昆布日本一のまち・函館で、昆布に一番詳しい小学生になろう「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催しました!
⼀般社団法⼈ Blue Commons Japanは、2023年9月3日に、子どもたちが海について学び、海の未来を考えることを目的に、「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催いたしました。
2023.09.11
⼀般社団法⼈ Blue Commons Japanは、2023年9月3日に、子どもたちが海について学び、海の未来を考えることを目的に、「子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん」を開催いたしました。当日は、専門家による昆布についての講義、生の昆布に触る体験などを行い、ホテルのシェフが作った特製ランチで海藻料理を味わいました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して⼈と⼈とがつながる“⽇本財団「海と⽇本プロジェクト」”の⼀環として実施されました。
イベント名称
子ども海そうアカデミー 目指せ!コンブの博士ちゃん
開催概要
地元特産の海藻を通じて子どもたちに海の学びを提供する連続講座(全3回)の2回目
日程
2023年9月3日(日)
開催場所
函館朝市ひろば(北海道函館市若松町9-22)
講師
布村重樹さん(海藻活用研究会事務局長)
岡田暁さん(グラフィックデザイナー)、
佐々木康弘(Blue Commons Japan)
協力団体・企業
海藻活用研究会、函館国際ホテル
スタッフによる昆布概論
1日かけて昆布について学び、「コンブの博士ちゃん」を目指そうという今回の講座。最初に、前回からの宿題としていた「スーパーや自宅の台所で見つけた海藻」と「前回の講座から今日までの間に食べた、海藻が入った料理」を子どもたちに発表してもらいました。「見つけた海藻」としては、食卓でも身近なワカメや昆布、ヒジキ、モズク、メカブなどの名前が挙がりました。
「海藻が入った料理」としては、ワカメの味噌汁、海藻サラダ、ヒジキの炒め物、ところてんなど、バラエティに富んだ料理名が次々に飛び出しました。
続いて当法人スタッフの佐々木康弘が、今回の講座のテーマである昆布の「意外と知らない豆知識」を紹介しました。海藻は日本近海だけで2,000種類以上あると言われていること、その中で食用にされているものはごくわずかで、昆布はその代表格であること、函館は昆布の生産量日本一(※)であることなどを子どもたちに伝えました。さらに、北海道の昆布は1200年前の奈良時代から朝廷に献上されていたこと、江戸時代には北前船で本州に送られ、特に北陸地方と京都・大阪の人々がだし用・食用として好んでいた歴史などを説明しました。北海道でとれるだし用昆布は、産地とその特徴によって「真昆布・利尻昆布・羅臼昆布・日高昆布」の4種類に分かれていることにも触れました。子どもたちは、メモを取ったり講師からのクイズに答えたりしながら、興味深そうに耳を傾けていました。
(※)北海道水産統計(2021年実績)より
函館朝市ミニ水族館で昆布が育つ様子を学び、老舗昆布店で豊富な昆布製品を見学
函館が昆布生産量日本一であることを学んだ子どもたち。しかし、実はそのうち天然昆布はごくわずかで、総生産量の9割以上を占める養殖昆布が函館の昆布産業を支えています。そこで、昆布の養殖を身近に感じてもらうため、当法人が函館朝市「えきに市場」内に開設している「函館朝市ミニ水族館」に移動し、「種苗を植え付けたロープを海中に沈める」という昆布養殖をミニサイズで再現した水槽を見学しました。昆布といえば岩に生えているイメージを持っていた子どもたちにとって、ロープから昆布が伸びている光景は驚きだった様子。真横からも上からも水槽をのぞき込み、細部まで観察していました。
