けのイベントは少なく、小学生が含まれると参加しにくいので、今後もあればぜひ参加したい」

 

イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています

参加人数:19人