【速報】2024年夏季 溺れ事故の報道・救助実態調査 救助件数は昨対比1.3倍に
日本財団 海のそなえプロジェクトは毎年繰り返される水難事故の要因、シーンやシチュエーションを分析し、注意喚起に繋げていくために、2024年7月1日~8月31日までの夏季の溺れ事故の報道実態調査を実施。7月1日~8月25日の期間に起きた溺れ事故について、計2,548件の報道記事より集計・分析したものを公表、また、日本ライフセービング協会が管轄する海水浴場での救助実態調査についても併せて公表いたします。
2024.09.04
日本財団 海のそなえプロジェクトは毎年繰り返される水難事故の要因、シーンやシチュエーションを分析し、注意喚起に繋げていくために、2024年7月1日~8月31日までの夏季の溺れ事故の報道実態調査を行いました。
本速報では、7月1日~8月25日の期間に起きた溺れ事故について、計2,548件の報道記事より集計・分析したものを公表します。また、日本ライフセービング協会が管轄する海水浴場での救助実態調査についても併せて公表します。(対象223ヶ所の海水浴場のうち、集計が完了している193ヶ所の海水浴場での救助実績より集計・分析)
速報資料:https://uminosonae.uminohi.jp/assets/img/news/datail/20240904/20240904_01_report_summary.pdf
※ご使用の場合は、「日本財団 海のそなえプロジェクト」と出典明記をお願いいたします。
2024年夏季 溺れ事故の実態調査:https://uminosonae.uminohi.jp/report/data/index.html
2024年夏季溺れ事故報道調査サマリー
①報道された今夏の溺水事故は212件、溺水事故者数は230人。
溺水者は7割弱が死亡しており、事故の6割が海域で発生。
②年代別の溺水者数は、19歳以下と20代、70代が多い。
③男性の溺水者数は、全体で女性の約5倍。どの年代でも女性よりも男性の溺水者が多い。
④溺水時の行動は遊泳時が最も多く、次いで川遊び、釣りが続く。
30歳未満では遊泳・川遊びが多く、60歳以上では釣りが多い。
⑤午前より午後の方が2.2倍事故が多い。一方、年齢別では50代と60代で午前の事故が多い。
⑥外国人の溺水者は全体の約1割。事故を起こした水域は河川が半数弱、海域が4割程度。
一部抜粋
・2024年7月1日~8月25日における溺水事故は212件、溺水事故者数は230人。
溺水者の68%が死亡、22%が生存。溺水事故が多い水域は海岸43%、次いで河川33%。
海域(沖合、海岸、港・漁港)は59%であり、溺水事故の半分以上が海域で発生。
・男性は女性の約5倍。どの年代でも男性の方が溺れた人数が多い。
・遊泳時の溺水事故が多く、次いで川遊び、釣りが多い。
12歳以下、13〜19歳、20〜29歳の溺水前の行為は遊泳・川遊びが多い。
60〜69歳、70歳以上の溺水前の行為は釣りが多い。
海水浴場での救助実態調査サマリー
①今夏の救助件数は385件。意識のない人を含む中等症・重症の人の救助は7件で、約2%。
利用者数に対するレスキューの割合は、昨対比1.3倍。
②男性の救助数は女性の約2倍で、いずれの年齢も男性の方が多い。
要救助者では12歳以下が最も多く3割強を占める。
③例年、自然要因は離岸流、風の順だったが、今年は風が1位。
個人要因は泳力不足が53%、次いで疲労、パニックの順。
④小学生の救助では、自然要因の陥没・急深の割合と、個人要因のパニックの割合が他の年齢と比べて高い。
⑤要救助者のうち、離岸流が要因の場合は6割強、風が要因の場合は8割強が浮具を利用していた。
一部抜粋
・利用者数に対するレスキューの割合は、昨対比1.3倍。
利用者数は約80万人少ないが、利用者数に対するレスキュー割合が昨対比1.3倍
・救助の自然要因は風(32%)、次いで離岸流(29%)である。
例年は離岸流、次いで風であったが、2024年は風が主要因である。
救助の個人要因は泳力不足(53%)。次いで疲労(17%)、パニック(15%)である。
考察と今後に向けて
◎釣りによる溺水事故の多さと救助リスク
19歳以下や20代に加えて、70代では釣りを原因とする溺水事故が目立つ。
