7組14名の親子が「トビイカ」の可能性を、さばいて食べて学ぶ!『日本さばける塾 in 沖縄県』を開催しました!
日本さばけるプロジェクト実行委員会は、”魚をさばく”という日本古来の調理技法を次の世代へ継承するとともに、豊かで健全な海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げる取り組み「日本さばける塾 in 沖縄県」を2月5日(日)に開催し、7組14名の親子が参加しました。
2023.02.14
日本さばけるプロジェクト実行委員会は、”魚をさばく”という日本古来の調理技法を次の世代へ継承するとともに、豊かで健全な海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げる取り組み「日本さばける塾 in 沖縄県」を2月5日(日)に開催し、7組14名の親子が参加しました。
このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
開催概要
”魚をさばく”という日本古来の調理技法を次の世代へ継承するとともに、豊かで健全な海を未来に引き継ぐアクションの輪を広げる取り組みとして、
①「トビイカ」の生態、漁の仕方について学ぶ
②トビイカをさばき、調理して実食
③低利用魚のトビイカを人気者にするには?参加者からのアイディアを募る
以上を実施致しました。
日程
2023年2月5日(日)10:30~14:00
イベント形態
オンライン(シャボン玉石けん くくる糸満(糸満市潮崎町)より配信)
参加人数
7組14名(小学生と保護者)
講師
ゴリラコーポレーション こーへい(お笑い芸人)
糸満漁業協同組合女性部 比嘉 美鈴
糸満漁業協同組合青壮年部 西村 昴平
主催
海と⽇本プロジェクトin沖縄県実⾏委員会、⽇本さばけるプロジェクト実⾏委員会
共催
⽇本財団 海と⽇本プロジェクト
協力団体
糸満漁業協同組合、知念漁業協同組合、FECオフィス、沖縄県水産海洋技術センター
トビイカってどんなイカ?生態や釣り方を学ぶ
今回のさばける塾 in 沖縄県は開催場所の糸満から遠く離れた各家庭からでも参加できるよう、オンラインで開催しました。まずは1時間目。司会進行にお笑い芸人「ゴリラコーポレーション」のこーへいさんを迎え、本日の主役、「トビイカ」について学んでいきます。こーへいさんはラジオの動物番組を担当したり、普段から釣りに出かけ釣った魚を自分でさばくなど魚に触れる機会は多いものの、トビイカは釣ったりさばいたりしたことはなかったそう。そこで糸満での漁師歴が20年という西村さんに、事前取材してきた映像でトビイカの生態や釣る様子を教えてもらいました。トビイカが沖縄近海で昔からよく釣れていることや、敵から逃れるため「飛ぶ」ことから名づけられたこと、さらにイカ釣り機で実際に釣っている映像が紹介され、参加者は興味深く視聴していました。
イカって見た目も体も不思議な生き物。実際さばいて調理してみよう!
2時間目はいよいよさばき体験です。参加者の皆さんもイカの実物を見るのも触るのも初めて。各家庭に送られた冷凍イカを自宅で解凍し体の構造なども確認しながらさばいていきます。講師は糸満漁業協同組合 女性部の比嘉美鈴先生。結婚して糸満市に来る前は「魚って切り身しか見たことない…」状態だった美鈴先生も7人の子どもに食べさせるためにすぐ魚料理の達人になったそうです。数多く獲れるトビイカもよく料理したということで、まずはお手本のさばき。沢山の「足」、鋭い「クチバシ」、大きな「目」、泳ぐための「エンペラ」、胴体の中の軟骨や墨袋なども確認しながらさばいていきます。包丁でさばくのもいいですが、「慣れるまでキッチンバサミを使うのもいいよ!」と主婦ならではのアドバイスもありました。美鈴先生いわく、イカのさばきは工作みたいなもの。魚と体の構造がまったく違うので楽しみながらさばける、とのことでした。真剣にお手本を見ていた参加者からは「イカの足は何本ですか?」「イカは何をたべているんですか?」など、多くの質問も飛び交いました。
お手本のあとは各家庭で実際にトビイカをさばいていきます。今回は「開き」と「筒抜きの」2種類に挑戦。始めは恐る恐る触っていた子ども達もイカの不思議な造りに興味津々。カメラでアップにしてもらった画像でチェックしながら教えてもらい、包丁も使い、ハサミも使い、手も使い、慣れない手つきでもじっくりとさばいていきました。なかにはイカの表と裏を間違えてしまい、本来の行程とは違ってしまった参加者もいましたが、先生がフォローしてくれてみんなしっかりトビイカをさばくことが出来ました。さばいてる間も「イカの目は2個ですか?全部取るんですか?」「内臓は食べられるんですか?」など、積極的に質問も出ていました。
続いて調理に入ります。今回のメニューは「イカのバター炒め」と「イカのボイル」。どちらも基本のメニューですがアレンジが無限大!バター炒めは野菜、イカを炒めてから最後にバターを入れるのがコツだそうで、さらに、味噌や醤油、焼き肉のタレを加えて応用が可能。イカのボイルも単純な料理ですが、イカが固くならないゆで方のコツを伝授してもらい、柔らかくて美味しいイカのボイルが完成。それに付けダレを工夫することで色んな楽しみ方があると提案していただきました。「調味料を組み合わせて自分好みの味を作ることが料理への興味関心に繋がっていく。つけダレはその一歩目になる」とのことで、そこからは子ども達が自由な発想で調味料を組み合わせ、新たな発見をしながらイカの美味しさに気付くことが出来ました。バター炒めとボイルの味の人気は半々。どちらも美味しい!ということですね。
低利用魚のトビイカを人気者にしよう!
3時間目は先ほど美味しく食べたトビイカが、実は人気がイマイチというお話。こーへいさんと美鈴先生の軽快な掛け合いで講義が進みました。魚市場で行われるセリの話や人気の魚種の話から需要と供給のバランスを学びます。沖縄では高値で取引されるマグロやソデイカに人気が集中し、実際漁獲制限なども出てきています。他の魚種に人気が出れば偏ったバランスも良くなり漁師も鮮魚店も消費者も嬉しい。トビイカは昔から沖縄で「ヒンガー(沖縄方言で「よごれた状態」などの意味)イカ」と呼ばれ、見た目が真っ白ではないことと、他のイカ類より少し味が落ちることから高値が付かない傾向にあり今では低利用魚のひとつとなってしまっています。そんなトビイカですが近年は沖縄県内でも見直されつつあり、南城市奥武島(なんじょうしおうじま)では天日干しやボイルの加工品販売、知念漁協では「ちねんトビイチャー」としてブランド化し、スーパーなどでの販売に力を入れていたり、糸満漁協の西村さんは船に急速冷凍可能な冷凍庫を備え品質がいい状態でトビイカを家庭に届ける取り組みをしています。さらに今は色々な調理法もあり、様々な味付けで食べられることもあって、子ども達が実感したように「トビイカは美味しい!」と言ってもらえる状態にあるのです。この状況を知ってもらった上で子ども達に「どうやったらトビイカが人気者になるだろう?」とアイディアを発表してもらいました。「アニメにしたら!」「色んな食べ方の紹介をしたらいいと思う」「おつまみ系に加工したらお父さんに人気がでるかも」「トビイカ祭りをやってほしい!」などの意見が上がり、漁協の皆さんもおおいに参考になったようでした。
参加した子ども・保護者からの声
⼩学6年⽣男子「トビイカというイカの種類も学べて面白かったし楽しかった。」
⼩学4年⽣女子「漁業についてもいろいろ知れたから、こんど友達にも教えてあげたい。」
小学5年生女子「イカや海の環境について知れて楽しかった。こんどはタコもさばいてみたい。」
小学6年生男子「最初イカの皮が嫌だったけど、トビイカの皮は美味しく食べられて栄養もあることを知った。」
保護者「トビイカの味は他のイカと比べても全然悪くなかった。美味しいと知れば人気が出ると思います。」
講師からのご感想
「映像で保護者と子ども達が並んでまな板の前に立っている姿が単純にいいなぁと思いました。自然と親子の会話も生まれる。これを機にその時間を増やしてほしいと思います。」
「これを機会にいままで食べてこなかった魚に興味をもってもらい、出来れば買って食べてみてもらえたら嬉しいです。」
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:14人