身近な海の問題の課題解決に向けて! 高校3年生がムラサキウニ飼育試験の最終調査を実施!
鳥取ブルーカーボンプロジェクト「豊かな海の再生を目指して」実行委員会(一般社団法人海と食文化フォ ーラム)が支援する、青谷高校の学習カリキュラム「青谷学」で鳥取県の漁業の課題に取り組む学生は、大 量発生により藻場の消失をまねいているムラサキウニに注目し、養殖による利活用の可能性を探るため、 10 月から校内で飼育試験を実施してきました。 そして 12 月 13 日(火)に飼育試験を終了し、最終調査として餌の種類による身入りや味を調査しまし た。
2023.01.06
鳥取ブルーカーボンプロジェクト「豊かな海の再生を目指して」実行委員会(一般社団法人海と食文化フォーラム)が支援する、青谷高校の学習カリキュラム「青谷学」で鳥取県の漁業の課題に取り組む学生は、大量発生により藻場の消失をまねいているムラサキウニに注目し、養殖による利活用の可能性を探るため、10 月から校内で飼育試験を実施してきました。そして 12 月 13 日(火)に飼育試験を終了し、最終調査として餌の種類による身入りや味を調査しました。
この取組みは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環として、青谷高校の学習カリキュラム「青谷学」で鳥取県の漁業の課題に取り組む学生を対象とした「ウニに触れ、ウニを学び、海について考える」ウニ授業プログラムを行うとともに、「青谷学」において学生自身が自発的に取り組むウニ学習の継続的な支援を行ってきたものです。
開催概要
青谷高校3年生によるムラサキウニ飼育試験の最終調査
日程
2022 年 12 月 13 日(火)
開催場所
鳥取県立青谷高等学校(鳥取県鳥取市青谷町青谷)
参加人数
6 名
協力団体
鳥取県立青谷高等学校
ウニ学習の集大成として、ムラサキウニの飼育にチャレンジ!
ムラサキウニの飼育に取組む学生たちは、昨年度、新聞に掲載されたムラサキウニによる藻場の消失に着目し、今年度の課題研究の中でウニの飼育に挑戦することを決意。課題の詳細を学ぶため、当プロジェクトの古田事務局長の支援のもと、5 月にはムラサキウニの生態や藻場への影響や県内での対策について学習し、8 月にはムラサキウニの大量発生現場をスノーケリングで確認、9 月には藻場を守るためのウニ駆除活動を実施。また、利活用のための漁港内養殖を手掛ける同町長和瀬漁港を視察し、当プロジェクトのキックオフイベントにてステージから決意を発信するとともに、「豊かな海の再生宣言」を行い、10 月にウニの飼育試験を開始しました。
8 月 30 日にはウニ飼育水槽の組み立てを行い、10 月 4 日には海から離れた地域でも飼育可能な閉鎖循環方式での飼育試験を開始。古田事務局長より、ムラサキウニを飼育するにあたってのエサの切り方、エサを与える期間、エサやりの手順について説明を受けたのち、4 つの水槽に、ムラサキウニを 10 個ずつ入れ、準備完了!それぞれ「みかんの皮」「レモンの皮」「ブロッコリー」「キャベツ」をエサとして、生殖腺重量比 10%を目標にムラサキウニの飼育が始まりました!選んだ餌は、生徒が自らインターネット等で情報収集し、身近に安定的に手に入る餌を検討したものです!
70 日間で身入りは 20 倍に!味を確認し、最後はウニクリームパスタでいただきました!
そして迎えた 12 月 13 日。調査の流れを確認した後、これまで餌を与え続けたウニを取り上げ、ウニと生殖腺の重量を計測して餌ごとの食味試験を行いました。重量計測の結果、生殖腺重量比は目標の 10%には遠く、調査区別での平均は 1.8~2.2%でしたが、飼育開始時の生殖腺重量比が 0.1%だったことから、約70 日間で約 20 倍に身入りが増加したことがわかりました。また、餌ごとの食味試験では、ブロッコリーは「甘くておいしい」、キャベツは「身入りは良いが水っぽい」、ミカンの皮は「ミカンの味がするが、苦くて酸っぱい」、柿の皮(食べが悪く当初のレモンから変更し、途中からカボスの皮→柿の皮に変更)は「味は薄くサーモンみたいな味」等、餌ごとの味の違いを確かめ、調査結果にまとめました。
調査の結果、今回の飼育試験での高校生のおすすめはブロッコリーとなりましたが、ミカンの皮も「味の特徴が活かせる」と蓄養ウニの特徴を出すためのアイディアが得られました。
このたびのウニの飼育に当たり、ウニの飼育をする環境実習室までの廊下には、ウニの飼育水槽やこれまでのウニ学習の成果等が掲示されるウニロードを作るなど、ウニ学習に取り組む生徒の熱い思いが伝わりました。
参加した生徒・支援者からの声
「ウニのすべてを探り、次の代へ引き継ごう」をテーマに、1 年かけてウニの学習を行い、約 70 日間のウニの飼育に取組んだ生徒からは、「生殖腺重量 10%が目標だったが、実際はもっと少なくて残念。」「今回は秋から飼育して、餌の食べも悪く、思い通りにいかなかった。」など、頑張ったからこその反省の声もありましたが、餌それぞれで味が全然違って予想と違うこともあった。」「来年は後輩に引き継ぐので、もっと早い時期から飼育してみてほしいと思う」「ムラサキウニはおいしい、ぜひたくさんの人に食べてほしい」など、率直な分析や今後の広がりに期待する声もありました。これまで支援してきた古田事務局長からは、「回を追うごとに、表現やまとめ方、感じ方が大きく成長していく様子が見て取れ、独自の学習も重ねていき、日に日に自分ごととして学習を展開していく姿が頼もしかった。生徒からは、独自の調査の結果として考えた柑橘系の提案もあった。私たちでは考えられなかった斬新な発想で、しかも、しっかりウニに柑橘系の風味も残ることが分かり、ウニの商品化に新しいヒントが得られた」と思いをもって学習に取り組んだ生徒に対する感謝の言葉が寄せられました。
イベントレポートは実施事業者からの報告に基づき掲載しています
参加人数:6人