若い世代と比べて体力が劣るため、釣りの際にライフジャケット着用は必須。
また報道は少ないが、溺水者救助を試みた二次的な溺水への注意喚起も必要。
◎外国人の溺水事故が目立つ
外国人の溺水事故が全体の約1割を占め、海域、河川での事故が多く、遊泳禁止区域など、
安全管理が行き届かない場所での事故も目立ち、注意喚起の多言語対応を含めて、対応が必要。
◎安全に水辺を楽しむ教育の必要性
溺水の主たる個人要因は泳力不足で、水辺を安全に楽しむために
自分の泳力を把握し、危険を回避する教育が幼少期より必要。
学校で水泳授業が減少する中で、スイミングスクール等との連携が必須。
◎自然要因として風の危険性の訴求強化
陸から海に吹いていく風=オフショア(海風)の存在についての理解と、
どの程度の風力で、どの程度の危険があるのか、科学的な検証も含めて、
正しく情報を伝えていく必要がある。
◎風、離岸流の事故は浮き具と関係がある
要救助者は、風の影響で流されたり、離岸流で流されることが多いが、
浮き具がその危険性を助長している可能性があり、
風や離岸流の危険性とあわせて、浮き具の適切な使用方法の訴求が必要。
◎小学生世代にみられる溺れの傾向
小学生の溺れの傾向に、陥没や急深など、地形的な要因で足がつかなくなり、
パニックを引き起こし、溺れにつながる傾向があることが推測され、
子どものライフジャケットの着用の徹底が必要。
<2024年夏季溺れ事故報道実態調査>
・調査期間:2024年7月1日~8月31日
本速報では、7月1日~8月25日までに起きた溺れ事故について、計2,548件の報道記事より集計・分析したものを公表
・事故対象:上記期間内に起きた水辺の溺れ事故
・対象範囲:日本全国
・対象水域:海域、 海岸、 港・漁港、 河川、 湖沼、 プール、 その他(用水路、公園内の水域)
・調査方法:全国紙(1社)、地⽅紙(45社)、ヨミダス、47newsのデジタル新聞、放送局オンラインニュース(5社)、補填としてWebサイトのAPI検索によりデータ収集
・調査件数:期間内の報道記事2,548件 ※災害による溺水事故、⾃殺は除く。
・調査機関:(公財)日本ライフセービング協会
・調査協力:中央大学研究開発機構
<2024年 海水浴場での救助実態調査>
・調査期間:2024年7月~8月
・対象水域:日本ライフセービング協会が管轄する海水浴場の中で、上記期間に活動のあった223ヶ所※の海水浴場
・対象範囲:日本全国
・調査方法:ライフセーバーのe-logシステムへの入力によるデータ収集
・調査機関:(公財)日本ライフセービング協会
・調査協力:中央大学研究開発機構
※2024年7月~8月の夏季にライフセーバーが活動する全国223ヶ所の海水浴場での救助実績のうち、集計が完了している193ヶ所のデータをまとめたもの。ライフセーバーが日々記録するe-logデータをもとに集計。
うみらい環境財団、日本ライフセービング協会、日本水難救済会の3者が推進し、日本財団が企画・統括する、日本初(※)のコンソーシアム型プロジェクト。これまで様々な水難事故対策が唱えられてきたにも関わらず、それでも毎年増え続けている水難事故の現状を分析し、3カ年計画で「海のそなえ」の新しい常識の浸透を図ることを目標としています。(※複数団体による水難事故防止のためのプロジェクトにおいて)
海のそなえプロジェクト始動リリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002612.000077920.html
6月19日には1万人以上を対象とした調査結果を公開いたしました。
「海のそなえ」水難事故に関する調査サマリー:https://uminosonae.uminohi.jp/2024/report/assets/pdf/20240619_01_report_summary.pdf
※ご使用の場合は、「日本財団 海のそなえプロジェクト」と出典明記をお願いいたします。また、広報までご一報ください。
このプロジェクトは次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
<本件に関するお問い合わせ>
日本財団 海と日本PROJECT総合運営事務局 広報
メールアドレス:release@uminohi.jp