続いて、函館朝市ミニ水族館の水槽のすぐ隣にある老舗「梶原昆布店」を訪問。函館産の真昆布を筆頭に4種類のだし用昆布が店頭に並んでいること、昆布がさまざまな加工品に形を変えて販売されていることを確認し、昆布が幅広い用途で活用されていることを実感しました。
昆布に触れて感触を確かめ、函館が昆布生産量日本一である理由を知る
函館朝市での昆布のミニ養殖と老舗昆布店の見学を終えた子どもたち。今度は、海の中での昆布の姿をリアルに感じてもらうため、昆布の収穫期に採集して冷凍保存していた生の真昆布とガゴメ昆布を触ってみる「昆布のタッチプール」を体験しました。真昆布のずっしりした重さと厚み、表面のつるつるした感触と、ガゴメ昆布のねばねばした表面の感触を両手で触って確かめた子どもたち。ガゴメ昆布のねばねば成分をスライムのように伸ばして楽しむ子や、「肌に良い成分が含まれている」と聞いて手の甲や腕に塗り始める子もいました。
続いて、海藻の有効活用や産業化を推進する産学官連携団体「海藻活用研究会」事務局長の布村重樹さんが登壇。函館近海は千島列島沿いに南下する寒流(親潮)と日本海側を流れる暖流(対馬海流)とがぶつかり合う栄養豊富な海域であり、昔から昆布が良く育つことや、魚の繁殖にも適していることなどを紹介しました。さらに、函館の昆布産業を支える養殖昆布の漁と加工の様子や、函館産の真昆布が大手外食チェーンでも活用されていることなどについて、動画を交えながら子どもたちに話していただきました。
昆布尽くしのスペシャルランチで昆布のうまみと多彩な活用法に触れる
この日のお昼ごはんは、函館国際ホテルの総料理長を務める木村史能シェフがこの講座のために特別に考案し、すべて自ら調理した「海藻スペシャルランチボックス」。駒ケ岳ポークの真昆布入り特製酢豚、海老と真昆布のチリソース、真昆布とたまふくら大豆の炊き込みご飯、函館産ガゴメ昆布入り中華スープなど、ほぼすべての料理に真昆布またはガゴメ昆布を使った全10品目の豪華なお弁当を作っていただきました。
それぞれの料理に昆布がどのように使われているかを木村シェフにお話しいただいてから、みんなで「いただきます!」とあいさつ。本格的な中国料理を楽しみながら、昆布の多彩な利用法を実感しました。
あまりのおいしさに箸が止まらず、当初は静寂に包まれた教室。やがて、「おいしいおいしい」「昆布のスープお代わりしたい」など、喜びの声が子どもたちから上がりました。
函館真昆布について「伝えたいこと」をキャッチコピーと絵でポスターに
見て、聞いて、触って、においをかぎ、舌で味わい、五感を活用して昆布について学んだ子どもたち。講座の締めくくりは、函館特産の真昆布をPRするポスター作り。函館の観光ポスターや函館市電のラッピング車両、商品パッケージなど幅広い分野で活躍するグラフィックデザイナーの岡田暁さんが講師を務めました。
最初に「今日、函館真昆布について見聞きしたことの中で、誰かに伝えるとしたら何を伝えたいか、思いつくかぎり書き出してみよう」と呼び掛け、「その中で一番伝えたいこと」を子どもたち自身に選ばせた岡田さん。続いて、その「伝えたいこと=ポスターのコンセプト」を表現するキャッチコピーと、それをどんな絵で表現するかを岡田さんが子どもたち1人1人と相談しながら決めました。
コンセプトとその具体的な表現方法をしっかり決めたおかげで、実際に手を動かし始めると迷いなく描いていく子どもたち。函館近海に昆布が密集している北海道地図に「函館は昆布収穫量日本一」の文字、キラキラ輝く手の甲と昆布のねばりを表現した絵に「このネバネバはスベスベのもと」の文字など、さまざまな角度から函館の真昆布を紹介するポスターの原画がそろいました。
子どもたちが描いたイラストは、岡田さんが文字や背景などを足したり調整したりしてポスターに仕上げ、函館市主催の「函館真昆布展」(11月に函館蔦屋書店で開催予定)で展示します。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています